冷奴
欲望には限度がない。一つ満たされると新たな欲望が一つ生まれる。人間が行動を起こすため、より高見を目指すため。今という現状に安寧することなく、チャレンジをするための必須の原動力。欲望とは人間には不可欠だ。
私は欲深く罪深い人間です。自らの欲望に抗うことが出来なかった。仕事のストレスを解消するために、日々の悦楽に浸っていたのです。抗えない。
抗えない食欲。
食欲は恐ろしい。欲望のまま、摂取した無駄なカロリーは知らず知らずのうちに蓄積していく。
人間の生き残る知恵、身体の生存戦略。余剰カロリーは脂肪としてため込む。下腹!腰回り!二の腕!あごの下!
私の身体はいつからこんなにプルプルになっていたのだろう。分かってます。腹八文目でしょう?それが一番体に良いんでしょう?だったらなんで食べた分胃が拡張なんてするのさ。なんでこんなに柔軟なのさ。いや、いいことなんだろうけども。
私だってただグーたら食っちゃ寝てを繰り返している訳じゃないんです。ちゃんと運動している。スクワット、ジョギング、週に3~4日はカロリー消費をしているつもり。けれど思い返せば油分や糖分ばかりを摂取していた気がする。だって油は美味しいから、だって白米は美味しいから。
言い訳です。好きなものを好きなように食べていればおのずと身体は変化してくる。プルプルに。
そうプルプルと言えば絹ごし豆腐。
【豆腐】
大豆で作った豆乳を、にがりで固めて作った食品。なんで『腐』の文字が入っているんだろうか。腐ってないのに。製法の伝来にでも由来があるの
か。非常に低カロリーで高たんぱく。栄養豊富な食品。
カロリー摂取を控えたいなと思ったときに、真っ先に頭に思いついた食材。
世の中ダイエット食品はあふれかえっているけれども、どうせなら美味しいものが食べたい。
そこで冷奴です。お膳のなかに、別になくても気にならないけど、あったら嬉しい、私にとって冷奴はそんな奴。
ただ豆腐にお醤油かけて食べるだけじゃ味気ない。どうせなら、豆腐の味を最大限に引き出す食べ方をしたい。そこで必要なのは薬味ですよ。
まず豆腐の下準備、絹ごし豆腐をパックから取り出し、大き目のお皿にとりだしてラップをかける。その上からお皿を重ねて重石代わりに。じっくりと水分を出す。豆腐の下準備おしまい。
次に薬味の準備。
コンロは点火せずに、フライパンにごま油を極少量敷く。全体に薄く油を行き渡らせたらシラスを入れる。
点火して極弱火にかける。じっくりとシラスに火を通す。しばらく熱しているとシラスから出てきた水分が泡みたいになってパチパチはじける。その泡が小さく細かくなってくるとシラスがカリカリに仕上げられる。あまりやりすぎると水分飛びすぎで美味しくないし、口の中で突き刺さるので適当に。
あとは簡単。しょうがの皮をむいて、薄切りに。その薄切りからさらに細かく針しょうがをつくり水にさらす。おろししょうがでもいいけれど、淡泊な冷奴には針しょうがの存在感が私は好き。
しそを丸めて細切りに、ネギは薄めにみじん切り、あまり包丁でたたき過ぎないように気を付ける。
乾物のわかめを塩水で戻しておく。薬味の準備ができたら、水分がある程度抜けた大皿に乗った豆腐を、お皿の隅の方に寄せ、空いた部分に薬味を盛り付けていく。
私は豆腐の上には薬味は載せない。なぜなら一口ごとに薬味を変えて味の変化を楽しみたいから。シラスだけは別の小皿に分ける。
完成、冷奴!
豆腐が主役の冷奴、でも私は豆腐食べてんだか薬味食べてんだかよく分からないほど薬味を山盛り準備する。むしろ薬味が冷奴の主役なんじゃないかと思うほど。
それでもカロリーは控えめで塩分も控えめ(しょうゆをかける量にもよるか)。肥えてプルプルの身体にも優しい。そう身体が肥えても、私、腹減ってるんだ!
ひとくちずつ、好みの薬味を載せていく。しょうゆはあまりかけ過ぎないように。
シラスはカリカリで、塩とかしょうゆであじつけてないから、しらすの風味もよく分かる。
針しょうがの歯ごたえもよくて、しょうがの香りが立つし、私はやっぱりおろしより好きだ。
定番のネギは間違いが無い。合間にしその香りを追加して変化を楽しむ。ワカメは箸休めとか気分によって豆腐に乗せる。
豆腐って万能だ。大豆の風味はあるけれど、その非常に淡泊な味わいで、乗せる薬味によって表情を変える。いくら食べても飽きないのは豆腐ならではだと思う。
さて、半分ほど食べ終わったら、ホカホカのごはんを用意する。その上に1/4丁の豆腐と好みの薬味を乗せて、うえから醤油を回しかけて混ぜる。
食べ方が下品ですって?知ってます!
だから自宅でしかこの食べ方はできません!
豆腐ごはん。ホカホカのごはんと冷たい冷奴、そして薬味の活躍でごはんがすすむんです。あっという間になくなります。
豆腐が残り1/4丁ある。もう一膳ごはんをいただこうかしら。なにせ低カロリーだし。
うん。何かがおかしい気がする。
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