SMの世界へ想うこと

Lunaをやってると当然SMの世界について考えることがたくさんあります。
株式会社として、社会の一員として、いろいろな人と話しながらLunaという事業を運営していると、SMの世界と現実の世界の両面からこの世界を見ることになります。

当然一般の現実の世界からすると、SMの世界と言うものはうさん臭く怪しいもので、アダルトの1種と言うイメージしか持たれません。
おそらく、完全に間違いでは無いのでしょう。
そういう一面もあると思っています。
AVの世界であったりであるとか、プレイをメインで行っている人たちであったりであるとか、セックスがしたいだけの人であったりとか、確かに性欲と密接に結びついているものだけに、そのような一面を取り上げられるのは間違いではないと思っています。

一方で、違う側面もあります。
よく一般の人たちと話していると「SMとはなんですか」と言う話を聞かれます。
最近答えているのは「SMとは痛いことをするアダルトなプレイのことではなく、あくまで特殊性癖を持つ思考の総称である」といったようなことを話しています。
実際に一般の人が想像するSMとSMの世界の人たちが想像するSMとは乖離してるものがあると思います。
SMの世界の人たちが想像するSMとは、ラバーやくすぐりなどのフェティッシュや特殊性癖、主従などの人間関係など、そして、もちろんエスやエムの思考も含めた包括的な概念であると捉えていると思います。
この辺の感覚は中にいる人ではないとわかるものではないと思います。
SMと言う表現は日本固有のものであり、英語でSMということは無いです。
本来BDSMやフェティッシュなどの言い方をされることがあり、日本でのSMに最も近い言い方としてはkinkyと言う表現が近いのではないかと考えています。

海外で言うと、LG BT Q +の中身の1つにkinkyは当てはまります。
日本ではまだまだ浸透してない概念であり、検索してもほとんど出てくる事は無いのですが、英語で検索するとかなりヒットします。

私自身がLunaを通して実現したいもので言うと、SMの世界で一人ぼっちで生きている人たちを「あなたは1人ではないよ」と言うことを伝えていきたいと思い、その人たちのための居場所作りをしたいと考えています。

どうしてもアダルトと言う見られ方でしてしまうこのSMと言う世界ではありますが、その見られ方を変えていき、特殊性癖を持つマイノリティーの人々のための居場所としてLunaと言うプラットフォームを作っていきたいと考えています。

先日正欲(https://www.bitters.co.jp/seiyoku/#modal) と言う映画が放映されました。
ガッキーが出ている映画で、水に対して性欲を覚える主人公の映画でした。
まさにこの映画が特殊性癖の人たちの苦しみを描いていると思っており、一般の人たちすると、これがSMと言う概念に当てはまるとは感じないかと思います。
ただLunaの中にいる人たちにとっては、特殊性癖を持ち、マイノリティーな人たちであるので、この水に対して性欲を覚える主人公(水はメタファーとして表現されている)の感情には、共感ができる部分も少しはあるのではないかと思っています。

少し前に私の周りでSMと言う特殊性癖を持ってしまったが故に、苦しくなって亡くなってしまった方がいらっしゃいます。
もちろんSMだけが原因ではないのですが、居場所がなくなり、辛くなって気づいたら亡くなってしまっていたと言うようなことでした。
ある種身近な人でもあったので、とても苦しく何か自分にできることがあったのではないかとすごく自問自答をしていました。
そんな経験もこの今のLunaを運営し広げていくことにつながっています。

私の見ているSMの世界はきれいすぎるという人もいると思います。
もっとドロドロして、アダルトで女の子が喘いでいて、エロティックな世界であると言う人もいると思います。
もちろんそれも否定はしません。
一面として存在をすると思います。

一方できれいなSMの姿があっても良いのではないかと思います。
例えば恋愛をすると言う1つの事象をとってもドロドロな面もあれば、恋愛からセックスに至ってエロティックなことをすることもあると思います。
個人的にはそれと同じようなことだと思っていて、特殊性癖と言うものをフックに人々が出会い、そこから人によってはエロティックな関係性になるかもしれませんし、ただ友達同士仲良くなることもあると思いますし、社会的な所属欲求を満たす安心する相手として一緒にいることもあると思います。

私がみているSMの世界は、特殊性癖を持つマイノリティーの人々が楽しく幸せに生きている世界です。

一人ぼっちにならず、人と人とが手を取り合ってつながり、マイノリティーでもこの世界の中で生きていくことができるようなそんな場所を作っていきたいと思っています。

その場所の中に性的なエロティックなものがあってもいいと思いますし、きれいな場所があったっていいと思います。
世界にはいろんな姿があります。
1つの姿にとらわれず、いろんな側面からSMと言うものを捉え、マイノリティーながらも、世間から石を投げられずに生きていくことができるようなそんな優しい世界を作っていきたいと考えています。

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