コミュニケーションの教科書 #12 社会とコミュニケーション
個人と社会(集団)のコミュニケーション
個人は何らかの社会(集団)に帰属しており、しかも多重的に属しています。家族(血縁社会)、会社(結社)、自治体(県民)、国家(国民)、異文化(国際社会)等があります。
集団→組織→地域社会‐團家→異文化
企業は、契約で結ぱれた人間集団の組織(結社という社会)であり、なおかつ法人という人格を同時にあたえられています。企業のコミュニケーションでは、日々の業務において組織内コミュニケーションに加えて組織間コミュニケーション(社外)が重視されます。この場合、組織(会社)を代表するチャネルは1本になるので、発信者が少数になり組織内で依存性が強まる傾向にあります(例えば、マスコミ対応は広報担当に任せておけばよいなどといった考え)。ここが個人問におけるコミュニケーションと大きく違ってくる点です。
組織の特徴
組織はフォーマル(公式的)な存在である。
組織は階層をもつ(組織内の個人的立場では他の組織と公なやりとりができない)。
組織は個人よりも寿命が長いことが多い。
企業のコミュニケーションは組織vs個人・組織・社会・国家の階層別になってきます。ここからコミュニケーションレベルという概念が生まれます。
企業の属性
定量的評価をされる集団である。
利己的集団である。最終的‥ま利益がなくてはならない。
機能的に分業化され、内部コミュニケーションをもつ。
他団体と関わりあう外部コミュニケーションをもつ。
企業とコミュニケーション
企業の利益性:企業と顧客(顧客との取引によって得られる)
企業の組織性:企業と社員(個人は雇用契約によって組織に参加)
企業の社会性:企業と株主・社会(収益を上げて配当を提供、寄付・ボランティア支援)
企業がコミュニケーションを行なう相手
株主(大株主、機関投資家、一般株主、持株会など)
債権者・取引銀行・証券会社
地域社会
従業員、労働組合
得意先、取引先(協力会社)
政府、官庁、政党
教育機関
企業がコミュニケーシヨンを取る意図と内容は相手ごとに異なってきます。取引銀行だけでも運用を任せている主要取引銀行とそうでないものがあり、証券会社でも幹事証券会社とそうでないものがあります。債権者でも、相互に債務を負っている会社とそうでないものがあります。
例をあげると、
従業員:役員・管理職と一般社員で違う。
顧客:メーカーからみた顧客は流通業者、小売業者、最終消費者とばらばら。
教育機関:人材の確保先だが地域・学校・学科が異なる。
社会:マスコミ、地域住民、消費者団体で対応が変わる。
公的機関:国の機関、地方公共団体で異なる。
意図・中身・手段は常に変化せざるを得ません。ある意味では、企業とは毎日のこうしたコミュニケーション活動の総体から成る存在とも考えることができます。
企業のコミュニケーション例
株主→企業:もっと短期収益を上げて、もっと配当をあげよ。
企業→株主:株式保有継続のアプローチ(長い目で見てください、きっと得をする)。
社会→企業:寄付の要請、地域社会に貢献せよ。
企業→社会:企業活動しやすいように交通・通信インフラを整備せよ。
企業のコミュニケーションの特徴は企業のコミュニケーションの場合は対立が多いと回数が増える現象が見られます(契約違反の示談、待遇改善など個人対企業の利害調整)。つまり、送り手と受け手に相互の了解があるときには生じず、これがくずれて利害対立が起こると生じるといった特徴があります。対立するほどなくなる個人間コミュニケーションと違うのがビジネスコミュニケーションです。特に、企業と地域社会(マスコミや市民団体)は互いに対立的な関係を起こしやすいと言われますが、コミュニケーションの機会はむしろ増えることになります。このように、ビジネスコミュニケーションは批判的理解か協調的理解かを問わないことになってきます。
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