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今年こそは優勝したい!2021年プロ野球・優勝未経験者年数ランキング

個人成績よりも大切なもの

昨年暮れ、かつて阪神で4番を務めた濱中治はとあるトークショーで、故障続きだった自身の現役生活を振り返り、こんなことを語っていた。

「2003年は4番を打たせてもらってチームも首位を独走していたのですが、途中で故障してしまって……手術を受けたので後半戦は出場できませんでした。本当なら『復帰は来季になる』という話だったのですが、どうしても優勝したかったし、日本シリーズに出たかった……今思うと焦ってしまったところがあったと思います」

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トークショーの際の濱中治。自身の代名詞であるうねり打法についても丁寧に解説。注目のルーキー、佐藤輝明にも期待するコメントを残していた

ふくしまはこの時、現地でお酒を飲みながら聴いていたため記憶があいまいで、一語一句違わずに濱中がこう語ったわけではないけれどプロ入り以来、初めてとなるチームの優勝ということで「怪我を押してでも、星野仙一監督を胴上げしたかった」というニュアンスだったと思う。

もし濱中が、ソフトバンクや巨人みたいな毎年優勝争いをするようなチームにいたら、焦らずじっくりと治すという選択肢もあったはず。結果的に濱中が自身のキャリアでチームの優勝を経験したのはこの年だけだったので、怪我を押してでも日本シリーズに出場したのはすごく意味があった。

この話を聴いていたふくしまは「野球選手にとってチームの優勝って、自身のキャリアを賭けるくらいに価値があるんだなぁ」と感じたわけで。そうなると現役選手たちにもそうした想いがあるのでは?ということで調べてみました。優勝経験なしでキャリアが最長な現役選手を。

上位に共通するのは……あるチームへの在籍経験?

調べてみたのは現時点(3/18)で支配下登録されている現役選手のうち、自身がこれまでに所属したチームでのリーグ優勝経験がない選手(一軍出場歴がある場合のみ)。

なお、ここでのリーグ優勝はペナントレース1位の場合を指し、2位、3位のチームがプレーオフやCSで勝ち上がって日本シリーズに出場した場合は日本一になった時のみ対象とする。

……と、商業用の原稿の場合はこんな感じの堅さで前提条件を書くんだけど、要するにペナントは2位以下でも、結果的に日本一になった延べ5チーム(2005年・2010年ロッテ、2007年中日、2018年~2019年ソフトバンク)は優勝とカウントするっつーこと。もっとわかりやすく言えば、胴上げしたかどうかことがあるかどうかって書いた方がよかったかもね。

ということで、早速見ていきましょうか。

▼1位 プロ年数:19年目
坂口智隆(ヤクルト)
▼2位 プロ年数:17年目
金子千尋(日本ハム)
▼3位タイ プロ年数:16年目
田中靖洋(ロッテ)、大和(DeNA)、T-岡田(オリックス)、岩田稔(阪神)
▼7位 プロ年数:15年目
梶谷隆幸(巨人)
▼8位タイ プロ年数:14年目
平野佳寿(オリックス)桑原謙太朗(阪神)、田中健二朗(DeNA)、伊藤光(DeNA)
※平野はメジャーの3年間も含む

現役最多キャリアを誇る内川聖一、2位タイの栗山巧、中村剛也、石川雅規、山井大介、大竹寛はいずれも優勝アリ。次に長い7位タイでも中島宏之、雄平、鶴岡慎也は優勝した経験があったけれど、唯一なかったのがなんと坂口智隆。よって彼が優勝経験のない現役選手の1位という名誉なんだか価値があるんだかないんだかよくわからない記録持ちに。

思えばオリックス時代の坂口を振り返ると2位が2回(2008年、2014年)あっただけで、ヤクルトに移籍したのも14年ぶりにリーグ優勝を果たした翌年という何とも間が悪かった。

そのヤクルトはというと、2018年に2位に入って以来、Aクラス経験すらないという状況に陥っている。そもそも坂口の19年間のプロ生活でチームがAクラスに入ったのはたったの4回だから、現状では優勝にとことん縁のないキャリアとなっていると言えるよね。

2位はふくしま的に1位では?と予想していた金子千尋。低迷していたオリックスで全盛期を迎え、自由契約となったのちに他球団へ移籍というプロセスは坂口とほぼ一緒。移籍先となった日本ハムも2016年に日本一になったのを最後に以降は5位→3位という微妙な成績で、金子が入団してからは2年連続5位に終わり、自身も今季は1勝のみ。

移籍以来、どうも精彩を欠いている感じのする金子を見ると、たった1回だけとはいえ移籍先でもCSに出場し、レギュラーとして結果を出している坂口の方がまだマシな気もするのでこっちを実質1位にしてもいいかもね←

3位タイとなったのは今季16年目を迎える4選手。大和と岩田は2014年にCSを勝ち上がって日本シリーズにも出場しただけに優勝未経験という感じはしないし、田中も西武時代の2008年に自身の一軍出場がなかっただけで、チームは日本一になっている。そう考えるとT-岡田がちょっと不憫か。

というか、坂口、金子、岡田の3人はオリックスが最後にAクラスに入った2014年の主力メンバー。この時はソフトバンクとの熾烈な首位争いを演じてマジック点灯までこぎづけただけに、図らずともシーズン最終盤のソフトバンク戦でサヨナラ負けを喫したのが痛かった。

もしここで勝っていればほぼ間違いなくリーグ優勝できただけになおさらね。

思えば、8位タイの平野も伊藤もそして桑原も、2014年当時はオリックスに在籍していた。要するにオリックスでの在籍年数が長ければ長くなるほど優勝からは遠ざかりがちという身もフタもない結果になった気もする。

さて、上記のメンバーで優勝の美酒を味わうとすれば、リーグ2連覇中の巨人にFA移籍した梶谷か、いつになく戦力が整った感のある阪神に在籍する岩田と桑原に絞られそう。

とはいえ、岩田も桑原も近年の成績を見ると決して主力級の成績を収めているわけではないので、レギュラーとして優勝に貢献するとすれば梶谷一択になりそうだけど……果たして結果はどうなることやら。

個人的にはオリックス一筋16年、T-岡田が悲願の優勝を果たして男泣きするシーンがちょっと見たいかも。顔立ち的に泣くイメージがイマイチ湧かないけれどさ。

※文中敬称略

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