猫を拾うみたいに

36年近い人生の中で2度
捨て猫を拾ったことがある
回数として多いのかどうか
分からないけど2回あった

どちらも拾ってしばらくは面倒を見ながら
並行して里親さんを探すパターンになった
そうやって捨て猫を拾ってしまうタイプと
人に言われたことがあったけれどそれって
いったいどんなタイプなのかと今でも思う

ただ「拾い」上げたかもしれない
ひとたちの顔がいくつか浮かぶと
自分でも「拾った」と思っている
奇妙な事実に気が付いたりはする

ひとりだけではなくて何人か
たぶん「拾って」きたけれど
もちろん「拾われた」ことも
その中にはあったはずだけど

ダンボール箱の中で誰かを呼ぶ声を
聞きつけて側に行って見てしまえば
もう見なかったことにはできないし
そうなると拾い上げるしかなかった

きっとあのひとたちも平気なフリして
聞こえるひとにしか聞こえないほどの
か細い声でずっと鳴いていたのだろう
温めて癒してくれる誰かを求めながら

でもあのひとは とちょっと思う
これまで拾ってきたひとを思うと

あのひとは猫って言うよりねずみ
ついでに子年の生まれだったはず
誰よりも強いふりをした弱いひと

あのひとは猫って言うよりも馬で
駆け抜けるしなやかで力強い姿と
あまり見せない甘えたがりな一面

あのひとは猫って言うより亥年で
まさに猪みたいに突っ走りがちで
上手に取り扱ってもらいたがった

みんな猫とはちょっと違ったけれど
たぶん猫を拾うかのようにわたしは
彼らをほんのひととき側で見つめて
そしてまた里親的な何かに送り出す
ただ安易に拾うのは良くないと思う
こんなにも残ってしまうものだから