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子どもと安全に、そして楽しく山を登ろう!

 日本は国土の7割が森林。陸の遊びといえばハイキング、登山がとっても親しみやすいアクティビティともいえます!
 しかし、一歩やり方を間違えると登山は子どもたちにとって楽しくないものになり、「こんな辛いつまらないところ二度と来るか!!」となってしまいがちです。この記事を読んでくださっている方やその周りでそんな人はいませんか?
 今日は、これまで多くのハイキングツアーをしてきた経験から、子どもたちに喜んでもらえる、そして大人も楽しめるハイキングのポイントをちょっとご紹介してみようと思います。
 
子どもが喜ぶ、結果大人も喜ぶハイキング・登山のポイント3選

登山好きににも、登山嫌いにもさせられる「最初の一歩」。安全管理をする上でも重要ですね。
安全を高いレベルで保つためには「安心できている状態」は欠かせません。

①”旬の時期に旬の山”を選ぶ
 食べ物に旬があるように、実は山にも旬があります。
 例えば東京の三ツ星観光地といえば「高尾山」。高尾山に登るとしたら、いつがいいですか?雪が降るわけでもなし、季節なんか関係なくいつでも行っちゃいますか!?
 確かにいつでも行けます。ただ、なんとなく「子どものアウトドア活動=夏」というイメージが強いのか、高尾山へハイキングへ行く計画を7,8月の夏に設計する人、5月下旬や6月に計画する学校登山などをよく目にします。山にはその季節ごとに見せる「顔」があるので、そこまで深く味わえるようになった人には、いつ行っても深い味わいがある場所です。しかし、初めて登山をするなど、慣れていない人からすると最初の数回の印象は非常に重要です。誰だって辛く不快な所や遊びはそう何度もやりたいとは思いませんもんね…。
 そういった視点で梅雨時期や夏の高尾山を想像してみましょう。。

梅雨時期で、蒸し暑いところで、カッパなんて着たら…

 まず、暑いですね。異常に暑い。「よく山は涼しくて天気が分かりやすく・・・」と言いますが、標高600m程度の高尾山では麓とさほど変わりません。30℃越えの湿気ムンムンの中を2,3時間「山の基本は長袖長ズボンだ~」と言って歩かされ、あげく山頂は晴れていてもだいたい霞んでいて遠くの景色はそう見れません。
 まーだいたい嫌になりますよね。(笑)大人だったら想像するだけで生ビールをグビグビしたい気分なハズ、子どももだってこれが最初の登山だと「え~登山ってこんなにしんどいの~。。つまんねー」となることでしょう。
 そうならないヒントは、「行こうとする山の旬の時期」を抑えること。ガイドブックや様々な情報、あるいは現地の人の話を聞き、まずは自分が出かけ、一番いい季節を狙って連れていくことも一つの作戦です。
 ちなみに、僕個人的には高尾山は冬がオススメ。桜や紅葉の季節もステキですが、いかんせん人の量がすごい…。冬は空気も澄んで暑くもなりにくく、晴天率も高いので山頂から見渡す景色も抜群です。頑張って登った後のアツアツのお茶やおにぎりがより最高になることでしょう。あくまで個人の感覚ですが。。

②「子ども時間」に設計する
 登山ガイドブックや登山地図には「コースタイム」というのが設計されており、多くの場合この時間を計画に反映させることがありますよね。
 注意したいのは、これは「オトナ時間」で設計されていることです。歩幅が小さく体も小さい子どもがおとな時間で歩くと、少なくとも小学校低学年までの子どもでは「ハイペース」になりがちです。結果しんどく、疲れます。
 この解決策として僕たちの団体では、小学校低学年までの登山のコースタイムを「オトナ時間×1.5倍」した時間を設計しています。高学年くらいである程度経験がる子はオトナ時間でも行けますが、低学年や初心者の子どもにはこうすることで、落ち着いて登ことができ、道中でちょっぴり遊びながらも進めるので子どもたちは大喜びです。
 ちなみに、「子どもに支配されすぎない」ことも意外と重要です。山では一定のペースを保つことが逆に疲れなくさを生みます。よく子どもは飽きると「疲れた~」と言いますが、これに惑わされすぎてチョコチョコ休憩を挟みすぎると返って疲れを増幅させることもあります。
 歩き始めて15分程度でいったんお水補給と衣服調整。その後は45分~60分に1回程度10分以内の小休憩を挟みながら一定のペースを作ってあげることもオススメです。

子どもの興味関心は大人の想像の外側にあったり。
途中で遊びながら登ることも考えるとやはりコースタイムのゆとりは、安全管理上も大切。

③どこかに「お楽しみ」を差し込む
 大人は「ハイキングや登山」自体を目的に楽しめますが、子どもがその境地に行くには少し時間が必要な気がするのです。大抵子どもにとって登山自体はあまり楽しくないことも多いのではないでしょうか。
 そんな時には、どこかにお楽しみポイントを作ることが悩みを解決してくれるでしょう。そう、「ニンジンをぶる下げる」のです(笑)
 たとえば…
・山頂にはすんごくキレイな景色が見える!
・ケーブルカーやリフトなど乗り物に乗れる!
・山小屋や茶屋でジュースやアイスなどのご褒美がもらえる!!
・途中の沢で遊べる、冷たい水でカルピスが飲める!
・下山後には温泉があったり、何かお楽しみがあったり…。
 最初は不純な動機で山に行くのだっていいじゃないですか。それが何度か積み重なっていくことで、登山自体の抵抗が少なくなり、だんだんと自然や登山というアクティビティ自体に魅力を感じていくものです。(少なくとも僕が付き合ってきた子どもたちはそうでした。)

オトナもコドモも、お楽しみは大切です♪

 いかがでしょう。今日は3点に絞って子どもと楽しく山を登るヒントを紹介してみました。大人と子どもと相談しながら工夫して登山を楽しみ、日本に広がる山林を上手に利活用していきたいですね!
 もちろん、Sustainabilityへのアクション「Leave No Trace (LNT)」も忘れずに♪これからは、持続可能なアウトドアマンが「カッコイイ」時代です!

記事:寺田まめた
   ーひの自然学校リスクマネジャー

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