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るろうに剣心最終章 The Beginning見てきた

少し前のことですが、映画 るろ剣のThe Beginning(マンガだと追憶編)を見てきました。

シリーズ通してアクションすげえ!ってことは分かっているので、今回も楽しみにしていました。で、見た感想は「今回は一味違う」です!!

見どころも、個人的な好き嫌いも含めてご紹介します!

「凶刃」の凄み×理想に燃える純情の脆さ

今作は、今までのるろ剣映画とは毛色が違います。剣心の雰囲気が今までの「強さと優しさ」とは打って変わって「テロリスト」、討幕派の下手人として凶刃を振るう男です。

るろ剣のアクションはすごいと毎回思っていますが、今回の殺陣は今までの華やかさを持ったものと異なります。特に冒頭、剣心が両手を後ろに縛られたまま始まる殺陣は、短い時間ながら「容赦のなさ」、「迷いのなさ」「無駄のなさ」が鮮明に描かれます。その凶刃振りは完全にヴィラン。一方で、彼は自分なりに「新しい時代」の到来を実現するために人斬りを続け、その理想故に純粋さを保ち続けています。原作ファンには怒られそうですが、今作の剣心をテロリストと表現したのは、少し前に欧米を震撼させたイスラム過激派の爆破やハイジャック事件を思い起こしたからでもあります。

なお、仲間含め人との関わりを極端に避ける、孤独で不器用な中二病でもあります。

桂小五郎役 高橋一生の色気

剣心は、討幕派筆頭の桂小五郎の直属の部下として働いています。桂は政敵を討つことは剣心に任せ、自身は倒幕以後のリーダーとなるべく活動しています。時に冷徹に人斬りを命じ、時にピンチの場を部下に任せて自身は身を隠し、討幕派を率いる彼は、静かなカリスマといった感じ。

この雰囲気を作り出しているのは、高橋一生の芯の強さ・慈愛・冷静さの同居した眼差し、落ち着いた低い声、優雅な立ち居振る舞いによるものと思います。革命や暗殺といったきな臭い集団の中で、まるでインテリのような不思議な存在感を放ちます。

剣心と巴の関係性

物語のキーパーソンである巴ですが、演技が抑え目なこともあって背景を知らない状態では何がしたいのか分かりません。終盤で彼女の置かれた状況は明かされるのですが、それを踏まえて言葉、行動を追っていくとその心情の移り変わりがゆっくりと見えてきます。剣心が彼女の行動に段々とほだされていく様子と、彼女の心情の変化には微妙なずれがあり、それが切なさをより強いものにしていきます。アクションを中心にした映画のテンポは早いのですが、その中でこの二人の関係の変化は不思議とゆるやかで、そのギャップにも引き込まれます。

闇乃武と、クライマックスについて

あまり細かくネタバレするのも興ざめなのでざっくり行きますが、まずラスボスの辰巳はじめ、闇乃武のメンバーが雰囲気ありすぎ。マンガのキャラを実写にするって難しいと思うのですが、「マンガ=デフォルメ、実写=バランス」という矛盾をうまいこと折り合いつけているよなーと感心しきり。

別にマンガを完全再現しているわけではないけどこの雰囲気は確かにるろ剣として見られる。実写化のビジュアルは、必ずしもマンガ通り、じゃなくていいんだよな、と思いました。

一方で、剣心を弱体化させるのにさんざん、それこそ戦闘の始まるずっと前から仕込みを進めてきた闇乃武の面々が、無駄死にしてるように見える場面が多く、そこだけ今までのマンガチックなるろ剣の雰囲気に戻ってしまったようでもどかしく感じました。特に辰巳!お前が余裕ぶっこいてどうする!

また、剣心の頬の十字傷のでき方もマンガのそれとは微妙に異なります。私はマンガを読み込んでないのであまり気にしませんでしたが、コアな原作ファンはどう感じるのかな?と思います。

最後に、今作の雰囲気、何か他の映画につながるものを感じるんだよなーと思ってたんですが、二つ関連を感じるものがありました。

一つは、「これ、日本式のフィルム・ノワールだわ」ということです。1960-70年代のハリウッドのギャングものと言ったら良いでしょうか?壮絶な暴力、謎の女、組織との決別など、構成要素が似てます(筋書きが似てるわけではない)。

もう一つは、シリーズの雰囲気から外れた異色作ということで、X-MENシリーズの「ローガン」になんとなく似てるな、ということです。こちらのメインシリーズでは、派手なアクションや強敵との対決の中、最後に希望が残る、いかにもアメコミな世界観が展開されます。そして「ローガン」は、仲間を失い、不老不死の能力を失って死に向かうローガンという別世界設定。メインシリーズと違い、終始世界観はダークです。

というわけで、るろ剣の中では異色、だけどやっぱり引き込まれたThe Beginningでした!

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