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【じーじは見た!】 後編:日本の稼ぐ道<市場形成力>⁉

経産省の委託事業としてOWLSがまとめたレポート(以下OWLSレポート)を一緒に確認していきましょう。

OWLSレポートには、これからの日本人が生きていく道が示してあります。

本編は後編です。前編を読んでから合流していただけるとありがたいです。


✅市場形成力の定義⁉


OWLSレポートでは、市場形成力を次のように定義しています。👇

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1)アジェンダ構想力
これは、次の3要素だと記述されています。

①マテリアリティの特定
まずは、社会課題の中でも自社にとって何が重要で課題解決に貢献できるかという重要課題を特定しましょう。

②ルール形成の特定
次に、社会課題解決のためにはどのようなルールが必要か、解決策が持続的に市場価値を持つためにはどのようなルールが必要かを特定します。

③実現するためのエコシステムの構想
最後は、社会課題解決のために自社はどう貢献できるか、誰と組むべきか、誰にアプローチすべきかを特定します。

2)社会課題解決力
社会課題解決のための能力・アセットは、①プロジェクト推進体制、②バリューチェーン、③技術・アイディア、④経験・ノウハウ の4要素から整理されています。

これまでのように個社個別ではなく、民間企業とソーシャルセクターの連携といった視点が求められています。

3)ルール形成力
下記👇のような記述があります。

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テスラがトヨタの時価総額を上回る会社になったのは「共感する仲間集め」が上手で、ルールの原案開発とコンセンサスづくりには気候変動問題とリンクして各国政府の心をつかみ、2030年代にはガソリン車の新車販売を禁止する等のルール形成ができたのでした。

✅企業だけでなく、行政にも欠けている視点⁉


このルール形成力は日本企業だけでなく、行政にも欠けていた視点でした。

例えば、資源ごみの回収!

皆さん、日本はしっかりやっていると思われているでしょう。結構分別は細かくて面倒ですからね。

確かに戦後のゴミの垂れ流し状態から「清掃法」ができ「廃棄物処理法」へと発展して、更には、物を捨てるのではなく再利用する循環型社会形成を狙った法律が整備されてきました。(「環境基本法」→「循環型社会形成推進基本法」)

しかし残念ながら、そうやって一般ごみの中から回収再生するゴミを分別して回収するしくみの中に「標準化」の視点がなく、各自治体に「やっとけー」の丸投げなので「紙」の分別収集のやり方一つとっても自治体によってバラバラです。

それは「各自治体でやり方を決めることができる」と法律に書いてあるからなのです。つまり中央省庁がやり方を決めて指示できないからバラバラになるのです。

そういう根本的な「標準化」を指揮する司令塔不在(法律がない)のままなのは、国民の勤勉さ、真面目さに依存して「国民はしっかり分別してくれる」という発想、つまり手洗い・うがい・マスクの励行と全く同じロジックなのです。

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が令和3年3月9日に閣議決定、5月25日衆議院可決、6月4日参議院で可決され、6月11日に公布されました。

しかし、このまま施行されたら、地方自治体の自助努力と住民の分別努力でなんとかしようというしくみから脱することができません。

それでは、世界に誇れる市場形成にはならないと思うのです。


✅手本はあるよ⁉


OWLSレポートの中でダイキンの事例が示してありました。

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ダイキンの事例は受け身のルール形成ですが、下記のドイツ企業の事例は、能動的にルール形成に関与したものです。

SDGsのターゲット3.6「交通事故死亡者を半減させる」という目標(社会課題解決)と連動したルール形成を進めた事例です。👇

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戦後復興期は「いいものを安く」作れば、懐深く米国が買ってくれて、生真面目で小型化技術に優れた日本の良さを海外でも受けいれてくれたので、世界のTOYOTA、HONDA、SONYといった企業を生み出しました。

実は、SONYは小型化技術に優れているだけでなく世界のルール形成に影響力を行使できた日本でも稀な会社です。創業者の井深大と盛田昭夫、特に盛田さんは、米国で何度もルール形成を行ってきました。

例えば、ユニタリータックス(合算課税)という不公正税制を米国カリフォルニア州に是正させました。また、家庭用VTRにおける「ベータマックス訴訟」では、米国の最高裁で勝訴しました。

当時アメリカの著作権法には、家庭用VTRのような新しい技術に対応する明確な記述がなく、日本のように「私的複製の例外(個人の楽しみのための複製は著作権侵害にあたらない)」という項目がなく、ソニーは著作権侵害で訴えられたのでした。

この訴訟を受けて立つというのは相当の覚悟が必要だったと思います。

皆さんが今こうやってnoteに音楽動画を貼り付けることができるのは、基本技術がアナログからデジタルへ移行し、デジタル・オーディオが登場した時にハードウエア産業とソフトウエア産業が DAT(Digital Audio Tape)の共通法を一緒に推進するルール形成があったからであり、その契機となったのはベータマックス訴訟で盛田さんが勝訴したことでした。

盛田さんは、個社(SONY)の利益のためにルール形成に尽力されたのではないのです。

60年代後半には日本でもTVが普及し楽しい番組も増えてきた中、同じ時刻に見たい番組が2つ同時にある場合にどちらかが見られない状況を改善してほしいという庶民の要求(社会的課題)は米国民も同じであり、盛田さんの造語「タイムシフト(時間に拘束されずにテレビ番組を見られる)」という概念が米国民の共感を生んだ末の勝訴だったとじーじは思うのです。

こういった世界の中でルール形成に影響力をもっていた日本の武勇伝も1985年以前のものばかりで、1985年のプラザ合意後は「我さえ良かったらいい」という個別最適指向に偏重し世界のルール作りから取り残されました。

現代では、ソフトバンクの孫さんに期待したいですが、じーじはZ世代の中から第2・第3の盛田さんが出てくることを期待しています。

そんな時代が2022年には見えてくるように
頑張れZ世代!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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