”空き家”だって、大事な思い出のハコだから。記憶を記録に残すという選択肢を。
本日、家史制作サービスをリリースしました。
家史は家の歴史書の作成を代行するだけのサービスではなく、私が抱く通例の空き家問題対策への反骨心の現れでもあるので、そのことについて、綴りたいと思います。
空き屋問題という表現への違和感
空き家問題が解決しない理由は、空き家の外部不経済のみを切り取って問題と語っているからであると私は考えています。
空き家は、ひとくくりで語れないほど多種多様です。
住んでいないだけでちゃんと毎月管理がされているお家もあれば、倒壊寸前でもう登記簿上の所有者すら自分のものと認識していないくらいのお家もあります。
空き家はいつしか「空き家問題」というように”問題”という単語をつけて語られるようになり、その認識が刷り込まれてきました。
空き家の近隣にお住まいの方からすると
「衛生的に嫌だ」 「景観が悪くなる」 「防災上、危ない」など、様々な不安の声があがってくるかと思います。
間違いありません。この部分を切り取って「空き家問題」と語っているわけですね。
所有者の目線で考えてみましょう。
所有者の方の多くは「この家、どうしよう」という心境の方が多いのではないでしょうか?
当然、「うちは売れるから関係ない」と思っていらっしゃる方もいるでしょうし、実際に立地条件のいい物件は売れます。
一方で、
「今は親が住んでいるけど、親に何かがあったらこの家は・・・」
「実家が空き家になっていてるが、もう自分の家を買っているし・・・」
「うちは売れるような立地にないし・・・」
「売れるかもしれないが、売りにだすと思い出まで消えそうで踏み出せない・・・」
「人に貸すには仏壇とかあるし・・・」
「今、誰も住んでいない実家を放置しているけど、ご近所からどう思われているか不安だな・・・」
ということで、これから家をどうしよう、という方の中には
何か手を打たなくてはいけないと思いつつも、一步を踏み出せない、それぞれの理由を抱えているということをよく耳にします。
ここで理解できるのは、
「空き家問題が深刻なのでなんとかしましょう」
と行政がいくら声をあげても解決しないという構造です。むしろ、家の所有者のとって大事な財産であり思い出のハコである家に対して、景観や治安や防災の側面から外部不経済的な要素を切り取って空き家問題というラベルを貼るだけでは解決の方向に向かいません。むしろ、所有者の心的負担を増加させてしまうと危惧しています。
一歩を踏み出す足場として、家史を
空き家になってしまう理由は、売りたくても買い手がつかないという物理的なかわりやすい理由に加えて、仏壇の存在や思い出の存在、父や先祖の苦労や家の歴史を思った時の絶やしてしまう罪悪感や後ろめたさといった心的ハードルにも起因しているということは先述の通りです。
その心的な要因に寄り添い、一歩を踏み出すための選択肢が必要です。家をこれからどうしようと困っている所有者に対して、記憶を記録に残すという選択肢として在るのがこの家史です。
「これから家をどうしよう」とお悩みの方に寄り添う足場となれますと幸いです。
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