もう叶わぬと自覚する日まで
失恋した。
とは言っても、告白すらしていないのだが。
ただ、失恋した。
告白していないのに失恋する、なんて言うからには答えは俺の中では、ひとつだけ。
彼氏というものが出来たらしい。
らしい。たぶん。
本人確認はしていないが、インスタに仲睦まじい姿がストーリーとして投稿されていたからには俺の心の中はそれ一択で染ってしまった。
今更ながら、告白していればこれほど哀しむこともなかったのではと考えてしまう。
自分と、彼女とで答えを明確に示していれば、綺麗さっぱり諦めることも出来たのかもしれない。
たらればの話だ。わかっている。
こうなってしまったのは全て自分の告白すらできないような不出来な心のせいだと。
今自分を襲っているのは彼女に彼氏が出来たことを悲しむものだけでは、ない。
期待しているのだ、まだ。
告白をしていないからこその、期待を。
振られる、という拒絶を受け取っていないが故の。
きっと、この恋はずっと終わらないだろう。
終わらず、心の隅で自覚するのを待つしかない。
この恋が叶わぬことを自覚する日まで。
ひなた
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