現実とフィクションのあいだを甘い酒に繋いでもらうよるに。
きみが泣いているのを初めて見た。
正確には、音声通話なので「聞いた」なのだけれども。その光景は私の眼前にあり、それでいて触れることが叶わないくらい遠くだった。耳に押し込めたイヤフォンを、更にぎゅっと押し当てて、私は彼の小さな息遣いが、どうか聞こえるようにと願った。
頭の中で素早く計算する。日本の時間では、3時23分。彼は未だ眠っていなかった。最初に、短いけれど乱暴なほどに自棄な言葉の並んだテキストと、追いかけるように今度はやけに弱々しい言葉が並ぶ。こんなにへなへななきみは