ここは全部わたしの世界

子供の頃から一人でいることに全く不便を感じない。むしろ誰かと一緒に何かをして足を引っ張るのが嫌だとすら思っている。基本足を引っ張りがちだ。だから、フラフラと一人でいろんなところに行く。以前、「一人で入るのに抵抗を感じる場所」的なアンケートを見た事がある。焼肉、ラーメン、ファミレス、遊園地。遊園地以外は全然問題ない。

駅で一枚のポスターに惹かれて開かれていた個展にギリギリ飛び込んだ。

「河鍋暁斎」日本を代表する天才的な絵師の一人だ。鳥や花、動物や人物、妖怪や恐ろしい幽霊画やユーモラスな絵日記を描いている。娘さんも素晴らしい日本画家だ。

埼玉県の蕨市に河鍋暁斎氏の記念美術館があるらしい。なにそれ、行きたい。グッズ買いたい。ここには無い絵もあるんだろうな。

その機会は思ったよりも早くやってきた。

蕨駅からコミュニティバスが出ている。

ほどよく酔いがまわってきたところで美術館前にバスが到着した。私は乗り物酔い王である。よく苦手食材を食べられないことを「人生の半分損してる」というが、乗り物に酔いやすいという事は人生のほとんどを損していると言っても過言ではない。生まれ変わるなら乗り物に強い人生を送りたい。あと、運動神経が良くて感が鋭くていい守護霊が憑いてるんじゃないかと思われるくらいの強運の持ち主に・・・って強欲だな。

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案の定、感動でいっぱいになった。

ものすごい躍動感。鳥にくわえられた魚は逃げ出そうと必死だ。菊の下の猫は柔らかくて生意気だ。フクロウがじっとこちらを見つめていた。

河鍋邸にあったと言われる蛙の石灯籠がユーモラスで蛙は苦手なのに自然と笑みがこぼれる。

グッズが売ってるお店では一角がカフェとなっていた。Tシャツ、マスク、絵葉書、シール、ハンカチ、図録、さまざまな本、食器、気付けば変なテンションであれもこれもと買いそうになり深く深呼吸する。「私よ。身の程を知れ」一つ希望を出すなら団扇や扇子の種類がもっと欲しいな。出来れば「地獄太夫」の絵で。動物さんシリーズもいいな。

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そしてまたコミュニティバスで駅まで帰る。とっても贅沢なわたしだけの時間だ。ただ、ソロ活動の残念なところはこんな風に顔出しパネルがあっても撮れない事である。

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