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#エモいってなんですか?〜心揺さぶられるnoteマガジン〜

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理屈ではなく何か感情がゆさぶられるそんなnoteたちを集めています。なんとなく涙を流したい夜、甘い時間を過ごしたい時そんなときに読んでいただきたいマガジンです。
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2019年5月の記事一覧

いとしき隣人へ

ずいぶん前のことだけれど、そばにいてくれるだけでいい人がいた。 話を聞いてくれるだけでいい。 ご飯を食べるときに同じテーブルにいてくれるだけでいい。 横断歩道のないところを一緒に渡ってくれるだけでいい。 泣いてる私のとなりに座ってくれるだけでいい。 文句の止まらない私に大量の副流煙を吸わせても、やる気が出なくてもだもだしている私にスマホゲームの音を聞かせても、締め切り前に必死にレポートを終わらせようとしている私の目の前で寝ていてもいい。 そこにいてくれるだけでいい。 私に

"態度"と心のケアに寄せる思索メモ

以前、"表現"に関する記事を書いた。 「心」は目に見えない。目に見えるのは、その人の「身体」だけだ。私たちは、相手の「心」を、その人の身体の振る舞い(その人が書かれた文章やその人が話したことを含む)の向こう側に読み取るしかない。だから、「心」を扱う者は、一番最初に、相手の振る舞いや仕草、発言などを、「心の表現」として受け取ることを身につけるのではないか、と想う。 心をケアすること、つまり、心を見ることとは、どのような営みなのだろう。前回の記事では、見られる側(=表現する側

夕焼けはずっとなまえのない感情

小学生の頃から、綺麗なグラデーションを描いて染まった夕焼けの空を見たり、早朝のちょっと冷たい爽やかな風を感じると、思わず涙が出ました。 あの気持ちに名前をつけるなら、とうまい言葉を考えてみましたが、全く何も浮かばない。 わたしの中ではずっと一番の「なまえのない感情」です。 結局今でも、どうして泣けるのかはよく分からないまま。 けれど、みんなが楽しそうに校庭で鬼ごっこに夢中になっているのに、1人だけ、夕焼けを見て泣くなんて、随分変な小学生だったと思います。 だからいつもそんな

好きなものを好きと言えること(後編)

✳︎前編はこちら https://note.mu/okariday/n/na279c469d132 ✳︎以下、ゆずドームツアーのネタバレを含みます 私たちの席はスタンドの上階で、思っていたよりもぎゅうぎゅう詰めだった。右にも左にもみっちりと人が居て、焦る。そうか、ライブはトイレにも立てないものなのか…! とりあえず開演前に2回トイレへ行き、最善を尽くす。買っておいた自由帳を取り出し、めいろやゆずを描いてもらって時間を稼ぐ。その間も、ドーム内にはゆずの音楽がかかっていて、

好きなものを好きと言えること(前編)

子どもの習い事を最低限にして、本人の好きなことを深めるためにお金を使おうと決めた。 まだまだ迷いながらの判断だが、これはちょっと良いなと思えたのでnoteに残しておきたい。 自分の幼少期を振り返ると、ピアノ・書道・体操教室・スイミング・英語と色んなことをやらせてもらったけれど、残念ながら何一つ身になっていない。 みんながやっているから、やった方がいい くらいの気持ちで始めて、 みんなと同じくらいできればいい と何にも考えずに続けていた。 万事そんなふうだったから、習い

火星のカップル

地球はふたりが住むには、悲しいことに満ちすぎていたから、わたしたちは火星に住むことにした。 気候はそんなにいいものではなくて、いつでも風が強く、風見鶏がくるくると忙しなく回っている。どこを見ても殺風景だし、面白いものは何もない。それでも、ゆるやかな曲線を描いた地平線や、幾万もの鮮やかな星々には、いつも息を飲んでしまう。胸を痛めるような悲惨なニュースも、他人からの思いがけない悪意もここには存在しない。ふたりだけで、ゆっくりと愛を育むことができる。 火星に来てから自分