見出し画像

「誰かへ」から「自分へ」-ポストコロナの”女性トレンド”を予測してみる

コロナによっていろいろなものが5年から10年早送りされたと言われているけれど、これからのポストコロナ時代、女性のトレンドもまさにそうなってくると思います。

歴史のターニングポイントを経て、これから女性のトレンドはどうなっていくか、いくつかの観点から予測してみました。

1.ベクトルは外向きから内向きへ一気にシフト

大きな傾向としては、ここ数年も流れとしてあった「モテ」などに象徴される外向き思考から、「セルフケア・セルフコントロール」などがキーワードになる内向き思考へのシフトが一気に加速するのではないかと思います。

背景には、家にいる時間が大小あれど比較的増えることから、比例して自分と向き合う時間が長くなることが予測されるからです。

例として、1年前の女性誌の表紙コピーと、今年のコピーをいくつか比較してみます。

画像1

ーーーーーーーーーーーーーー

【JJ】

私たちaround20世代がいま着たい服、行きたいところ、やりたいこと全部!(2019年9月号)

おうち時間を楽しむ天才になろう(2020年9月号)

ーーーーーーーーーーーーーー

【MORE】

知りたくない?”カジュアルなのに女っぽい”の秘密(2019年8月号)

新しい時代の「美容力」UP!(2020年8月号)

ーーーーーーーーーーーーーー

【non-no】

トレンド服で「大人増し」する方法(2019年6月号)

「新フェミニン」と「色素薄い系メイク」で印象アプデに全集中(2020年6月号)

ーーーーーーーーーーーーーー

【ar】

痩せずにくびれ、触るとこだけすべすべ(2019年6月号)

FOR THE BEST DAY 今のうちに自分を最高にしておこう(2020年6月号)

ーーーーーーーーーーーーーー

【VERY】

VERY世代は「可愛い」=「女っぽい」と解釈します(2019年8月号)

→ おうち起点で、新しい時間割、新しいオシャレ(2020年8月号)

ーーーーーーーーーーーーーー

ニュアンスの差ではありますが、2019年はファッションやビューティーの「見せ方」にポイントをおいたコピーになっているところから、

2020年になって「自分」「新しい」「美容・メイク」の方向にポイントがシフトしてきていることがわかります。

これらを踏まえて、ファッション・ビューティ/リレーションシップ/インタレスト3つの観点から、これからのトレンドを予測していきたいと思います。

2.ファッション・ビューティ:すっぴんではなくあくまで「すっぴん感の演出」

画像5

家にいる時間や一人でいる時間が増えると、必然的に対大勢に向かって着飾る必要性が減り、逆に鏡に向かって自分のコンディションに向き合う時間が増えます。

ただし、完全に一人でいるというわけではなく、コミュニケーションはLINEやzoomを使った仮想空間コミュニケーションの割合が増えるため、「おうちにいるけれどすっぴんでもきちんとキレイな自分」を対人的には演出しなくてはいけなくなってきます。

女性だとわかると思うのですが、この「すっぴん感を演出」するというのは、かかるコストはしっかり着飾るのと対してコストは変わらない感覚があると思います。

髪をボサボサにするわけにいかないので抜け感のあるセットにするにはコテで巻かないといけないし、薄付きのファンデーションをするので結局ファンデーションを塗っている労力をかけていることは変わらないし、画面越しに映る上半身のためには新しいトップスを購入しなくてはいけない、出かける時とは少し違う小ぶりにアクセサリーも必要、、と、

楽になるのではなく今までと違う自分の演出にシフトしていくというイメージです。

力が抜けている演出には力が入っているのと同じくらいコストがかかるという前提でいくと、消費傾向は「外向けに演出する自分」から「すっぴん感のある自分」に大きな流れがシフトするいうだけだと考えていいと思います。(但し、ラグジュアリーブランドなどを除く)

画像2

また、セルフケアの分野では今までよりさらに健康志向が加速すると予測しています。それは、女性向けワークアウトの静かなパラダイムシフトが起こっている傾向が見えるからです。

具体的には、今までヨガに代表されていた「サブスクリプション・通う型」のワークアウトが、YOUTUBEの登場によりここ最近「無料・在宅型」にシフトしてきており、それが在宅で運動せざるを得なかった期間に大きく普及した流れがあると思います。

つまり、ワークアウトは価格破壊がもともと起こっていたところが、コロナによる在宅期間で、その存在を一気に知られることになったと思っています。今までより、在宅で運動を手軽にする人が増えることは、上記の「すっぴん感のある自分を磨く」というキーワードにもリンクしてきます。

3.リレーションシップ:大切な人たちとの「本当みのある」関係構築

画像3

コロナがどこに潜んでいるかわからない世の中では、くだらないと思う人間関係の中でコロナうつされたら堪らない、という思考に少なからずシフトしてくると思います。家族だけ、恋人だけとはいかないまでも、実際に会う人はコロナ前よりもフィルターがかかってくるからです。

大げさにいうと「最悪命がけで会ってもいい」と思える人との人間関係が優先されていく、ただし若い層に関しては大げさな表現になるので、コロナ前に比べてうっすらそのフィルターがかかるイメージをしてみてください。

リモートでコミュニケーションをとるにしても、自宅という快適な空間ですごす時間よりも、つながって楽しい人間関係が優先されていく。

短期的な人間関係の広がりのスピードが鈍るとともに、今いる”自分を含めた”大切な人たちと長く付き合うことの重要度が上がっていき、「真実の愛」とはいかないまでも、より「本当みのある」、たとえば心から笑い合えたり、悩みを共有できたりする友情や愛情や自己愛がどんなものなのかを今まで以上に思考する人が増えることになっていくと思います。

4.インタレスト:深掘りへシフト。みんなが「フツウオタク」になる

興味関心という面では、一人時間が増えることで、対外的な時間ではなかなか人にいうことのできなかった「個人の趣味思考」を恥ずかしがらずに深掘りできるようになっていくと思います。

流行りにのって同じ話題を共有して盛り上がるためにキャッチアップする機会が減り、人に話すのが「恥」の傾向にあった自分が好きなものに向き合える時間に当てられるようになるからです。つまり、フツウの子がオタクであることが今までよりもっと恥ずかしくない時代になる。

画像4

もう一つ、YOUTUBEやインスタグラムのインタレストレコメンドエンジンの仕組みが、狭い嗜好の深掘りを加速させ、逆にその世界外には出られにくくなる構造を強くしていっています。

「恥の減少」と「テクノロジー」によってフツウのオタクが、自然増加していく仕組みが自然と形成されていくイメージです。

その流れの中でさらに、コロナ渦によりコミュニケーションがよりシャープな方向にシフトしていき、ビジネスの世界でも専門性の高い人の即効的な成果主義に向かうと予測される中、フツウのオタクの人同士の興味関心を共通言語にしたコミュニケーションは増えていくと予測できると思います。

一方で”マス”がいなくなるわけではなく、趣味思考が深くない人たちは「興味関心を自発的に探る」ということには弱いので、大きな流行りにより乗りやすくなるかもしれません。

特に、テレビや映像エンターテイメントに関しては「半沢直樹」や「愛の不時着」の視聴数に代表されるように、大衆性のあるコンテンツが今までより多くの人に見られる傾向になるのではないでしょうか。

「誰かへ」から「自分へ、自分たちへ」、歴史のターニングポイントに立った女性たちは強く美しくなる

コロナはたった半年前からはじまったけれど、緊急事態宣言のディストピア感に驚いていた数ヶ月前から、世界は驚くほどこの見えない敵と戦う日常に慣れ始めています。

コロナ渦の問題が政策の最優先になり、少子化対策は遅れ、日本は少子化に歯止めがききません。出生数はついに90万人をきりました。女性にとってはこれからの時代、強く乗り切らなくてはいけない社会課題がまたひとつ増えたと考えていいと思います。

画像6

平和ボケ、していたわけではないけれど、ポストコロナの女性トレンドを予測していくと、女性たちは危機の時代を経験し、自分自身を強く美しくして時代を乗り切っていこうという本能が呼び覚まされていくの方向に向かうのではないかと、なぜか少し希望にちかいものを感じました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?