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赤いハイヒール

赤い靴が跳ねた。泥だけの水たまりの上を楽しそうに跳ねる。赤い小さい長靴なんかじゃなく、赤いハイヒールだ。跳ねた泥水の上で更に飛び跳ねる。質のよさそうなハイヒールにまだらな泥がつく。


だけど、それを気にするでもなく更に嬉しそうに水たまりの上を跳ねる。靴は大人なのに、やっていることは子供で、通行人が遠巻きに批判めいた視線を向けていた。

それでも踊るように水たまりの上を気が済むまで彼女は跳ねていた。
「カツ、カツ、タッ、タッタ、タタタッ」
軽快な音がアスファルトに打ち鳴らされていく。そこに小さな子供たちが集まり、母親が制止するのも聞かず、同じ水たまりの上で飛び跳ねている。
 

スニーカーや青い長靴にサンダルと色々な靴が思い思いに小さな水たまりの上で、泥水を蹴飛ばしている。

ほどなくして、赤いハイヒールが動くのを止めて、その場を立ち去っていく。


 子供達だけになっても、子供たちは水たまりの上で飛び跳ねている。
 新たにそこを通りかかった通行人たちは、その姿を見て微笑ましい表情を浮かべ、彼らの様子を見守っていた。

いつも読んでくださってありがとうにゃ。 ゆうきみたいに本を読みたいけど、実際は読めていない人の為に記事を書いているにゃ。今後も皆が楽しめるようにシナリオ形式で書いていきたいにゃ。 みにゃさんが支援してくれたら、最新の書籍に関してもシナリオにできるにゃ。是非頼むにゃ。