ストレスチェックで測定される諸要因はプレゼンティズムと関連する

ストレスチェックで測定される諸要因はプレゼンティズムと関連する

田谷 元1)  志村哲祥2, 3, 4)  石橋由基4, 5)  岬 昇平3)  井上 猛2)

1) 慶應義塾大学医学部医学科
2) 東京医科大学精神医学分野
3) 医療法人東京桜十字
4) 株式会社こどもみらい
5) 慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室

DOI: 10.11477/mf.1405206147
 
<研究目的>
日本におけるストレスチェックのデータを用いて,仕事のストレス要因や周囲のサポート,心身のストレス反応とプレゼンティズムの関連について明らかにする

<対象>
2017年に筆者がストレスチェックの実施者となった東京都内の17事業所,従業員計3,314名のうち,回答結果の学術的利用に同意し,有効回答を行った計2,905名(87.7%)

<評価>
・ストレスチェック
57項目の職業性ストレス簡易調査票(The Brief Job Stress Questionnaire:BJSQ)

・プレゼンティズム
Work Limitation Questionnaire short form:WLQ

<分析方法>
ストレスチェックで測定される仕事のストレス要因(領域 A),ストレス反応 (領域B),周囲のサポート(領域C)がプレゼンティズム(WLQ)に与える影響を重回帰分析によって分析した。
また、ストレスチェックの領域A・B・CとWLQの4変数からなる構造変数モデリングを用いた共分散構造分析を行った。

<結果>
・仕事のストレス要因(領域A, p<.001)と心身のストレス反応(領域B, p<.001)が重回帰分析において有意にプレゼンティズムに関連していた。
・領域Bにおいて活気のなさ(β=0.067;p<.001),不安感(β=0.139;p<.001),抑うつ感(β=0.453;p<.001)が,プレゼンティズムに有意に関連していた。
・共分散構造分析では,周囲のサポートはストレス反応を介して間接的にプレゼンティズムに影響を与えていることと,仕事のストレス要因がプレゼンティズムに与えている影響は,ストレス反応を介した間接効果のほうが大きいことが示された。

<感想>
心身のストレス反応(その中でも、活気のなさ、不安感、抑うつ感)はプレゼンティイズムと関連し、周囲のサポート・仕事のストレスは心身のストレスを介してプレゼンティイズムに影響を与えていることから、メンタルヘルス領域、特に職員の活気のなさや、抑うつ・不安感などは管理職や衛生管理委員の視点から、注意を払うことが職員・職場双方にとって重要であると再認識できた。

明日も最高の1日に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?