見出し画像

小さな小さなブロッター

2021年の誕生日に、友達からプレゼントされたイタリア生まれの小さな小さなブロッター。

ブロッターとは、万年筆やスタンプを使ったあとに、余分なインクを吸い取るための文房具。速乾性のスタンプ台が販売されるまでは、普通に銀行や会計部、財務部に備品としてあった。私が社会人になった頃に、『トムとジェリー』で見慣れたクラシックなものよりも、もっと簡素なプラスティック製のブロッターを初めて見た。

プレゼントされたブロッターは、女性としても小さな私の掌にもすっぽり収まるサイズ。なのに木製の本体についた持ち手と接続部分はとても繊細な銀細工。

これをネットで見かけた時に思ったことがある。
30歳の時に母と行ったイタリア旅行時に、ここまで文房具にはまっていなくてよかった、と。それと共に、はまっていたら現地でいろんなものを買うことができたのに、となかなか複雑な思いに駆られたものだ。
必ず再訪すると誓ったイタリアには、その後まったく行けてない。今の生活の状態ではおそらく再訪は叶わないだろう。

これをプレゼントしてくれた友達とも、再会は叶わない。
イタリアよりも遠い遠い場所にいるから。


このブロッターは大昔から変わっていないだろう、木製の本体に直接紙をセットするタイプ。私はこの本体の接地面に、百均で買ったシール付きのフェルトを貼り付けた。クッション性が追加され、小さな手帳で使うときにも、力がなくてもしっかり押しつけられる。腕の力に比較して指の力があまりない私には重要なカスタマイズ。茶色のフェルトにしたが、私のイメージにあるイタリアらしく、深紅のフェルトでもよかったかもしれない。

このブロッターの定位置は、昔、若者の街になる前の大阪の中崎町で買った骨董品の小さなガラス製の灰皿。昼間の太陽光に当てると、紅茶の色がこぼれ出す。部屋呑みのお酒のあてを入れるために使おうと購入した。今はお酒も嗜まないが。

ここにはナガサワのイベントで購入した木目模様のセルロイド?だったかのペンレストも一緒に置いてある。

いろんな意味で物持ちのよすぎる私だが、この灰皿と共に次世代につなげたい品であることは間違いない。

この記事が参加している募集

私のコレクション

with 國學院大學

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?