両立支援コーディネーター介入による脳卒中患者の復職状況 ~復職支援データベースによる検討~

両立支援コーディネーター介入による脳卒中患者の復職状況 
~復職支援データベースによる検討~

豊田 章宏1 佐伯 覚2 木谷 宏3 八重田 淳4  大塚 文5 立道 昌幸6

1労働者健康安全機構中国労災病院治療就労両立支援センター
2産業医科大学医学部リハビリテーション医学講座
3県立広島大学大学院経営管理研究科
4筑波大学人間総合科学学術院リハビリテーション科学学位プ ログラム
5広島文化学園大学看護学科
6東海大学医学部基盤診療学系衛生学公衆衛生学

https://doi。org/10。3995/jstroke。11012

■目的
・脳卒中患者の復職に影響する因子を明らかにする

■対象・方法
・2017年2月から2019年3月 までに登録された脳疾患患者401例のうち、転帰不明と治療中と脳卒中以外を除外した337例を対象(男性265例(平均年齢56。9± 10。3歳:23~82 歳)、女性72例(平均年齢55。8± 9。3歳:26~74歳))
・就労に関する転帰は「元事業場の元職務」「元事業場の 別職務」「別事業場で元業務」「別事業場で別業務」「退職」としたが、本研究における復職とは、元事業場の元職務に戻ったもの(原職復帰)とし、休職から復職までの期間「3カ月以内」「3~6カ月」「6~12カ月」「12~18カ月」「18カ月以上」と併せて評価。
・データベース評価項目は、「A。患者因子」32項目、「B。家族因子」5項目、「C。経済因子」3項目、「D。職場因子」21項目、「E。医療因子」6項目、「F。復職時状況」2項目の全69項目について2~5段階の評価を行う仕様で作成
・DB各項目の統計解析については「自立・可能・高い」レベルと「それに至らない」レベルの2尺度に分け、「復職できた」をアウトカムとして単変量解析を実施した。DB各項目とオッズは「復職できた」をアウトカムとして単変量のロジスティック回帰にて算出

■結果
・復職には業務遂行機能、心理的因子、自己管理、経済因子などが関与したが、性別や年齢の関与は認めなかった。復職率は67。7%と良好であった。
・ブルーカラーよりホワイトカラーの職種が復職率が高い傾向にあった。
・職場の受け入れ体制や職場の柔軟な勤務制度でも差を認めなかった。

■学び・感想
・遂行能力(身体機能や高次脳機能など)や心理的因子などの因子は関連因子であることは予測できた。
・一方で、職場の受け入れ体制や職場の柔軟な勤務制度などはあまり関連はなかったことが意外な結果と感じた。
・mRSで軽度なほど元職場に元の職務に復帰できているため、できる限りの回復は言うまでもなく重要である。
・OTとして復職に関連する要因を把握し、入院期間中の適切な就労支援を先見をもって関わっていくことが重要であると感じた。

今日も最高の一日に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?