長島(3)
長島の愛生園を一巡りした私たちは、丘の上の納骨堂を目指しました。引き取り手もなく、亡くなった後も故郷に帰れなかった人々がここに眠る、といいます。
骨つぼが並ぶ棚の、端の方のスペースを目にして、「これは、今、ここで暮らしている150人のために開けられたスペースではないか」と思い当たりました。
彼等がここに納まれば、療養所の歴史が幕を閉じます。過度に静ひつなこの島は、その瞬間をじっと待っている。そんな不謹慎な想像が膨らみました。
向こう岸に人家の明かりが灯りました。絶海の孤島の風景ではなく、この人の気配のする風景の方がむしろ、囚われ人の絶望や孤独を深めた気もしました。
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