それでもオリンピックを開催する理由
東京オリンピックの開催について、議論が白熱しているようですね。
やるにせよやらないにせよ、こんな直前でグダグダ騒ぐなよ…と思うんですが、どんな議論があるのか調べてみました。ポイントはいくつかあるので、私が調べて腑に落ちるものを書き出しています。
オリンピック開催是非についての要点
①契約
オリンピックの開催は、「開催する都市」「IOC・JOC」で契約を取り交わすので、ここだけ見ると政府は中心ではないんですね(現実には他の問題が絡むので無関係ではいられない)。
契約には大会の中止に関わる条項も盛り込まれており、「戦争や内乱などの、参加者の安全が脅かされる場合」は、大会を中止できるとしています。
契約取り交わし当時は、話題の「例の感染症」がここまで人気を博すとは誰も思っていなかったので想定外、また戦争ほどのインパクトはないので大会を中止する事由とは言えず、これを理由に大会を中止する、というのは契約書を読んだ限りでは「通らない話」です。また、これを背景にIOCは「日本は安全だし、大会は戦争が起きない限り開催できる」と強弁しているのではないかと思われます。
また、大会を中止する権利はIOCにあり、開催都市側にはその権利はありません。また、中止する場合は、開催都市には「IOCに損害が及ばないようにする」義務があるそうです。損害賠償とか起きたら東京都が受けなきゃならないんじゃないかな。こんな一方的な契約ってあるんですね(仕事でこんな契約書出されたら取引できない)。
結局、莫大な損を確定させて中止の議論をする(しかも東京都には本来その権利がない)くらいなら、無観客か有観客かの議論をしながら開催ありきで進む方がまだマシということなのでしょう。少なくとも緑の政治家は後世に「コロナに負けずオリンピックをやった!」という事実を残すことができます。
②お金の問題
現時点で施設の建設費、開催準備も含めた大会の運営費用など、すでに発生しているお金があり、大会が中止された場合は、それを補填するためのチケット代(一度立てた売上を返金せざるを得ない?)やIOCからの負担金が入らなくなります(可能性低いが、多額のスポンサー料も?)。
大会を中止したところで赤字のまま、ということですね。そしてIOCに赤字が発生する場合は東京都が補填する、東京都が補填しきれない場合には政府が補填する(だから政府も当事者になる)ということのようです。緑の魔女が開催に頑なにこだわるのは、こういう部分なのでしょうか。
③感染症対策
「医療逼迫」「緊急事態」と、煽りにあおったおかげで、国内では自粛を当然とするマインドと、大規模なイベント開催に対して強い抵抗感があります。この世論を説得することは非常に難しいと思います。
また、日本の感染ピーク時での感染者比率(感染者/人口)は、ワクチンの接種がある程度進んで感染者が減り、「例のアレに勝利したぜぇー!」とガッツポーズを決めている欧米(米、英あたりが比較しやすい)の国と同レベルです。日本はこのレベルをあたかも「最悪の事態」のように規定し、ここから「感染者を減らせ!もっと劇的に低く!なんならゼロに!」という目標設定をしているので、セルフ激烈ハードモードです。この状態で会期中に少しでも感染者が増えようものなら「それ見たことか」と、関係者が袋叩きに遭うのが怖いので、行政はパフォーマンスのために過剰(かつ、個人的には無意味と思える)な人流抑制、経済への圧迫を続けているのでしょう。ただ、感染症の波は今までのところ緊急事態宣言や飲食店、接客業の犠牲と関係なく増減しているので、どうせ何をしても次の波は来るものと思います(おそらく大会の直前か最中)。
パニック状態の世論(実際はごく一部の声だと思いますが)と無茶な課題設定で自縄自縛になった中で、感染症を今以上に制御するつもりなら、とにかく難題だ~としか言いようがありませんね。
オリンピックはどうなるか(私見)
私は、オリンピックはこのまま開催すると思いますし、観客も可能な範囲で入れて行うことになるのではないかと思っています。
調べていて思ったのですが、日本(東京都)からすれば、おカネの問題があるので大会は開催の一択しかなく、赤字は自分たちがかぶるしかないという状況に見えます。そうなると、運営側(東京都・政府)は、どうにかこうにか国民をなだめすかして開催する&少しでも金を稼ぐために観客を入れる、という方向に行くのが妥当なのではないでしょうか?
感染症の影響は?
ちなみに大会を開催し、9万人とも言われる関係者(選手とチーム関係者、報道陣など)が日本に入ることで何が起きるか?という話があるのですが、私は日本国内での影響は少ないと思います。国際的なスポーツイベントで彼ら関係者が一般の日本人と濃厚接触する可能性は低く(ふつうは専用の車両や宿舎など、限られた場で移動・生活する)、仮に関係者に感染者がいたとしても、日本国内に一気に広がるようなインパクトはないでしょう。
また、極端な例ですが9万人全員が多数の日本人と濃厚接触したとしてもたかが知れています。人口に占める新規感染者数は、感染の多い米国のピーク時でも人口の0.07%程度、9万人に対してなら63人、多少上にブレても100~200人程度です。実行再生産数が流行時に1.3と考えても、数百人の感染者が上乗せされるだけで、日本国内の大きな流れを変えるレベルにはならないかと思います。
IOCに物申さないの?
最後に、個人的に気になっていることについて書きたいと思います。
IOCの強硬な姿勢に対し、契約を盾に取られて身動きが取れない東京都、政府ですが、私は要求を通したいのであれば「契約を反故にしてでも」もっと闘うべきだと思います。もっとしたたかに渡り合うことを考えた方がいいんじゃないでしょうか?相手は銭ゲバなんですから。
オリンピックは、理念上は平和の祭典ですが実際は巨大な規模を持つ経済イベントですし、IOCは平和やスポーツマンシップの体現者でも守護者でなく、巨大な利権団体です。IOCが最も困るのは今後、オリンピックの開催というブランドが各国、各都市に対して魅力を失うことです。今後、今回のような異常事態で責任を背負いこまされると分かれば、治安、インフラ、財力が整った都市が開催都市に応募せず、イベントとしてのブランドが落ちればオリンピックに群がるスポーツブランドや選手も減るでしょう。
開催が危ぶまれる現在のような状況で、「開催国・都市がそっぽを向く可能性」を突きつけ、契約を盾に取るような態度が今後通用しないと思わせれば、IOCも交渉に応じるかもしれないのに、と思うのは考えが甘すぎるんでしょうか?
なんかまとまらない感じになってしまいましたが、オリンピック開催なら陸上競技、短距離だけは見たいなあと思いつつ終わりたいと思います。
読んで下さって、ありがとうございました。
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