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秋のお能(1):秋の情景を感じる演目

能の演目で描かれる季節は、圧倒的に春と秋が多いのをご存知ですか?
今回は秋の情景を感じさせる演目をご紹介します!
作り物(舞台装置)や身に着けるものなどに、視覚で秋を感じられるような演目です。

『紅葉狩』

狩りにきた平維茂(たいらのこれもち)が、紅葉狩の酒宴をしている高貴な女性とその侍女たちに出会います。
維茂はこの宴に加わり酔い潰れてしまいます。そして夢の中で、武内の神から太刀を受け取ります。
実はこの高貴な女は鬼だったのです。目を覚ました維茂は襲いかかってきた鬼に立ち向かい、退治します。

あらすじ・見どころはこちら(多言語字幕サービス「能サポ」へ)

題名の通り紅葉の時期のお話です。
山の作り物(舞台装置)にも紅葉が添えられています。
前半は登場する女性が多く大変華やかですし、後半では鬼との戦いがあり、人気曲です。

【今後の公演情報】


10.30 第五十回記念 花影会 観世能楽堂  
 http://ttmnf.or.jp/kaeikai/50/
11.20 宝生五雲能 宝生能楽堂 
 http://www.hosho.or.jp
11.21 奈良能特別公演 秘曲の奈良能 奈良春日野国際フォーラム 
 http://www.i-ra-ka.jp/event_detail/hikyokunonaranoh/
11.27 熱海座 11月演能会 MOA美術館 能楽堂 
 http://www.moaart.or.jp/events/2021-noh/

『龍田』

旅の僧が、龍田神社を詣でようとした際、龍田川を渡ろうとすると、龍田神社の巫女から止められます。
巫女に別の道を案内された僧は、冬にも関わらず紅葉している一本の木を見つけます。この紅葉こそが龍田神社の神木でした。
その夜、僧が神前で祈りを捧げていると、龍田姫(龍田神社に祀られている女神)が現れます。龍田姫はこの地の美しさを称え、神楽を舞い、夜明けとともに消えていきました。

あらすじ・見どころはこちら(多言語字幕サービス「能サポ」へ)

時期は冬ですが、紅葉の美しさを、謡を通じて感じることができる能です。
シテが頭につける「天冠(てんがん)」に紅葉の飾りをつけることがあります。

【今後の公演情報】

11.21 大島能楽堂 定期公演 喜多流大島能楽堂 
 http://www.noh-oshima.com/index.html
12.4 朋之会 観世能楽堂 
 https://kanze.net/publics/index/529/
12.19 金剛定期能 金剛能楽堂 
 http://www.kongou-net.com/
12.26 五色の会 能を観る『龍田』 花朋会敷舞台 
 http://kahoukai.ehoh.net/event.html

『井筒』

旅の僧が、在原業平ゆかりの寺である在原寺を訪れると里の女が現れます。
その女は在原業平とその妻である紀有常の娘の恋物語を話します。
幼なじみだった二人は、井筒(井戸の縁)の周りでよく遊んでおり、そこで結婚の約束もしたのでした。
その夜、僧の夢にその女が現れます。女は業平の形見の衣と冠を身に付けて舞い、井戸の水に映る自分をじっと見つめ業平を偲びます。
夜が明けると女の姿は消え、僧も夢から覚めました。

あらすじ・見どころはこちら(多言語字幕サービス「能サポ」へ)

井筒_辻井八郎_撮影辻井清一郎

「井筒」辻井八郎師 (撮影:辻井清一郎)

舞台上には井筒の作り物の脇にススキが添えられています。
このススキにより、秋らしさが感じられ、いっそう有常の娘の寂しさを表します。

【今後の公演情報】

11.7 金沢能楽会定例能 石川県立能楽堂 
 http://kanazawanohgakukai.jp/schedule/20211107/
12.19 喜多流自主公演 十四世喜多六平太記念能楽堂 
 http://kita-noh.com/schedule/10546/
12.25 観世淳夫の会 宝生能楽堂 
 http://www.tessen.org/schedule/kikaku/211225_atsuonokai


紅葉やススキなど、秋の情景を感じられる演目のご紹介でした!
ぜひ能楽堂へ足を運んでみてくださいね!

(※公演情報は変更する場合があります。)

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