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Non:Fiction Part3“キラさん”

※これはフィクションです。

いつもの事だ。俺はいつものBARの横にあるカウンター席のみの飲み屋で酒を飲んでいた。俺の特等席は端っこ。全員が見えるし何より硬い椅子に添える壁がある。何気ない日常だったがほぼ一生を変える出会いに遭遇してしまう。

真っ白なバスローブを着た50代後半のおっさんが1人入ってきた。“どんな格好で飲みに来てんねん”と思いながらどうやらママとは古い仲の様だ。

ママ「いらっしゃい…キラさん!」

キラさん「おう!ママ!久々!」

いくら顔なじみでも真っ白バスローブ1枚で飲み来るおっさんなんてろくでもない。しかもあろう事か俺の隣に座りやがった。
あの時の俺は少々ギラついていた。俺はよく人から舐められる。つまり喧嘩を売られやすい若者だったのだ。そのせいで自分自身を守る為に少々ギラついていた。まあ、そんな事情は他所に。

キラさん「新米か?お前強いんか?」

始まった。またこのくだり。夜の街で飲み歩くにはそれなりに覚悟や決まりがある。つまり、暗黙の了解だ。俺はある程度はわかってたつもりだった。

俺「なんすか?」

こうなれば後は言いがかりだ。

キラさん「戦おうぜ。」

入ってきてそうそう白いバスローブ姿の変態が喧嘩売ってきた。“なんだよ。戦おうぜって。お前はサイヤ人か。”なんてこと思ってた頃にはカウンターで殴り合いが始まった。ママには申し訳ない。が結構な接戦だった。殴りのみ。捌きと我慢大会。俺たちは殴り合った。

ママ「もうやめなさい!」

手を止めたのはキラさんだった。俺とキラさんは笑いあった。拳で語り合うとはこういうことか。

キラさん「やるじゃねぇか…。」

俺「おっちゃんもな……。」

ママ「こんな狭いところでやらないで!」

俺「続きは外でます?」

キラさん「いやいい。それよりママ酒入れてく
                   れ!こいつにも!」

俺とキラさんは夜通し飲んだ。常連達がびっくりした顔で入ってくる。

常連「キラさんと俺君が飲んでる!?」

キラさんは界隈では有名な輩だった。酒の飲みすぎで雀荘で体内の致死量の血を吐き出して奇跡的に生還した人だ。オランダのアムステルダムで商売をして生活したり、獄中時代の事も。まぁ、いわゆるヤカラだ。奇跡的に全部の指が生えてるタイプのヤカラだ。後、追記で言うとバスローブというパジャマで飲みに来た変態だ。
その日は俺もキラさんも悟空とベジータの様に殴り合い分かちあったのだった。

時は経ち。2年が経った。俺はその日までキラさんとは1度も会わなかった。死んだと言う者やそもそも口にするのを怖がる者も居た。
そもそも俺の中でも忘れ去られようとしたある日のこと。絶妙に頭角を現してきた居酒屋があった。俺ら界隈ではもはや伝説の居酒屋だ。
『チャマ』。はっきり言う。客、全員ヤクザだ。又はヤクザの女達。この二択だ。店内の顔面治安の悪さTOP5には入る。
当時、俺が仲良くしていた1人の女がいた。バチバチギャルのカワイイ系の愛ちゃん。コイツは俺のソフレ(添い寝フレンド)だ。セフレじゃない。ソフレだ。1度もヤッてない。この愛ちゃんがよくチャマに出入りしていたこともあり1人で訪ねてみた。カウンター5席。テーブル6席。狭い空間にしてはいい使い方をしている。そして事件だ。なんとチャマのマスターはキラさんだった。

キラさん「おう!久しぶりやのぉ〜。」

俺「キラさん!お久しぶりです!」

意気投合するはずだ。俺とキラさんは思い出話に花を咲かせ語り合った。2年前のあの日から何があったか。俺が精神を壊した話もした。姉御が死んだ話や愛ちゃんにチャマを紹介してもらった事も。全てだ。そして、とある言葉が2人を結びつけたのだ。
     
                               “マリファナ”

キラさんも俺もこの一言でその日から親友になり終わりのカウントダウンが開始されたのだ。

それはまた次の機会で……。


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