ケーズデンキの看板がハッキリ見える
50歳になって一番変わったのは、人生を折り返したという感覚が強烈になったことです。それまでは山頂を目指して登ってきた感じがありましたが、50歳を超えて「この山をどうやって降りていこうか?」と思うようになったんです。もう52歳になっちゃいましたけどね。
登ってみたらこの山は全然高い山ではありませんでした。ふもとの住宅街にあるケーズデンキの看板がハッキリ見えるぐらいの高さです。何なら走ってる軽自動車の車種の違いすら分かります。そのぐらいの高さでしたね。
でも、私の中では「よくやった」という感覚もありまして、静岡で生まれた泣き虫の引っ込み思案がよくここまでやって来たと思ってるんです。上出来だろうと。
そして、50歳を超えて下山を考えたんです。登ってきた道はだいたい覚えてますし、見る風景も同じでしょう。進む方向が逆というだけで新鮮な発見もあるかも知れませんが知ってる道です。
私がケーズデンキの看板を見ていると後ろから声がしました。そこには派手なトレッキングの格好をして降りてくるオバちゃんたちがいました。私が山頂だと思っていたのは山腹だったのです。朽ち欠けた木の看板を見てみると、「二合目」と書いてあります。低いはずです。
派手なオバちゃんの1人に聞いてみると、五合目にスタバと足湯があると言ってます。地元の牧場で取れた牛乳で作ったアイスクリームが美味しいとも。五合目ではWi-Fiも繋がって250Mpbs出るんだそうです。
ふと見ると、幼稚園の先生が20人の幼稚園児を引き連れて降りてきました。先生が「疲れた人〜?」と聞くと園児たちは「元気〜!」と言ってます。先生と園児たちは私がいる二合目にレジャーシートを敷いて、お弁当を食べ始めました。
私が園児たちを見ていると、下から大きな段ボール箱を持ったクロネコヤマトの配達員が、二合目に立ち寄ること無く上に登っていきました。ものすごい速さです。
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