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社会人として、大事なことを教えてくれたのは”紙”でした。

どうも、マンガ編集をやっています、平田雄大と申します。
この度、”めちゃコミック”さんで原案・編集を担当した作品『紙っ娘』が配信となります!

久々のガッツリ商業マンガの編集だったんですが…中々に楽しむことができました!
今回の作品に込めた思いを少しばかり…語らせていただければと思います…🤔

はじめに 作品紹介

本作品、『紙っ娘』のあらすじは…

“紙が女の子に見える”という特殊能力を持つ紙問屋の息子・三島連(みしま・れん)。連は紙っ娘(かみっこ)の活躍する場を作るために、印刷会社へと入社する。“。会社での初仕事は化粧品のカタログ。紙を愛するがゆえに、カタログに使用する紙の選定に悩む連。紙っ娘との衝突や事件を経て、“彼女たち”の魅力に改めて気づかされる。そしてカタログのプレゼン…クライアントの社長から「なぜこの紙を選んだのか聞かせて」と問われる……。

そう、紙が女の子になるんです!
夢のような世界…

作品中には、主に3人の紙っ娘が出演します。

・コート紙 <真ん中>
(女性誌の表紙、週刊誌の表紙、チラシなどに良く使われる)
・マット紙 <左側>
(ビジネス本の表紙、Apple製品の箱などに使われる)
・上質紙 <右側>
(コピー用紙、小説本などに使われる)

紙っ娘表紙ロゴ_ol


1. この時代に”紙”を題材にしたのはなぜか?

今回の作品、タイトルの通り「紙を擬人化」した作品となります。
印刷会社に勤める”紙が女の子に見える主人公”が、その”紙っ娘”たちと活躍するというのがストーリー

こんなペーパーレスが進む社会で、なぜ”紙”を題材にしたのか?
それは私が最初に就職したのが、製紙会社だったからに他なりません。

私に社会人として大事なことを教えてくれたのは”紙”だったんです。

2.製紙会社って何やってるの?

私が入った製紙会社は、あの有名なエリエールブランドを作っている”大王製紙”でした。
そこで、営業として配属されたのは…印刷用紙営業部という部署。

大王製紙=エリエールというイメージですが、
私が売っていたのは、エリエールではなくユトリロコートユトリログロスマットというモノ…

何それ!?と思う方が多いと思いますが、これは紙の銘柄の名前です。
皆さんが普段から手に触れている、チラシ・パンフレット・本・ノート…それぞれに使用されている紙には銘柄があるんです。
(同人誌印刷をされたことのある作家さん何かは知っているかもしれないですが…)

↑このページにも書いてあります!

私の仕事は、自社の印刷用紙を印刷会社に売り込むこと。
ある印刷会社では一日な10t以上の紙を使用することもあり、紙という身近なモノでありながらも、かなり莫大な額が動く現場でした。

3. 大王製紙という会社

私の勤めていた大王製紙は業界では4番手…
(レンゴーは段ボール系の会社なので、印刷用紙業界では3番手…)

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(業界動向SARCH.com 「製紙業界 売上高ランキング」”https://gyokai-search.com/4-kami-uriage.htm”)

元国有企業でもある日本・王子に対して、四国で創業者が身一つから立ち上げたのが”大王製紙”
会社の営業方針としても、”自ら作ったものを自らの手で売る”を重視しており…営業も熱気がある人が多く、職場も活気がありました。

メーカーだからと言ってあぐらをかかず、常に印刷会社に赴き、差がつきにくい紙という商材を売る為の情報を集める。
そして、現場が何に困っているのか、それを解決するためにどう品質向上に繋げるのか?
顧客第一主義とは良く言いますが、ここの職場では本当にそれが徹底されていたな〜と思います。

ここで社会人の1~3年目を過ごせたのは本当に財産だったな…と感じます。

4. 紙を作り売るということ

私が大王製紙で学んだのは、熱心な仕事への姿勢や営業についてだけではありません。一番、社会に出る上で学んでよかったと思ったのは

”モノ”がどれだけ尊い存在かということ

紙を作ると一言に言っても、本当に長い道のりを経ています。

まずは、森。
紙の原材料は木です。この木はむやみやたらに切っているのではなく、大手の製紙会社は自ら森を管理し、植林しているんです。

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そして、その木材を運ぶ為の船。
そんじょそこらの船では簡単に木材を運べません…
木材チップ船と呼ばれる、超巨大な船で製紙工場へとチップに加工された木材を運んできます。

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その木材チップがやってくるのが、製紙工場。
四国に拠点を置く、大王製紙の誇る日本最大級の工場・三島工場は東京ドーム約36個分(167万㎡)もの広さを誇るんです!

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そしてここで木材が紙へと加工され…
紙は印刷工場へと向かいます。
ここでようやく紙が皆さんの手元へ届く形へと整えられるんです。

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結局、何が言いたいのか?

私たちの身近にある紙も、こんなに長い工程を経てようやく日常生活へと来る訳です。
私たちの身近にある、あらゆるモノ。
自分の体以外の全てのモノは、多くの人の手によって作られ、運ばれてようやく形になっているんです。そこには生産、運搬、加工、営業を担っている人の思いが詰め込まれている…

私は製紙会社に入って、日常のあらゆるモノの見え方が変わりました…
ありとあらゆるモノには様々な人の思いと汗が詰まっている。

モノがあるって本当にありがたいことだな…

私は紙から、”モノの大切さ”という至極当たり前だけど、本当に大切なことを学んだのです。

5.長々と話しましたが…

ここまでのことは御託です。
とりあえず言いたいのは、『紙っ娘』を読んでということ!

”紙っ娘”それぞれの特徴を可愛らしく、萠田まく先生(https://twitter.com/mogmog_salmon)が上手く描いてくれています!

萠田先生のTwitterで1話が公開されているので、
続きがきになる方はぜひめちゃコミへ…!


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