「old people」と「古い人間」からあれこれ考えた
英語圏の日本語学習者がよくする間違いの一つに、「old people」を直訳して「古い人」と表現してしまうことがあります。この場合、日本語では「高齢者」や「お年寄り」と表現するのが正しいですね(ただし、「老人」は場合によっては失礼な響きになることもあるため注意が必要です)。
最近、「虎と翼」を見始めました。U-NEXTで過去放送をパックでレンタルしたのですが、溜まっていたポイントを使えて便利でした!
その中で、寅子が穂高先生に怒りをぶつけるシーンがありました。穂高先生は「私は古い人間だ。理想を口にしながら、現実では既存の考えから抜け出すことができなかった」と言います。このシーンを見て、他の視聴者と違うところが気になりました。
あ、「古い人」は日本語で言えないけど、「古い人間」は言えるんだ、と。英語で言うと「old fashioned」が頭に浮かびました。
このシーンは穂高先生の謝罪から最後の教えの言葉へと続いていくのですが、私はそれよりも「古い人間」という表現に注目してしまいました。笑
「古い人間」という表現を使うと、「古風な人」や「時代遅れの考えを持つ人」という意味に近くなります。
そして、日本人と話している時に「古い人」という言葉を聞いたなら、「古い人間」と言いたいのだろうな、と自然に理解しますが、日本語を勉強している学習者が「古い人」と言うと、
「あ、、、お年寄りや高齢者と言いたいのだろうな。old peopleを直訳しているんだな」
と判断します。
ちなみに、英語話者が「old people」を直訳して「古い人」と表現してしまうのは、母語の干渉によるものと考えられます。母語の干渉とは、第二言語を学ぶ際に、学習者の母語の構造や表現が第二言語に影響を与える現象のことです。
英語では「old people」という表現があり、これは年齢を重ねた人々を指す一般的な言い方です。
英語の「old」は「古くから存在している」や「長年にわたって生きてきた」という意味を持つ形容詞で、人や物が長い時間を経ていることを示しています。一方、日本語の「古い」は物や建物、考え方などが時間の経過により新しくないことを意味します。また、「時代遅れ」や「昔のもの」というニュアンスも含まれています。
「old」と聞くと「古い」という日本語が頭に浮かびますが、ニュアンスが異なるため、old peopleのようにズレが生じることがあります。このように、第二言語である英語と母語である日本語のニュアンスの違いを、日本語を教える際に改めて感じる日々を日本語を教え始めてから感じています。