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【インタビュー特別編】天使代行ラングドシャに聞く『TRPGってなぁに?』

初めましての方は初めまして、そうでない方はお久しぶりです。日向キタローです。

インタビュー企画第29弾は特別編!個人の活動に関してもインタビューをさせていただいたドシャ様こと天使代行ラングドシャさんに、配信シーンでもますます盛り上がりを見せているTRPGについて、基礎的な知識を少し聞きかじった程度のわたくし日向キタローがいろいろお聞きしてきました。

TRPGのことを知っている人、まだ知らない人、興味がある人お楽しみに。

※普段とちょっとテイストが違います。



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・『TRPG』ってそもそも何?


ー 改めまして、TRPGをちょっと聞きかじった程度の知識しかない自分に、ラングドシャさんにTRPGについてご教授いただければなと思います。


ご教授!?私でいいのかなって思いますけどね?正直。めちゃくちゃTRPG配信やってはいますけど…。活動の半分くらいTRPGをやっている気がします。

”TRPGっていうものがなにか”っていうところから説明したほうがいいですよね、多分。


ー そうですね。”TRPGをざっくりとしか知らない”というような人にも…というような方向でお聞きして…加えてですが自分も同じような感覚なので知っていければな、と。


自分用に「TRPGって何?」っていう画像を作っているので、そちらも見ていただければと思うんですけど…。


1からになりますが、”RPG”って聞いて大抵の人が思い浮かべるのが「画面があって、機械があって、プレイヤーがいて、リモコンで操作して、機械の方で映像が動いたり、ゲームが進んでいく」っていうようなものだと思うんですけども、”TRPG”の方は全部人間がやります。言葉で行動とかを「俺はこう行動します!」って宣言するプレイヤー(PL)と、その行動に対して結果を反映するゲームマスター(GM)…とだいたいは呼ばれてます…って人がいて、TRPGの”ルール”と”シナリオ(お話の道筋)”を元に物語やゲームを進めていきます。 それが現在「テーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)」って呼ばれているものですね。 そうじゃないゲームも色々あるんですが、とりあえずここでは割愛で。

要は、コンピューターゲームのコンピューターの部分も全部含めて人間がやっているっていうのかなって思っています。


ー なんというか…全部をアナログでドラクエをやるっていうような感じなんでしょうか。


そうですそうです。そういうことですよね。よく言われてるのは「ルールのあるごっこ遊び」ですね。

で、全部アナログでやると何が利点かって言うと、”アドリブが効く”んですよ。コンピューターゲームだと「こういう入力をされたらこういう結果を返す」っていう固まった結果があると思うんですけど、TRPGの場合は…例えば「その場に通らなければいけない門があって、その前に門番がいて、通れそうにない」っていう状況で、それに対してプレイヤーが操作しているキャラクター(PC)たちは門番を剣で斬って倒してもいいし、色仕掛けで篭絡しても、巧みな交渉によって説得してもいい、っていうアプローチの仕方にそれぞれのバリエーションが生まれるんですよ。それに対してのGMも「この門番の人たちはこういう強さだからむしろあなたたちは負けるよ」っていう反映を返したりだとか、「門番の人たちは女好きなのでその色仕掛けには簡単に落ちますね」っていうその場その場で柔軟に結果を返せる。そういう人間による”ブレ”が生まれることによって、参加した人たちオリジナルの物語が生まれていくっていうところが面白みの最たるものなんじゃないかなと個人的には思っています。

わざわざアナログでやるという理由としては、そういう柔軟さが売りなのかな、と。


ー デジタルのゲームのシナリオ分岐とまた違ったシナリオ分岐をするなっていうのは、いくつかの配信を見て自分としても感じた部分ですね。


同じシナリオを遊んでも、参加した人と持ち込んだPCと、そのシナリオを進めているGMによって全然違うお話が生まれるのでそこが面白いところかなと思っています。


ー TRPGに関して、多少の知識しかない状態のイメージとしては、ゲームマスターを含めて4,5人くらいで遊ぶものというイメージがあります。


だいたいそれくらいですね。中にはゲームマスターとプレイヤーで1対1というのもありますが。



・TRPGのジャンル、システムってどれくらいあるの?


ー よく配信で見る機会が多いなと感じるのは『クトゥルフ神話TRPG』かなというイメージがあるんですが…。


クトゥルフ神話TRPG(CoC)』人気ですね~。

やっぱり動画配信だったり、実際のプレイヤーの人口としても『クトゥルフ神話TRPG』をやっているのが圧倒的なんじゃないかな…とは私も思いますね。そのあたり(人気の理由として)はいろんな分析がされていて、ちょっと繊細というか下手したら戦争とかになっちゃうんですけど…。

元々ニコニコ動画の方で『クトゥルフ神話TRPG』のリプレイ(セッションの様子をを物語調に整えたもの)の動画や生配信の流れが盛り上がって、そこが今の源流なんじゃないかなと思ってます。

いろんな『クトゥルフ神話TRPG』の人気なリプレイ動画が出たりとか、もしくはルールがぱっと見簡素だったりとか…いろいろなところを突き詰めていくと複雑ではあるんですけど、わりととっかかりやすいゲームではあると、私としてはそう思って。あとは現代社会を舞台にできるっていうのがとっつきやすかったのか、人気のある配信者さんがやっていたからっていう部分があるのか…。理由がわからないんですけど、なんか流行ってますね。


ー わからないけど何かしらいろいろあるんでしょうね…。


人気の秘訣なんだろうなっていうところはあるっちゃあるし「なんでこれが流行ってるの?」っていうところもあるっちゃあるし…っていう。なにはともあれ、結果として流行っていますね。


ー 言葉遊び的になりますが「流行っているから流行っている」感覚ですね。


そうですね(笑)

バーって広がっていってからも早くて、いろんな人がシナリオを書いて同人シナリオとして出して、それをみんなが遊んで、配信とか動画にしていくことでまた広まっていくっていくっていう感じかなと思っています。


ー 他にもジャンルがあるらしい、というのは伺っているのですが、”TRPG”という括りとしては一応『マーダーミステリー』も入ってくるんでしょうか。


私はジャンルとしてはTRPGだと思っているんですけど…。『クトゥルフ神話TRPG』だとか、『エモクロア』だとか、その種類の1つというかは…大枠として一部一緒って感じなのかなあ…っていう。どちらかというと人狼に近いジャンルかな、と私的には思います。人狼も大枠としてはTRPGかなって思っています、テーブルでトークして…なので。ストーリー的なものが絡んでくる、人狼っぽい犯人当てゲームかなって。


ー 自分はぱっと出てくるのが先のクトゥルフを含めて2つくらいしか出てこないんですが…。どれくらいジャンルがあるんでしょうか。


企業から出てるのからでもいっぱいあるし、同人で出てるのもいっぱいあるし、絶版になっているのも結構あって…。ルールの種類はいっぱい出ています。

有名なのはさっき言った『クトゥルフ神話TRPG』かな、と。『クトゥルフ神話TRPG』がそもそもラブクラフトさんが書かれた「クトゥルフ神話」っていう、架空の神話シリーズを元にした探索ゲームですね。それとはまた違ってマルチに”怪異”っていうものを対象にしたのが、配信者さんのぱぱびっぷさんと、(現在は開発チームから脱退していますが)まだら牛さんという方が共同開発された『エモクロアTRPG』っていうのがあって、それがクトゥルフの次によく見るかなあ…。


ー 確かによく『エモクロア』というタイトルは見ることが多いですね。自分の見ている範囲の中だけ、になりますが。


かなりいろんなTRPGシステムのいいとこ取りをしようとしたのかなっていうシステムで、怪異に触れて事件に巻き込まれたりする話っていうもので、感覚としては『クトゥルフ神話TRPG』に近いのかなとは思っていたり。

他にも”レネゲイド”っていうウイルスに感染した結果、異能力に目覚めた”オーヴァード”っていう存在になって異能力バトルをする『ダブルクロス』っていうシリーズがあって…これは私がめちゃくちゃ好きなシリーズなんですけど(笑)

あとはファンタジーの世界で遊べるTRPGのシリーズもあって、私はあんまり遊んだことはないんですけど…『ダンジョンズ&ドラゴンズ』っていうTRPGもあったり、他にも同じく『ソード・ワールド』っていう別の世界観でファンタジーができるものもあって、これはドラクエに近い感じの王道ファンタジーができるやつですね。あとは同じ王道ファンタジーができるものでも『アリアンロッド』っていうものがあります。『ソード・ワールド』はルールブックの方で「世界観はこうで、こういう歴史があって、こういう種族がいて、文化がって、差別があるよ」っていうガチガチに固まっている感じで、『アリアンロッド』も世界観設定はあるものの、異世界転生モノができるルールがあったり、比較的ライトな雰囲気のファンタジーが楽しめるかな?という印象です。ファンタジーだけでもぱっと挙げられるのでこれだけありますね(笑)

変わり種だと『ゆうやけこやけ』っていうTRPGがあって、TRPGって結構「何か行動を試みた時に”じゃあその試みが上手くいったかどうか、サイコロを振って決めようか”」っていう判定って呼ばれるものがあるんですけど、『ゆうやけこやけ』に関してはその判定をしません。言葉のやりとりだけで進めるTRPGなんですよね。そういう”サイコロを振らないTRPG”もあります。 世界観自体もちょっと不思議な感じなんですよ。今までのは”ファンタジーで冒険する”とか”現代日本で探索する”みたいな感じだったんですけど、『ゆうやけこやけ』はそういう劇的な冒険をするんじゃなくて、プレイヤーは人間に変化できたり不思議な力が使えたりするかわいいぽよっとした「もののけ」になりきって、他の人間や他のもののけと関わったりして「ほのぼのとした優しいお話を紡いでいこう」っていう感じのものになります。雰囲気としては『のらみみ』とかに近いのかな…?そういうほのぼのとした妖怪もののTRPGが遊べるものもあります。

ー 『ゆうやけこやけ』というタイトルからそういう雰囲気なんだろうなというのは感じますね。


他には『シノビガミ』っていう忍者になれるやつがあります。結構マダミスチックな部分がありますね。相手の持っているカードの情報を探って、真相にたどり着く…みたいな感じで。上手いこと相手を出し抜いて、1人勝ち抜けるっていう対立型みたいなものもできますし。ものすごくざっくり言ってしまうと”現代を舞台にNARUTOをやる”っていうイメージですかね…?

あと、すごい局所的な需要に応えたTRPGもあって…『フタリソウサ』って言うんですけど。これは私、最近初めてやったんですよ。あの…探偵と助手っていう組み合わせ好きですか?


ー 嫌いな人はなかなかいなさそうですよね。かくいう自分もそういう組み合わせは好きです(笑)


「相棒」とか「TRICK」とかああいう探偵と助手みたいなバディものって好きな人多いと思うんですけど、そのバディのロールプレイをひたすら楽しむことに特化したTRPGが『フタリソウサ』ですね。


ー そんなピンポイントな…。


こういう局所的なのもあります!(笑)

他には、物語を紡いでいく…っていうよりかは、お互いに出し抜き合戦をするみたいなプレイ模様になるらしいんですが『パラノイア』っていうゲームシステムがあって…。これはSF近未来を舞台としたディストピア的な世界観なんですけど、その中で主人公たちはそこの住人になって、お互いを出し抜きつつお互いのミッションをクリアしていくっていう。ちょっとギスった世界観のゲームになってますね。


ー なんというか…需要の数だけシステムがあるような感じなんですね。


ホントにありますね!「こういう世界観で遊んでみたい」とか「こういうルールがあったら楽しいんじゃないかな」っていうのをいろんな人が考えて出してくれていて。

と、まあシステムに関してはこういう感じですかね。「こういうのがあるよ」っていうでは。


ー 思っていた3倍以上は豊富で今結構びっくりしています…。


ホントに多いんですよ…(笑)

歴史も長くて、結局元々アナログのゲームのほうがコンピューターゲームとかよりも先に生まれているものなので、いろんな人が考えたいろんなTRPGがある形になっています。



・最初に触れるTRPGは?


ー やっぱり初めての人がとっつきやすいのは、プレイヤー人口の多い『クトゥルフ神話TRPG』になるんでしょうか。


そうなるかなっていうのはありますね。

私の場合はですけど、『クトゥルフ神話TRPG』でファンタジーっていうのはちょっとやりにくくて、剣と魔法の物語っていうのは結構工夫しないとできないんですよ。なので慣れてから「クトゥルフ神話TRPGではちょっとやりにくいな」っていうような世界観のゲームが遊びたくなったら、他のシステムに手を出して欲しいなって思います。


ー 始めてみて、ある程度慣れたら個人個人がやりやすいようなものを遊んでいけばいい、というような感じでしょうか。


個人個人に合わせてやりたいようにやるのがいいかなと思います。やっぱり遊びなので楽しくないと。


ー ”多い”というのはある程度わかってはいましたが、改めてこうして説明されると幅が広いな…と感じますね。


可能性は無限大です!

結構「こういうのない?」って聞くと「あるよ!」って有識者から飛んできたりしますからね(笑)Twitterで試しに「こういうTRPGってもしかしてある…?」って聞いてみたらわりと教えてもらえることがあると思いますよ。


ー ほぼ知らない立場からのイメージだと、あとは”そこそこ時間がかかる”っていうのがあります。


あー、たしかに時間がかかるのは仕方がない感じはありますね…。コミュニケーションのゲームですし、判定とかのダイス振ったりするっていうのがあるので。だいたい短いので1時間~2時間くらいかな…長いものだと20時間とか…。


ー 20時間…!?


ありますあります(笑)この点に関してはシステムが、というよりかはシナリオが長いっていう部分ではありますね。

有名所でいうと、配信でもよく見かけるディズムさんっていう方が作っていらっしゃる『クトゥルフ神話TRPG』の『カタシロ』っていうシナリオがあるんですけど、結構短めのもので、2時間くらいで終わるものになってます。


あとは結構キャラクターになりきるっていうことがハードルが高いっていう方もいるんじゃないかなと思うんですよ。そこも醍醐味の1つではあるんですけど。


ー 慣れないうちはロールプレイなどはやりづらいっていうのはあるのかもしれませんね。


『カタシロ』はその点”なるべく自分自身に近いキャラクターで来てください”っていうのが推奨されているシナリオで心理ゲーム的な楽しみ方ができるので、そういう部分でとっつきやすいシナリオだと思います。


ー そういう部分でも今配信で見かけるのが増えているのかもしれませんね。


作者のディズムさんも『カタシロ』を回すことに積極的で「TRPG界隈に普段縁がないんじゃないか」って思う人にも声を掛けていたりとか…。

あとは舞台もやってらっしゃいましたね、『カタシロRebuild』。舞台の上に『カタシロ』の世界をそっくりそのまま再現して、呼んだ役者さんにその世界に迷い込んだつもりで『カタシロ』をやってもらうっていう、ナマモノの舞台みたいなもので、あの試みは面白いですよね。

私自身も情報を見た時は「TRPGで舞台…?」ってなったんですけど、要は背景とか小物とかをきっちりセットして行うTRPGって思ってもらったらいいのかなって思います。リアル謎解きゲームみたいな催しってあるじゃないですか、あれみたいな感じできっちりロケーションまで整えてやる『カタシロ』っていう印象でした。私が見た感想というか解釈ですけど。TRPGっていうのは物語を演じるゲームなので、結果的にゲームのプレイ模様が物語になって舞台になるっていう。



・TRPG配信で見えてくる”人間性”の話


ーたしかにいくつか配信も見た中でも舞台を見ているような感覚になったのでその延長線上と考えればイメージしやすいですね。


(そのTRPGをしているのを)見る側としては、エンターテインメントとしてはキャラクター同士の掛け合いの部分・即興劇の部分が楽しみどころかなって思っていて、映画とか小説、マンガとかだと完成された物語を見るっていう感覚かなって思うんですけど、TRPGで作れる物語って本当に”ナマ”で…その場その場・即興即興で演じていって、それに作者以外とか自分以外の人間がその即興の中に関わってくるんですよ。なので、各々が予想していない部分だったり、自分以外の思考とアドリブが混ざることによって、自分たちでしか作れないお話を展開していくっていうのが面白いところかなと思います。

配信者というか、Vtuberというか、タレントに近しい人たちがやるTRPGの面白さって、ある種の”人間性”がわかるんですよ。「こういうときにはこうする」とか…。例えばヒロインのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)がいた時に優しく接するのか冷たく接するのか、冷たく接するにしても現実的な思考なのかイジワルな思考なのかとか…。そういう部分でその人自身の性格もそうですし、物語っていうものに対するスタンスの取り方みたいなのも見えてくるのがあるんです。「ハッピーエンドが好きだから」っていうのでも「全員なんとしても生き残らせたい!」って思うのか「ここで死んだ方が話としてキレイじゃないか」って思う人がいたりとか。ギャグに走る人がいれば、本当に重い設定をつけるのが好きっていう人もいて、そういう個々人の趣向とか人格の部分が見えやすくて、参加者のファンの人たちはそういう一面を見て「楽しいな」って思ってくれればいいかなとは考えています。歌ったりだとかトークしたりだとかではなかなか見せられないその人の性格の一面がTRPG配信だと見せられるのかなと思っていて、そういうものが旨味かなって思っています。


ー ”創作に対する意気込み”みたいなものって普通にしていたらあまり見えてくるものではないように思えますしね。


マンガ語りとかアニメ語りとかの雑談枠を取っている人が言うっていう時はあるとは思いますけど、他ではなかなかないんじゃないかな、と。

で、そういう人たちが複数人掛け合わされるわけですよね。GMだったりプレイヤーだったりで、一緒のセッションを囲むっていうので思想同士の化学反応が起きるっていう。



・”ネタバレ”や”人を集める”というハードルの話


ー だからこそやっている側も見ている側も楽しめるのかなと思いますね。自分もTRPGに興味があるが故に「やる予定もないのにネタバレを気にして配信を全然見ていない」という状況になったりしているんですが…(笑)


いいと思いますよ(笑)ネタバレに厳しいっていう部分がTRPGにはあったりしますし。お互い了承している場合だったりすれば、結末を知っていても遊んでいいと思うんですけど…。でもまあ、なるべくは新鮮な気持ちでプレイしたいっていうのはあると思います。

”TRPG配信を見てもらうために”っていう部分でのジレンマで難しいなってよく言われているところではありますね。いろんな人がそれに対して試行錯誤をしているとは思いますね、結構そのあたりは。

その流れで思い出しましたけど、そういう面をクリアしたものが『ストリテラ』っていう最近出たシステムがあって、私はまだ遊んだことがないので詳しくはないんですけど…。このシステムが構造上シナリオがプレイヤーたちの行動でどうとでも変わるっていう仕様なので、ネタバレっていうものが存在しないんですよね。なので、同じシナリオをしたとしても配信を見れるっていうものなんですよ。このシステムの作者さんはその時々のTRPGシーンに合わせたシステムを作っていらっしゃる方なので「ネタバレがあるから配信が見れない」っていうジレンマを解決しようとしてそういう仕様のシステムにしたのかなって、ルールブックを見て私は思いました。これも流行ったら素敵だなと思っていますね。

まあただネタバレがジレンマっていう方は、配信を見る前に(そのシナリオを)回ったら見れるんで!(笑)


ー 回るのにも人を集めるのが大変だな…っていうのも悩みとしてあったりはします……。


そうなんですよね~~!TRPGって結構カロリーの高い遊びっていうのがあったりして…そこの敷居をどう下げるかっていうのが界隈全体がなんとなく抱いている課題なのかなって思ったりもします。

それこそ”野良卓”っていう、SNSとかで公募して知らない人たちとセッションを囲むっていうのもあります。そういう部分も活用したりしてもらえればな~とは思います。これはこれでハードル高いとは思いますけど…。やっぱり初心者の方は特に知り合いのTRPGをやったことがある人回してもらったほうが気持ち楽ですし「回して欲しいな」って頼んだら結構優しく回してくれたりすると思います。人に飢えているので…TRPG界隈…(笑)


ー 実際にここ1年や1年半ほどでTRPGの配信を見かける機会も体感ですが増えましたし、興味を持っている人自体も結構増えていると思うんですよね。自分と同じような悩みで触れられていない人も同様に多い気がしますが…。


引きずり込みたいなあ~!本当に!面白いんですよ!TRPGは!

自分の判断と自分の言葉で進んでいくので、本当に自分が冒険をしている気持ちになれるんですよね。臨場感みたいなものを味わえるし、配信としては「この人はこのシナリオの中でどういう判断をするんだろう」っていうその人の人格の掘り下げだったり、人と人の掛け合いだったりとか、いいところがたくさんあるんです!ちょっと敷居が高いけど…(笑)ちょっと敷居が高いことは否めないけれど!その敷居を下げようと頑張っているので…!「遊びたい」ってやっている人に声かければ喜んでサポートしてくれると思うので、ぜひ…ね?1歩踏み出してもらえたらうれしいです。



・TRPGの”キャラクターメイキング”の面白さの話


ー 外から見たイメージではありますが、”キャラクターを作る”という部分も醍醐味なのかなと思っていますが、その部分はいかがでしょうか。


本当に自由にキャラが作れるんですよね。各シナリオごとに「こういうキャラで来てね」っていう指定はあるんですけど、それさえクリアしていればどんな人間でも…っていう自由に作れるっていう部分はたしかに楽しみの1つだと思います。

配信界隈だと高生紳士(たかおしんじ)さんっていう方がいらっしゃるんですけど、自分が作ったTRPGのキャラクターをコンテンツとして盛り上げるのが本当に上手な方で。 それこそ、自分の(過去に作った)キャラクターの誕生日を祝うイラストをあげたりだとか、”そのキャラクターとしての歌ってみた”をあげたりだとか…。 TRPGは1つのシナリオが終わっても条件が合致すれば同じキャラクターたちで違うシナリオに遊びに行く「継続」っていう遊び方もできるので、仲のいいキャラクターたちでいろんなシナリオに継続で遊びに行くっていう配信もよく行ってらっしゃいますね。 TRPGの配信界隈として配信者本人だけじゃなくて、こういう(配信者の)作ったキャラクターにファンが付くっていう現象が発生するっていうのが面白いところかなって思います。 高生さんのキャラクター周りの人気はそういう側面が強く出ていて良いなぁと思います。


ー 自分で過去に作ったキャラクターの娘をまたキャラクターとして作るっていうのを1度聞いたことがあります。


そうですね、そういうのもあります。あとは、全然別のシナリオに行ったキャラクターを同じ苗字にして「実はこの2人兄弟なんだよね」っていう裏設定にしていたりだとか。

っていう風に、キャラクターを自由に作れるし、配信だとそのキャラクターにファンが付くっていうのもあったりして、新ジャンルの何かが生まれている感じはあります。


ー プレイヤー個々人のスタイルにもよるんでしょうが、”生き生きしているな”と魅力として感じることは多いですね。


シナリオが終わったあとに「あのシーンのあのセリフがさあ」とか「このシナリオが終わったあと、このキャラクターにはこういう心境の変化があって、これからこういう風に生きて行くんだろうなあ…」とかを語っている時はめちゃくちゃ楽しいですね。 自分がキャラクタープレイ寄りの思考だと思うので特に。


ー 自分が見た配信も数える程度ですが、見ていると「この人は最後まで生きて幸せになって欲しい…!」という気持ちが湧いてきたり…。


ありますあります!あとたまたまみんなが作ってたまたま集まっただけのキャラクターたちでも、一緒に冒険をしていくうちにお互いに影響を及ぼしたりしていって「このキャラクターたちめちゃくちゃ愛おしいね」ってなっていったりとか「この卓のグループこのあとも一緒にいて欲しいな」って思ったりとか(笑)そういうのも本当に楽しいんですよね。自分で作ったからこそ愛着もわくし、たまたま付けていた設定がシナリオとか他のキャラクターと化学反応を起こした時とかめちゃくちゃ楽しいですよ。自分の(キャラクターの)過去と似た境遇のNPCが出てくるとか、自分も一歩間違えていたらこうなっていたんだろうな…っていう敵キャラが出てくるとか、そういうのがたまたま起こった時は本当に楽しいです。


ー 普通の読み物とかだと(そういう流れとして)決まってそれが出てくるわけですが、TRPGだと流れとして確定で来るわけではないですもんね。


ゲームの中のことなんですけど、現実のような偶然のめぐり合わせみたいなものがあって物語が生まれていくのが楽しい部分ですね。そういう部分も人を惹きつける魅力なのかなと思います。


ー 創作などをしたことがあると余計にその部分は楽しいんだろうなあというイメージは湧いてきました。


創作のオタクはTRPGは間違いなく好きですよ…!キャラメイクの段階でもう好きだろうし、その子を実際に動かして物語に参加させることができるので。1人で頭の中で物語を考えているだけでは生まれないものがあると思います。



・TRPGって”コミュニケーションをするゲーム”


ー ここまでお話を伺っていると「人と人とのコミュニケーションのゲームなんだな」ということが感じられますね。


そうですね。人と会話して、そこで生まれる変化や展開を楽しむゲームっていう感じですね。なのでコミュニケーションの上手い下手もTRPGにはかなり出ます。


ー あくまで”良い悪い”ではなく…というような意味合いですよね。


”良い悪い”ではなく、ですね。上手い下手とかいうか…特徴ですかね、そういったものが出ます。これは笑い話なんですけど、普段話を聞かないような人はTRPGでも話を聞かずにダイスを振りますからね(笑)「できれば話を来てからにして~!」ってなるんですけど。逆にコミュニケーションが上手いというか”報連相”をしっかりする人だと、TRPGでも「これこれこうしたいんだけどみんなはどう思う?」っていうのが相談しっかりしたりとか、いわゆるコミュ力的なものが反映されますね。”明るく楽しくおしゃべりできるか”っていうよりかは”コミュニケーションが円滑にできるか”っていうコミュ力の部分が問われる感じがありますね、TRPGは。


ー だからこそハードルが高く感じるのかもしれませんね。


あー…。でも、始めてみると案外慣れかなっていうところもあります。基本人間コミュニケーションは取れるんですよ。やることがあれば、必要な話し合いっていうのがわかってくるじゃないですか。「こういう事件が起きているらしいぞ、それをどうやって解決しよう、さあ話し合いだ」っていうことをやることになるので。普段、学校や仕事なりで相談事があって、話し合うこととやることは一緒なんですよね。

だからわりとできます!いや、ダメだったら申し訳ないんですけど…(笑)始めて見るとわりとできます!「事前にこういうことを言っておくと後々スムーズにいくな」っていうのをだんだんやっていくとわかってくるようになるので。初心者さんだと周りの人がさらっとそういうことを言ってくれたりもしますし。



・ラングドシャから見た『マーダーミステリー』


ー これまでお伺いしてきたTRPGとはまた違って、マーダーミステリーの方はまたちょっと勝手が変わってくるということですが、実際にプレイしたご自身の感覚などではどういうところが違っている部分だなと感じますか?


1番違うところと言えば、”キャラを自分で作れない”んですよね。やるシナリオによってどれくらい固まっているのかは変わってくるんですけど、名前と役割くらいしか与えられていなくて「あとの性格とかは好きに設定してね」というのだったりとか、性格設定から生い立ち、見た目とかが決まっていて「このキャラを演じてね」というのがあったりとかがありますね。TRPGに比べると「こういうキャラクターです」というのが最初からはっきりしているのが多いです。

あとは(シナリオによりますけど)TRPGって対立したり、相手を出し抜くっていうよりかは協力するっていうことが多いんですよ。「私はこういう情報を持っていてこういうことができるから、この分野は任せておいて」っていう役割分担して協力して、みたいな。ただ、マーダーミステリーは誰が犯人かわからないので、自分たちの情報を隠したりとか、これもシナリオによりますけど…相手に嘘をついたりとかをして、基本的にお互いに対して探り探りなんですよ。そういうところも違うところかなと思います。


ー 嘘をついてはいけない、というものルールである場合はあるんですね。


ゲームバランスの問題や、セッションの崩壊を防ぐためにっていう意味合いがあったりしますね。


ー 屁理屈はついても…?


”言わない”っていう選択肢を取るというのはありです。「嘘は言ってない」みたいなぼやっとした言い方をするとかはありなんだと思います。

他には、マーダーミステリーっていうのは結構キャラクターになりきるっていう要素が強いんですよね。(クトゥルフ神話TRPGだったりの)TRPGもなりきるっていう部分が楽しみの1つだとは思うんですけど、そればっかりやれっていうシステムでもないんですよ、キャラクターじゃなくプレイヤーとして話し合う場面も多かったりして。マーダーミステリーはそのキャラクターになりきりながら、他のキャラクターと情報交換をするっていう部分が多いですし、それが推奨されているシナリオが多いなと思います。


ー (複数人いるキャラクターの中での)犯人当てゲームですもんね。


キャラクター同士のやりとりなので、メタ的な視点とか「私のキャラの設定にはこう書いてあって」みたいなメタっぽい発言はあんまりしないでねとシナリオ側から注意書きがされていることが多いです。”なりきり推理ゲームを楽しむ”っていう部分での指定がしっかりしているゲームかなと思いますね。

こっちも別口の面白さがありますよ。それこそTRPGは”キャラクターを想像する楽しみ”がありますけど、マーダーミステリーはもらった自分の役割に対して、自分の中で解釈をしてそのように振る舞うっていうのが楽しいんですよね。「私の場合だとこの情報は話しちゃうけど、この(キャラクターの)子は人には話さないだろうな」とかを考えながらプレイできるのは面白いです。キャラクターの感じ方がTRPGは”創造”だとすると、マーダーミステリーは”解釈”って感じがしますね。



・シナリオやシステム、人の特色で変わる”命の重さ”の話


ー ジャンルに対して聞けば聞くほど奥が深いというか、逆にある意味わからなくなっていくような感覚がありますね。


そうなんですよ!本当にいろんなことができて、いろんな楽しみ方ができて、いろんな遊び方ができるんですよね、TRPGも結局は”ゲーム”っていうすっごく大きな枠組みでしかないので。なのでその中の何が好きで何を遊びたいのかって結構人によって変わってくるんですよ。私は「キャラクターを作って物語を紡ぐのが楽しい」って言ったんですけど、人によってはお話の部分にはあんまり興味がなくて、自由に考えてできる戦略性の部分に魅力を感じるという人もいたり、ダイスを振って判定結果が有利になるようにあれこれ試行錯誤したりしてデータの数字のことを考えるのが楽しいっていう人もいます。お話を作るっていう面でも、ひたすらふざけ倒してめちゃくちゃ笑える卓が楽しいっていう人がいれば、感情とか感動とかのキャラクターとしての…平たく言えば”エモさ”みたいなものを大事にする人もいますしね。その方向性の違う人たちが同じ卓を囲むと事故が起きる時もありますけど…(笑)


ー まあそこはコミュニケーションのゲームとしての一長一短といいますか…。


逆に「これが得意でこれがやりたいよ」っていうバラバラの人が集まって、いろんな作用でいい感じになってそれぞれが良いものを持ち帰るっていう結果になったりもしますけどね。本当に人のコミュニケーションの数だけ遊び方がある、っていうゲームかなと思います。


ー 最初のイメージだとそこそこの確率でキャラクターが死ぬというイメージもあったんですが、生き死にとかもあまり考えずずっとふざけ倒しているものもあるんだな…というような感想が出てきますね。


なんならさっきシステムのお話のところでも言った『パラノイア』っていうのは”残機”っていうシステムがあったりして、あまりにも気軽に人の命が飛んでいくことがありますね。代わりのクローン体が「次の私は上手くやります」って言って出てきたり(笑)

そういう生き死にというか、命の軽さみたいなものもシナリオやシステムで変わってくる部分はありますね。ゲームなのでHPとかが0になって「このキャラクターはもう使えないよ」っていう…用語的には”ロスト”っていうルールがだいたいのシステムには存在してきます。ただこれもものによって左右されてきますけど。本当に気軽に命が吹き飛んでいく卓もありますし、1人の人間の死を悲壮感たっぷりに演出する卓もあるので、いろいろですね。


ー システムと人との特色ごとに変わっていく感じですね。


TRPGの遊ぶ種類によっていろいろ変わっていきますね。シナリオ的に「どうあがいてもキャラクターは死ぬよ」っていうものもあります。犠牲が必要だったり、キャラクターたちが死ぬまでの話を演じるのが目的みたいなものもあったり、死なないにしても異星に飛ばされたエンドとかもあったり…。


ー 死んだほうがマシみたいな…。


そう、死んだほうがマシみたいな(笑)発狂状態みたいな後遺症が残ったまま生還するとかもありますね。どのシナリオかは言いませんが「実は自分が元の自分から分裂したクローンだった」というのが判明して死ぬために動くみたいな時もあります。

私がめちゃくちゃ好きな『ダブルクロス』というシステムはそう簡単にキャラクターは死なないんですけど、能力を使いすぎるとその能力に飲まれちゃって化け物になっちゃうっていう設定があって、それが実質のロスト扱いになっていたりして、生きていても使えなくなるっていうのがあったりします。

死んだとしてもお話として美しいって納得できるということもありますし、必ずしも生還を目指すゲームではなかったりします。結局卓のみんなが「この卓面白かったね」って思えたらいいのかなと。


ー 「死んじゃって悔しいけど楽しかったな」みたいな。


バッドエンドを引いたとしても「悔しい」って気持ちを含めて楽しかったっていうのがあるかもしれないし「みんな死んじゃったけどこの終わりも美しいよね」っていうのもあったりします。”シナリオを体験する遊び”って感じがしますね。


ー 聞けば聞くほど”楽しそうだな”と感じてきますね。


楽しいですよ~!さっきも言いましたけど、初めてやるとしたら誰かに声をかけるか、SNSで野良で募集しているのに勇気を持って混ざりに行くかになるのかなと思っていて、私が初めてやった時も今はなき「こえ部」っていうサイトがあるんですけど、そこでコミュニティとかグループ機能みたいなのがあったんですよ。それのTRPGの募集があって、当時の私はクソフットワークが軽くて「なんか面白そう!やってみたい!」って、そのお姉さんお兄さんばっかりのグループに入れてもらって遊ばせてもらって、っていうのだったんですよね。TRPGは思い切って声かけるっていうのか、知り合いから誘われるかっていうので始まっていく気がしますね。

システム面に関しても、今1番数の多い『クトゥルフ神話TRPG』が肌に合わなくても、自分に合うものがきっとあるので、自分に合うところで楽しんでもらえたらいいなって思います。公式や同人で配布されてるシナリオが合わなくても、ゲームマスターの方が書き下ろしたシナリオだったら合うってこともありますし。

特に配信者界隈の人ってキャラクターになりきるとか、言葉上でコミュニケーションを取るっていうのが慣れている人が多いと思うので、適正はかなりあると思うんですよね。あとはVtuberって最終的にその人の人柄が評価される部分が結構あると思うので、そういう部分が掘り下げるのにもいいと思っていたりします。TRPGって人柄だとかコミュニケーションのやり方とかがわかるので、人間性やタレント性を売りにしている側面もあるVtuberとも親和性があると思います。


ー そういう面でも配信というシーンでももっと流行っていけばいいですよね。


自分の見ている限りの話なんですけど、熱心にTRPG配信を追っているリスナーの方々って「推しの配信者があるシナリオを回るらしいからそれまでに自分もシナリオを回りたい。誰か一緒に回ってくれる人いませんか?」って募集の仕方をしている人もいたりしますね。推しの配信をリアルタイムに見れるように仲間内で一緒に回ろう!っていうのとか、逆に「何月までには(配信者のやっていた)シナリオを回れる予定だから、それまではアーカイブは我慢!」ってやっているのもあったりとか、独特の熱の向け方をしていてすごいなと感じる時もありますね。


ー 自分の周りではTRPG配信者をメインで追っている人がいないので、感覚として新鮮ですね。


すごいですよ、本当に。卓が終わった直後とかに、(その卓の)キャラクターのイラストとか名場面のイラストとかをあげてくれる人がいたりして…。もちろんですけど”TRPGをやっている側”としては楽しいんですよ、ただ「見てくれている人は楽しかったのかな」とか思ったりすることもあるので、そうやって”リスナーも一緒に楽しんでくれているんだな”ってわかる反応を返してもらえるのはうれしいんですよね。


ー 他にもグループで回っていらっしゃる方々も多かったりと流れてくるものを見ていると感じたりはします。周囲にシナリオを書いている人がいるのに、お恥ずかしながらそのあたりに疎くて把握できている部分が少ないですが…。


シナリオを書いていらっしゃる人がいるっていう話ですけど、シナリオも書く側でもその人の趣味とかが見えてきたりすることがありますよ。”シナリオに対する好み”っていうプレイヤー視点側でも個性が見えてきたりするんですけど、シナリオ中でも”絶対に助けられないNPCがいる”だったり、作中の中での究極の2択みたいなものに対して、片方を選んだ場合もう片方がどうなるか…とか、作者さんの思想とか展開に関する好みやセンスとかも出てきて、シナリオもシナリオで書き手の人格がちょっと出てきていて楽しいですね。



・ラングドシャの選ぶTRPGの面白かったシナリオ


ー ここまで”TRPGについて”ということで基礎的なことなどを、あくまで個人的な意見としてお聞きしてきましたが、もっと個人的な…というか自分の回ってきたシナリオで「これはめちゃくちゃ面白かったな!」というものはどういったものになりますか?


いっぱいあるんですよ?いっぱいあるんですけど…!特に好きなのは、ねこずし卓さんっていうデザイン担当シナリオ担当のタッグの方が書かれた『ソープスクール』っていうシナリオですかね…。自分でも「ソプスクソプスク」ってよく話題に出していたりするんですけど…。 導入の1文が衝撃的なんですよ。「参加するキャラクターたちは学校の先生で来てね」っていう設定で、1~4のハンドアウト(HO:事前に役割や設定、知っている情報などとして渡されるもの。これを使って持ち込むPCを作成したりする)の4つの印象を持っている先生の中からどれかを選んでなりきって遊びます。 ”秘匿ハンドアウト制”っていう特殊ルールを採用していて、HOの番号が決まってから各々に秘密の情報が渡されて、その設定を踏まえた上で衝撃的な状況に居合わせることになります。


このシナリオは人を選ぶ要素が多い部分もあって「ダメな人はダメだろうな」っていう感じのシナリオで、「ぜひ皆さんまわってください!」とは言いにくいんですけど、私はめちゃくちゃ大好きなシナリオですね。注意事項をきちんと読んだ上で、興味があればぜひ回っていただきたい……。

あと好きなのは…というか、自分でも回していて初心者さんにおすすめだなって思っているのはイチさんという方の書かれた『灼熱さえあればいい』です。PCたちは大学生で同じバンドを組んでいる2人組で、自分たちの住んでいる町中で事件が起こっていく…っていうお話ですね。こちらのシナリオは自由に探索した上で話の展開として伏線回収をさせられるというか、キレイにストンとオチがつくのが新感覚で。良い意味で小説みたいなシナリオで、そういうところが面白かったし、楽しかった部分ですね。遊んでいて気持ちいいシナリオでした。


他にも、すぎうらきりとさんの書かれた『彼方からの君に捧ぐ』っていうシナリオがあって、こちらは「オタクこんなん好きでしょ!」っていうものが詰まった熱い展開の多いシナリオって感じです。 付属の立ち絵イラストとかスチルがめちゃくちゃ豪華で、それも手伝って、なんというかアニメの中で動いている感覚になるんですよね。 シナリオの作者さんがラッパーの方で音楽もされているので、テーマソングも付属しています。オープニングテーマとエンディングテーマがついてきます。



ー 豪華だ…。


これは宣伝なのですが、先日すぎうらきりとさんが書かれたエモクロアTRPGの『遙か彼方まで』というシナリオのエンディングテーマをわたくし歌わせていただいております。こっちのシナリオも「オタクそんなん好きやろ!」っていう展開が詰まっていて楽しいのでぜひ遊んでほしいですね。


あと、ありあさんっていう方の書かれた『ヴェルネの天使は死を歌う』っていう私のよく狂っているシナリオがありまして…。聖歌隊が舞台の美少年シナリオで、美少年同士の心の交流を演じていくしっとりしたシナリオなんですけど…とても綺麗で良いシナリオでした……。


好きなシナリオの話一生できるな…。あれが良くってこれが良くってって…(笑)いっぱいあるんですよ!好きなシナリオが!!

あと、あと、私のお友達のスクラップさんが書かれた『あなた方は御曹司です、金にモノを言わせてイタリアまでオペラを聴きに来ました。』っていうシナリオもあって…。


ー それがタイトル名ですか!?


これがタイトル名ですね(笑)導入もタイトル通り、御曹司になりきって金にモノを言わせてイタリアまでオペラを聴きに行くシナリオです(笑)これも楽しいですよ!もうタイトルの時点で結構オチがついてるやんけ!と思われるかもしれませんが、その後も怒涛の展開で楽しいシナリオです。


っていう感じで、シナリオをあげただけで本当にいろんな種類があります。

あ、あと『白百合の殻』っていう、いわゆる姉妹制度がある全寮制女子校もので、お姉様と妹になってキャッキャするっていうシナリオもあります。私は妹側でやったんですけど、お姉様に「タイが曲がっていてよ」をしてもらいました(笑)


ー ある意味人生の夢ですよね、そういうやりとりって。


TRPGの楽しいところって「タイが曲がっていてよ」とか「前の車を追ってくれ!」とかができるっていうのもありますね。場面が合致すればですけど「人生で1度は言いたいな」っていうセリフを言えちゃうんですよ、無理やりねじ込むとかじゃなくてちゃんとしたタイミングで。「今、”あのセリフ”を言うときでは!?キタキタキタキタ!」ってなって大興奮したりして(笑)しかもその”キタキタキタキタ!”を共有できる人と行くとさらに面白いですよ、「言った!」とか「言ってもいい?いいよ!」みたいな。究極の2択を迫られて「どっちも」って言ったり。


ー それが絶対にできる・言えるかは別として、やりたいタイミングで夢のセリフができるっていうのは確かに魅力ですよね。


デジタルのゲームだと味わえない部分かなと思いますね。2択しかないけど「ここをこうしたら第3の選択肢というか別の解決法が取れるよね」っていうのが出てくる場面が多いので。

あとまたシナリオの話に戻るんですが、先日『Radiant Abyss』っていうシナリオをやりまして…クトゥルフ神話TRPGの世界観でFateの聖杯戦争をやるんですよ!このシナリオでは聖杯戦争の形に則りつつ、召喚できるのはクトゥルフ神話の神格やモンスターで…あとはもうネタバレになるので言えないのですが、すごい楽しかったです。

そういう風に特定の作品のファン作品というか、二次創作的なTRPGも結構ありますね。『けものフレンズ』のTRPGとか『この素晴らしい世界に祝福を!』のTRPGだったりとか…。


・ラングドシャの選ぶマーダーミステリーの面白かったシナリオ


ー マーダーミステリーではプレイして印象に残っているものはありますか?


私、まだやっている数がTRPGに比べたら少ないんですけど、特に好きだったのは『J・モリアーティの暗躍』でしたね。ホームズ・ワトスン・レストレード警部・グレグスン警部っていう4人のキャラクターになりきって、ホームズの世界観で遊ぶものだったんですけど「実はこの中にモリアーティが隠れているぞ」っていう状況で推理していくゲームですね。

あとは『四人の令嬢と執事たち』とかは”オタクが好きなやつ”だと思います。お嬢様と執事のコンビが4組あって、計8人でやるマーダーミステリーで、屋敷に集まってとある殺人事件が起こるのでそれに関しての真相を推理してくださいねっていうもので、まあ各陣営も背景事情を抱えていたりしてっていう…。好きじゃないですか、オタクの大多数は”主従”って。


ー 好きです。


その主従ロールをたっぷり相方コンビと味わいつつ、推理も楽しめるっていうシナリオでしたね。

あと、これはギャグ寄りですけど『押忍!魔駄魅剃学園』っていうヤンキー高校が舞台のシナリオも面白かったです。ハチャメチャな背景事情しかないギャグシナリオなんですが、殺人犯を探すのではなくて、番長のリーゼントを奪った犯人を探します。


必ずしも「犯人はこいつだ!よしこいつは捕まった!めでたし!」って言うふうには終わらなかったりするんですよね。最後の最後で別のギミックが作動したり、他の人の背景事情とかも影響してきたり…。


ー 犯人を当てるという目標以外に、個々人で別の目標があったりもしますしね。


そこらへんもマーダーミステリーの楽しいところだと思います。



ー 何回も同じ感想を口にしてしまうんですけど”すごい”ですね…。


人によってやりたいこととかも違うと思うので、やりたいところから手を付けていくのがいいと思います。例えばですけど、いきなり『Radiant Abyss』からでもいいと思いますし。最初に絶対これをやらないといけない、っていうものはないですしね。

っていう感じで本当に楽しい遊びなので!最初に「やってみたいんだよね」って誰かに話しかけるっていうのをクリアできれば、だいたいのプレイヤーは「やろうよ!」って言ってくれると思うので、ぜひぜひ…!第一声だけ頑張っていただいて…!



・ラングドシャが書いたオリジナルシナリオの話

ー 他にはラングドシャさんご自身もシナリオを書いた、というのをお伺いしております。中身の説明をしてしまうとそれこそネタバレになってしまうので、聞ける部分だけでもお聞きしてもよろしいですか?


書きました!

クトゥルフ神話TRPG「ネバーランド・クラブ」
■トレーラー
ねぇ、このままずっと子供でいたいと思わない?
■共通HOあなたがたはイギリスのグレート・オーモンド・エレメンタリースクールをもうすぐ卒業する予定の11歳の少年だ。あなたがたの元に、『ネバーランド・クラブ』と呼ばれる招待制秘密クラブからの招待状が届くところから物語は始まる。
■個別HO(秘匿HOあり)HO1:あなたは優等生だ。HO2:あなたは劣等生だ。HO3:あなたは転校生だ。
■グレート・オーモンド・エレメンタリースクール
創立から100年以上の歴史を誇る、私立の全寮制男子校。イギリスのとある山の奥深くにあり、街からは遠く隔絶された立地にある。生徒は幼少期の7歳~11歳までをここで過ごし、その後は様々な有名校に進学するのが通例である。
■シナリオ概要
【使用ルルブ】クトゥルフ神話TRPG(第6版)【舞台】現代イギリス・学園クローズド【人数】3人【傾向】ジュブナイル・メルヘン【推奨技能】<図書館><目星>、<回避><隠れる>や運動関連の技能があると少し楽【所要時間】4時間程度
全寮制のエレメンタリースクールを舞台に、少年探索者たちが「ネバーランド・クラブ」と呼ばれる秘密クラブの謎に迫る、ちょっとノスタルジックなシナリオです。


こんな感じで『クトゥルフ神話TRPG』なんですけど、”合法的に3人のショタを集められるシナリオ”を書きました!

『ネバーランド・クラブ』というタイトルで、イギリスの架空の全寮制男子校が舞台となっているので、少年PCで来てください。ジャンルとしてはジュブナイルでメルヘンでかわいらしい感じですね。4時間くらいを目安にしているので比較的短めかな…?とは思っています。


ー テストプレイも行ったということですが、手応えとしてはいかがでしたか?


テストプレイも終わって、あとは諸々の体裁を整えていくだけですね。

シナリオライターの方々を中心にテストプレイをさせていただいて、わりと楽しんでもらえたのではないかなと思います!…多分!今回初めてTRPGのシナリオを書いたんですけど、趣味は詰めたし、面白くは出来たと思うんですよね…愛は……詰めました…よろしくお願いします…

あとは遊んでもらってどうなるかっていう感じでドキドキしています。 多分、6月辺りに表に出せると思います。配信でも回す予定ですのでよろしくお願いします!

ー 楽しみにしております!


他に聞いておきたい部分とかありませんか?大丈夫ですか?


ー おそらく…というか、自分自身も基礎的な部分を齧った程度のスタートなので、こうしてラングドシャさん個人の視点としていろいろ魅力などお聞きできて良かったかなと思います。


めちゃくちゃ私の視点での語りになりましたけど…(笑)


ー 今回あくまで”ラングドシャさんから見たTRPGの魅力を聞く”というのが目的なので、大変助かりました。


あとは細かい覚えなくても特に困ったりはしない用語とかもありますが…そこらへんは置いておいて…(笑)

あとは第一歩を踏み出して楽しみましょう!



天使代行ラングドシャ
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取材・文:日向キタロー

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