見出し画像

泣いたって始まらないのに3

 由美が降りて行くと、大和は手をあげて近づいて来た。

「お疲れ様です。今日は無理言って本当すみません」
と頭を下げた。
「いいから気にしないで。で、何食べる?私お腹すいたわぁ、河田君も空いてるよね」
由美は駅の方を指差しながら歩き出した。
「河田君は好き嫌いない? 和食とか大丈夫?」
「はい! 和食大好きです」
「じゃぁ、ちょっと知ってるお店があるから電話してみるね」
大和は思いっ切り頷いて立ち止まった。
「あっもしもし? 由美です。こんばんは。今って個室空いてます? 良かったぁ、これから二名で伺いますので、はい宜しくお願いします」 
電話を切り、
「空いてるって」
そう言うと由美子は歩き出した。
ふたりは大した会話もなく、気まずさが由美の足取りを速めさせた。
突然小さなお店の前で止まった由美が。
「着いた」
そう呟くき店に入って行った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?