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きみは見なくていいんだよ。

益子在住の陶芸作家さんの個展に伺いました。
いつも通り、奥様もご一緒で
とても仲良しなご夫婦。

この作家さんのInstagramには
陶芸作家であるご主人の
とても美味しそうな夕飯の画像が投稿されています。

作品である器に盛られた
魚、野菜、果物など。
どれをとっても身体に良さそうな
そして美味しそうな
愛情あふれる料理です。

会場にいらした若い女性が
「いつも、Instagramのステキな食卓の写真を見てはため息をついてます」
と仰るので、わたしも横から
「そうなんですよ!とても美味しそうで羨ましい~!と思いながら見ています」と言うと
傍らにいた奥様は、不思議そうな顔で
「Instagramの料理の写真? あら、わたしは見たことないわ」

「えっ!見たことないんですか?素敵な夕食の写真ですよ」

女三人の立ち話の場所から
少し離れた丸椅子に座ってボンヤリと話を聞いていたご主人が
奥様に向かって間髪をいれずに言いました。

「きみは見なくていいんだよ」

「?」

「きみは見なくていいんだよ。ぼくと一緒にホンモノを見ているんだから」


わたしは声には出しませんでしたが
「愛だなぁ!」と心の中で拍手をしてしまいました。

きみはぼくの傍観者にならないでほしい。
という愛の告白に聴こえたからです。


Instagramに切り取られた食卓の風景は
おふたりの幸福であり
それを写真で確認する必要はありません。

投稿を見るわたしたちは、愛のおすそ分けをいただいて
新しい今日を生きていく。

なんか素敵だなぁ。
「愛のある空間」だなぁ。

そう思いながら
新作の器を観させていただきました。



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