ドアマン

ずっと閉じ込められている気がしていたの
私の世界はずっと狭かった
広げようとしては扉を閉ざされて
逃げ出そうとしては阻まれて
行き場をなくして破裂しそうだったわ

ドアマン にするつもりはなかったの
広い世界を見せてくれて
掴みたい未来を認めてくれて
狭い世界から連れ出してくれる人を探していたわ
自分ひとりの力では脱出できないと思って

だから
彼のほうから現れたというより
私のほうから探し当てたの
お互い偶然出会ったと言うより
私のほうが見つけ出したの

義理堅いかと思えば不義理もして
熱血漢かと思えば冷めていて
自信家と思えばあまり自信はないと言って
真面目な話をしていたかと思えばすぐに下ネタをぶち込んでくるわ

だけど私は彼が好きで
たぶん彼は私が好きで

いつも不思議と
ふらっとあらわれては
私に外界への扉を
見せてくれるの

そしてどうにか
外界へと出たら
私を送りだすかのように
見守ってくれるの

ドアマン にするつもりはなかったの
同じ人であることに変わりはないと言って
私がどんな立場にあっても受け入れてくれて
今もドアを開けてにこやかに待っているわ
その向こうに広がる世界を私に見せて