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皮膚科的ブライトニング成分の正しい知識

今回はAquaAgeのアドバイザーであるマリポサビューティークリニック 院長 皮膚科専門医 医学博士 野田香菜先生に、AquaAge代表の包娜仁を交えて、狩野がオンラインでインタビューを行いました。(全6回の5回目)

マリポサビューティークリニック 院長 皮膚科専門医 医学博士

ハイドロキノンの正しい知識


狩野:ハイドロキノンと言えば、白斑の心配がある危険な成分のイメージがあります。さらに、成分も不安定で、保管するのも大変という認識があります。ハイドロキノンの特性と、どのような肌の人が使用するものなのでしょうか。

Dr野田:ハイドロキノンは、1回の使用はおよそ5ヶ月が限界で、かぶれる方も多いです。一部の肝斑の人にはハイドロキノンをおすすめします。
韓国人のデータにはなるのですが、ハイドロキノンとハイドロキノンとトレチノインの組み合わせを使ってもらった時を比較したデータがあります。
ハイドロキノン単体だと30-40%の改善率なのですが、ハイドロキノンとトレチノインの組み合わせになると60-70%の改善率なのです。
肝斑の人はメラノサイトの働きが過剰になっていて、どんどんメラニンが作られてしまうので、アプローチとしてメラノサイトの働きを抑えることがよいと考えられます。
シミの人は、シミの部分にメラニンが多いので、その部分を直接レーザーなどで焼くということはできますが、肝斑は作られ続けているメラニンだけを破壊してもメラノサイト自体が過剰な働きをしている状態なので、そこを強力に抑え込むことが必要です。
ハイドロキノン以外の美白剤はどうしても作用が弱くなります。一年半くらいかけて肝斑を少しずつ抑え込むためには、コウジ酸や他の美白成分でもよいのかな?とは思いますが、メラノサイトそのものに働きかけているわけではないので、よっぽどスキンケアに気を付けていないと難しいのかなとも思います。
ですので、肝斑の方である程度皮むけの大丈夫な方にはハイドロキノンとトレチノインの併用をおすすめすることがあります。

トレチノインとレチノール


狩野:トレチノインとレチノールの違いについて教えてください。

Dr野田:レチノールは表皮の浅い部分にしか作用しないけれど、表皮の細胞が角質になっていく角化を助ける作用があります。レチノール自体は表皮の浅い部分しか効かないと思います。
ですので、シミに効かせようと思うと、深い部分にあるメラニンを追い出すためには長い年月を費やすことになります。
それに対してトレチノインは、表皮と真皮の境目の部分まで作用するということがわかっています。表皮の深い部分にあるメラノサイトに作用するので、よく効きます。皮脂腺にも働きかける作用もあるので、すごく色々なものに効きます。

シミ治療としてのトレチノインとハイドロキノン


狩野:シミの治療としてトレチノインとハイドロキノンを併用する場合の使用方法や注意点を教えてください。

Dr野田:トレチノインとハイドロキノンは混ぜて使います。混ぜたクリームのことを東大式トレチノイン療法というのがあります。
肌の赤みを抑えるのに、ステロイドを少し混ぜて使う場合もあります。
トレチノイン+ハイドロキノン+場合によって少しステロイドを混ぜたクリームをシミの治療として使います。
 
狩野:その治療の場合、スキンケアはどうなりますか?
 
Dr野田:先に使った方が良いので、効かせたい場合はハイドロキノン+トレチノインのクリームを洗顔後一番最初に付けます。ただ赤くなったり、皮が捲れたりする副反応が起きやすくなるので、そういうのが困るという方に関しては、洗顔後通常のスキンケアをして、一番最後にハイドロキノン+トレチノインのクリームを塗ってもらいます。
あと、赤みが強く出る方の場合はビタミンCを使うと赤みが出にくくなります。ですので、洗顔して、化粧水をつけてビタミンCを塗ってからハイドロキノン+トレチノインクリームを使う場合もあります。
どのような順番で使っても効果はありますが、とにかく効かせたい場合は順番をなるべく早めに。洗顔後すぐ。という方法を提案しています。
 
狩野:ただ、それは薬になりますよね?ということは、使用の順番に関しては、医師の診察診断が必要になる。ということでしょうか?
 
Dr野田:使用方法についても指導があった方が良いですよね。
目の周りや唇は皮膚がデリケートなので塗らない方が良いなど、注意する点があるので指導してからお使いいただいています。
 

シミ治療としてのトラネキサム酸


狩野:トラネキサム酸(トランサミン)の内服は抗アレルギー、抗炎症、止血作用がありますが、化粧品の場合(一般化粧品、ドクターズ)どのような作用があるのでしょうか。同じ成分でも内服と経皮吸収(スキンケア)だとどのように働きかけが違うのでしょうか。
 
Dr野田:そうですね。やはり内服はとても効きます。画像診断機で肝斑のある人の肌を診た時に、内服でトラネキサム酸を飲むと1ヶ月程度でかなり改善されている方も多いです。経皮吸収よりは効果ははっきりしていると思います。ただ、内服できない方もいらっしゃるので、その場合は外用であるトラネキサム酸のクリームを塗っていただきます。

まとめ

・ハイドロキノンは医師の指導の下、肝斑がある方には効果的。
・レチノールとトレチノインは同じビタミンAになるが、レチノールは肌の表皮の表面、トレチノインは表皮と真皮の境目に作用がある。
・シミの治療で、トレチノインでメラニン色素を排出し、ハイドロキノンで新しいメラニン色素を作らせないようにする治療法がある。
・トラネキサム酸の内服と外用を比較すると、内服の方が効果がはっきりしている。

参考文献

Br J Dermatol
. 2008 Sep;159(3):697-703. doi: 10.1111/j.1365-2133.2008.08717.x. Epub 2008 Jul 4.
A randomized controlled trial of the efficacy and safety of a fixed triple combination (fluocinolone acetonide 0.01%, hydroquinone 4%, tretinoin 0.05%) compared with hydroquinone 4% cream in Asian patients with moderate to severe melasma

R Chan 1, K C Park, M H Lee, E-S Lee, S E Chang, Y H Leow, Y-K Tay, F Legarda-Montinola, R-Y Tsai, T-H Tsai, S Shek, N Kerrouche, G Thomas, V Verallo-Rowell
Background: Melasma is an acquired, chronic hypermelanosis for which therapy remains a challenge.
Objectives: To compare the efficacy and safety of a triple combination [TC: fluocinolone acetonide 0.01%, hydroquinone (HQ) 4%, tretinoin 0.05%] vs. HQ 4% after 8 weeks of treatment of moderate to severe facial melasma in Asian patients.
Methods: This was a multicentre, randomized, controlled, investigator-blinded, parallel comparison study. East and South-East Asian patients aged 18 years or older, with a clinical diagnosis of moderate to severe melasma, were enrolled in this study. Patients were enrolled at baseline and treated daily for 8 weeks with TC cream (one application at bedtime) or HQ cream (twice daily). There were four study visits: at baseline and weeks 2, 4 and 8. The primary efficacy variable was the melasma global severity score (GSS). Other outcome measures included Melasma Area and Severity Index, global improvement and patient satisfaction. Safety was assessed through the reporting of adverse events.
Results: TC had superior efficacy to HQ for the primary variable: 77/120 patients (64.2%) on TC had GSS 'none' or 'mild' at week 8 vs. 48/122 patients (39.4%) on HQ (P < 0.001). The secondary efficacy variables confirmed these results. Patient satisfaction was in favour of TC (90/127, 70.8%, vs. 64/129, 49.6%; P = 0.005). More patients had related adverse events on TC (63/129, 48.8%) than on HQ (18/131, 13.7%) but most were mild and none was severe.
Conclusions: Efficacy in Asians and patient satisfaction were superior with the fixed TC than with HQ 4%.

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