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今年の1曲目

今年の1曲目、中島みゆき詞“蕎麦屋”、聴きました。

その日わが社は、ちょっとした不祥事の対応に追われていました。幹部は、その対応のために出払ってしまい、本部には新人だった私が残されました。

全国の支店や営業所からの問合せや叱責の電話が鳴り止まず、上司の指示をもらえない私は一人、ただ「本部の対応は検討中」と押し戻していました。

夕刻、M支店長からの電話。本部出身の切れ者で、誰より本部に厳しい人。「また怒鳴られる」と身構える私に支店長は、「大変だろうけど、しっかりな」と。

それだけいって電話は切れ、一日張り詰めていた私は、そのとき、自分でも思い掛けず泣いていました。「頑張れ」といわない応援がある、と知りました。

現場にいるM支店長が本部にいる私の孤軍奮闘をどうやって「見ていてくれた」のか、今でも分かりません。


蕎麦屋

世界じゅうがだれもかも偉い奴に思えてきて
まるで自分ひとりだけがいらないような気がする時
突然おまえから電話がくる 突然おまえから電話がくる
あのぅ、そばでも食わないかあ、ってね

べつに今さらおまえの顔見てそばなど食っても仕方がないんだけれど
居留守つかうのもなんだかみたいでなんのかんのと割り箸を折っている
どうでもいいけどとんがらし どうでもいいけどとんがらし
そんなにかけちゃ よくないよ、ってね

風はのれんをばたばたなかせてラジオは知ったかぶりの大相撲中継
あいつの失敗話に けらけら笑って丼につかまりながら、おまえ
あのね、わかんない奴もいるさって
あのね、わかんない奴もいるさって
あんまり突然云うから 泣きたくなるんだ

風はのれんをばたばたなかせて ラジオは知ったかぶりの大相撲中継
くやし涙を流しながらあたしたぬきうどんを食べている
おまえは丼に顔つっこんでおまえは丼に顔つっこんで
駄洒落話をせっせと咲かせる

風はのれんをばたばたなかせて ラジオは知ったかぶりの大相撲中継

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