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ファブレス小売業の品質保証

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ファブレス小売業の品質保証①

ファブレス小売業の品質保証①

小売業と製造小売業の違い
 小売業とは、「製造業者・卸売業者から商品を購入し、最終消費者に販売する事業。また、その業者。」(大辞林)とあります。コンビニやスーパーなど、消費者にとっては暮らしに欠かせない一番身近な業種かもしれません。多くの小売店の店頭には、多くの消費者が好む、つまりマーケットシェアが高い有名ブランドの商品が並んでいます。消費者の意識も「どこで買ったか」ではなく、「どのメーカーの何を

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ファブレス小売業の品質保証②~製造委託先の選び方~

ファブレス小売業の品質保証②~製造委託先の選び方~

どんな製造委託先にお願いすればいいの?
 では、ファブレス小売業は、どのようにして開発力、製造力を見極めて、製造委託先を選べばよいのでしょうか。「開発に詳しくなく、製造にも明るくないのに、製造委託先の開発力や製造力の見極めなんてできるわけないよ。」という声が聞こえてきそうです。確かに開発のことがわからないと相手に開発力があるかどうかなんて見極められそうにありませんね。でも、本当にそうでしょうか。

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ファブレス小売業の品質保証③~工場評価のポイント~

ファブレス小売業の品質保証③~工場評価のポイント~

 少し具体的に工場評価のポイントを見ていきましょう。ここでは評価ポイントを、「1.マネジメント」、「2.コンプライアンス」、「3.技術・開発力」、「4.品質管理」、「5.製造管理」、「6.コスト対応と供給能力」の6つに分けています。

1. マネジメント
これまでの実績や経営者との対話を通じて情報収集を行います。

①トップの意欲や積極性
・ 工場の経営は意欲的で新規取引にも積極的である。

②財

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ファブレス小売業の品質保証④~工場評価のポイント~

ファブレス小売業の品質保証④~工場評価のポイント~

4. 品質管理
 体制、文書化、記録、外注・サプライヤー管理、不良や市場クレームのフィードバック(継続改善)が確認ポイントになります。

①組織と品質マネジメント
・ 組織、担当、権限を明確にした品質管理体制がある。
・ 品質マネジメントシステムは明文化され、共有されている。

②品質情報の記録
・ 生産、検査、不良数などの品質情報は、ロットごとに記録している。

③継続的な改善活動
・ 発生した

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ファブレス小売業の品質保証⑤~品質を確保する活動~

ファブレス小売業の品質保証⑤~品質を確保する活動~

製造委託製品の品質を確保する活動
新商品開発時
・要求事項は十分に検討した上でインプットし、トップヘビー型の開発を心がける。
・試作評価では、複数の異なる視点(人員)で、要求仕様が実現できているかのレビューを行う。
・開発スケジュールを明確にするとともに、確認項目に抜け・モレの無いように管理する。
・製品の信頼性を保証する試験項目を明確にして、問題を未然に防止する。
・量産時のバラツキの確認を目的

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ファブレス小売業の品質保証⑥~ものづくりに必要な固有技術と管理技術~

ファブレス小売業の品質保証⑥~ものづくりに必要な固有技術と管理技術~

 技術とは、開発された科学を実際に応用する手段、物事を巧みになしとげるわざ(大辞林)とあります。ものづくりに技術が必要なことは言うまでもありませんが、ものづくりに必要な技術は「固有技術」と「管理技術」に分けられます。固有技術が無ければモノが作れませんので、固有技術はものづくりを行う上で必須の技術と言えますが、管理技術が伴わないと「ただ作っただけ」になってしまい、経営が成り立ちません。ものづくりを行

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ファブレス小売業の品質保証⑦~管理技術を使って工場を点検する<出荷エリア>~

ファブレス小売業の品質保証⑦~管理技術を使って工場を点検する<出荷エリア>~

 具体的に、管理技術を用いた工場評価のポイントを見ていきましょう。ここでは、工場の各工程を逆方向に遡る順番で見ていきます。工場の現場を視察する際、生産する商品の製造工程にあまり詳しくない場合には、完成品から材料へと遡る順番で見ていくと、商品の成り立ちが把握しやすいというメリットがあります。

1. 出荷エリア
 完成品をコンテナに積み込む出荷作業をバンニング(vanning)と言いますが、単純に見

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ファブレス小売業の品質保証⑧~管理技術を使って工場を点検する<完成品倉庫>~

ファブレス小売業の品質保証⑧~管理技術を使って工場を点検する<完成品倉庫>~

 完成品倉庫では、在庫量、商品の保管環境(温湿度、保管期間)、保管状態(積段数)、先入先出しの仕組みを確認します。

①在庫量は適切か
 一番重要なポイントは、「過剰な在庫が無いか」という点です。実際の販売量は、季節変動や営業施策、流行などの影響を受けて変動します。一方で、工場の生産量はできるだけ変動させないことが品質面でも効率面(=コスト面)でも有利になります。このギャップを埋めるために、サプラ

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ファブレス小売業の品質保証⑨~管理技術を使って工場を点検する<梱包工程>~

ファブレス小売業の品質保証⑨~管理技術を使って工場を点検する<梱包工程>~

 完成品を梱包する梱包工程は、商品の最終工程になり、梱包工程の後には梱包状態を検査する工程は通常ありません。(重量チェッカーで付属品の欠品を確認する場合もありますが、重量の小さいチラシやシールなどは検出できません)したがって、梱包工程では「付属品を入れ忘れたり、入れ間違えたりすることを防ぐ工夫がされているか」がチェックのポイントになってきます。

①付属品の定数管理
 入れ忘れ・入れ間違いを防止す

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ファブレス小売業の品質保証⑩~管理技術を使って工場を点検する<組立工程>~

ファブレス小売業の品質保証⑩~管理技術を使って工場を点検する<組立工程>~

 業界や商品ジャンルによって、さまざまな組立工程がありますし、組み立て工程ごとに固有の管理ポイントも存在します。様々な組立工程を細かく網羅することは難しいので、ここでは、商品によらず組立工程に共通する確認ポイントについて書いていきます。

①組み立てに使用する部品は検査された良品のみを使用しているか
 組み立ててしまった後で部品の不具合が発覚した場合、部品の交換や組み立て直しなどの作業(手戻り)が

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ファブレス小売業の品質保証⑪~管理技術を使って工場を点検する<加工工程>~

ファブレス小売業の品質保証⑪~管理技術を使って工場を点検する<加工工程>~

 加工工程も、商品や加工する材料によってさまざまな種類があります。加工方法でみれば、切断、穴あけ、切削、塑性加工(曲げ、伸ばし、変形)、鋳造、熱処理、化学処理など多くの加工方法がありますし、同じ穴あけであっても、材料が鉄の場合、木材の場合、プラスチックの場合では管理方法が異なります。
 また、加工に用いる機械も単純なボール盤(穴あけ用のドリルです)から、コンピューター制御の自動機械まで様々な設備が

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ファブレス小売業の品質保証⑫~管理技術を使って工場を点検する<資材管理>~

ファブレス小売業の品質保証⑫~管理技術を使って工場を点検する<資材管理>~

 完成品をコンテナに積み込む出荷作業はバンニング(vanning)でしたが、資材を受け入れて倉庫に入庫する作業はデバンニング(devanning)と言います。デバンニングから受入検査、入庫処理、保管環境について確認していきます。

①受入環境(デバンニング環境)
 バンニング同様に、大切な資材が丁寧に取り扱われているか、直射日光や雨などの影響を受けないような環境になっているかを点検します。また、作

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ファブレス小売業の品質保証⑬~管理技術による工場点検チェクリスト~

ファブレス小売業の品質保証⑬~管理技術による工場点検チェクリスト~

 ここまで管理技術を使った工場点検のポイントを書いてきました。実際に工場を訪問する際には、チェックリストにまとめて持参すると良いでしょう。

参考までにpdfファイルも添付しておきます。