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コミュニケーションの教科書 #6 コミュニケーション・システム

組織としてのコミュニケーションの重要性

(1)組織活動の要素


 組織を効率的に運用するには、「組織の目的」「協働の意識」「組織の仕組み」の3つが必要です。「組織の目標」があり、その目標に向かって協力し合いi働こうとする意欲のある人々がいて、その人々を目的の方向に向かわせるための「仕組み」が必要であり、それらを結びつける「コミュニケーション」が必要になります。このようにコミュニケーションを抜きにして組織の活動はありえません。コミュニケーションが取れている組織は活発に組織活動をしているといえます。

(2)コミュニケーションの中身


 コミュニケーションとは、言葉・表情や身振りなどのボディランゲージによって、情報、意思、感情を伝え、あるいは交換する活動です。

①隠れた意味をつかむ

 言葉によるコミュニケーションで難しいのは「表面上の意味」と「隠れた意味」があることです。言葉を言われたまま受取るだけでなく、それによって相手が本当は何を言いたいのかをつかまなくてはなりません。

②社会的な信号としてのあいさつ

 コミュニケーションの中で無視できないものに「あいさつ」があります。「あいさつ」の言葉はそれ自体に意味はありません。「あいさつをする」という行動そのものに意味があります。それは人と人、集団と集団との関係を円滑にするための社会的ツール(道具)です。このツールを使いこなせなければ、社会生活はできないと考えるべきです。

③タテヨコのコミュニケーション

 企業のコミュニケーシヨンは、上下関係(タテ)、同僚、他部門(ヨコ)のほか、社会、顧客との間で行われます。仕事をスムーズに進めるためには、常に何の目的で、どこの、だれに、いつ、なにを、どのような形で(5W2H)伝え、あるいは聞くのかを考えていなけれぱなりません。

コミュニケーション・システム


 組織部内において情報が伝達されるコミュニケーションの構造を、コミュニケーション・システムと言います。「情報の流れのシステム」とも言います。

コミュニケーション・チャネル


 組織内において、情報はある一定の経路を流れます。この経路のことをコミュニケーション・チャネルと言います。組織の手続きに従った計画によって設計される場合もあり、必要に応じて自然発生的に形成されることもあります。

コミュニケーション・チャネル

情報の発信地

決定箇所

活動箇所

情報は組織内において、一定のルールに沿って決定され、実際の行動を起こす部署へと流れています。

コミュニケーション・ネットワーク


 組織を網の目のように張り巡らせたコミュニケーション・チャネルの全体的なシステムを、コミュニケーション・ネットワークと言います。コミュニケーション・ネットワークは、タテ型構造とヨコ型構造に大別され、グループの効率や成員のモラルに重要な影響を与えます。

タテ型構造とヨコ型構造

タテ型構造は管理の徹底を必要とするような職場に適し、ヨコ型構造は、製品や企画などアイディアや研究成果を持ち寄り、新しいものを作り出すような職場に適しています。

(1)タテ型構造

 タテ型構造は通常の組織図に良く見られるもので、A(長)が4人の部下に職務を割り当てて命令を与え、部下が長に報告する構造です。

(2)ヨコ型構造

 ヨコ型構造はDとEがそれぞれBとCに報告し、BとCがAに報告する構造です。B、C、D、Eの間では、それぞれ相互にコミュニケーションが行われます。相互にコミュニケーションが行なわれる為、情報量が多く、状況の変化に対する適応力が強化される特徴があります。

企業・組織の運営


 現代は「答えのない時代」といわれています。その中で、答えとの距離が近い組織としてタテ型組織からヨコ型組織へと変革している企業があります。京セラの「アメーバ型組織」や花王の「マトリックス型組織」などの組織例です。また、近年「プロジェクト型組織」も横型組織の一例です。これらは単に階層が少なくなるだけでなく、社員同士の接面ができるだけ大きくなるような組織形態が模索されているのです。従来の部門や部・課の垣根を越えて社員がプロジェクトに参画し、さらに同じ社員が同時にいくつものプロジェクトに参加する例も見られます。「社員同士の接面を極大化する」注目の組織形態といえます。

組織には、インフォーマルの集団とフオーマルな集団に分類されます。

  1. 血縁や地縁などの関係で結びついた関係志向的集団

  2. 明確な課題を遂行するといった関係で結びついた目的志向的集団


組織を成立・維持・成長させるためには、組織構成員同士の考えで

  1. 共通の目的

  2. 目的達成のための協働意志・意欲

  3. コミュニケーション(互いの意思の疎通)

が必要です。

 企業・組織の運営においては、人間関係管理等を必要とされます。組織論、モチペーション、コミュニケーション、リーダーシップ論などがあります。労働生産性の商い労働として発揮できるように、従業員の高い労働意欲を引き出すためにモチベーションがります。次のような方法が挙げられます。

(1)業務遂行により商い報酬への期待感

  1. 経済的、外的、物質的報酬

  2. 人間関係、昇進、達成感などの非経済的、内的、心理的報酬


(2)企業・上司・従業員の目的の一体化

 意欲向上、積極的な参加意識を促し、貢献したくなるような態度と雰囲気作り


リーダーシップ論


 リーダーシップ論とは、組織の中でリーダーが仕事の達成と人間関係の円滑化との双方を十分に配慮しながら、性向やニーズ、企業関係の諸状況などの全体を総合勘案しつつ、組織の目的達成に向けて努力するよう影響を与えることです。そのために、リーダーはパワーを身につけなければなりません。極端に述べると、下記の項目が考えられます。コーチングの考えと異なる点が多々あります。

  1. 強制的勢力・・・武力による力により部下を服従

  2. 報酬的勢力・・・アメを提供し、いうことをきかせる

  3. 専門的勢力・・・専門的知識をもっていうことをきかせる

  4. 正当的勢力・・・筋を通す

  5. 準拠的勢力・・・部下からの尊敬が決め手

  6. 情報的勢力・・・情報を提供し、いうことをきかせる


 リーダーに求められる資質として、次の項目が考えられます。この点では、コーチングと似通った面をとらえることができます。

  1. 理性

  2. 判断力

  3. 思いやり

  4. やさしさ

  5. 積極性

  6. 傾聴


組織の運営にあたっては、葛藤が起りやすいものです。組織、集団、個人間の利害や感情の対立と意識・役割のズレによるものです。

  1. 組織と組織・・・市場競争や利害

  2. 集団内部・・・派閥間競争や利害

  3. 集団と集団・・・部門間競争や利害

  4. 個人と組織・・・身分や処遇についでの不満、期待感と欲求・行動のズレ

  5. 個人と個人・・・上司と部下、同僚同士の評価、感情のもつれ


これらの葛藤を生じさせないためには、

  1. 好ましい対人関係の育成と保持

  2. 顕在化させない工夫

  3. 顕在化した葛藤の処理


が必要であり、そのための技法として、セラピストなどによるカウンセリング、苦情処理制度、懇談会などにより改善する必要があります

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