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「演奏上のアドバイス」が人間関係を壊しやすい理由ー音楽とコーチングその①

昨日Facebookに投稿した内容のコメントが結構いろいろ面白かったのと、
朝一でひらめきがあったので、朝からこんな記事を書いている。

最近すごく尊敬してる先輩に「へたくそ」って言われ続けたことが原因なのか・・・ずっとおなかを壊していまして。 ・・・いや、、考えたくないけど大腸に転移したかな。。。 と思ったけど。 ストレスからくるたんなるビールの飲みすぎかも(笑) で...

Posted by 程嶋 日奈子 on Thursday, August 24, 2023

「演奏上のアドバイス」なんてみんな基本ほしくない

ジャムセッションに来ている「いい大人」なお客様同士が喧嘩する理由

答え:仕事じゃないから
です。
ジャズのジャムセッションに通ってくださる方というのは多くがいい大人です。ワンドリンクで参加できる東京最高峰のジャムセッションスポット・イントロとかじゃない限り、そんなに安くもないチャージをちゃんと払ってきてくださる方。つまりちゃんと仕事もして自立している場合も多い。
(あ、お金持ちのマダムは死ぬほどうらやましいですが話がそれるので割愛します)

その人たちが、ひとたび「セッション」になると参加者同士で喧嘩しはじめたりする。
これは
①仕事じゃなくて上下関係とかがないから
②より「素」の状態で人とぶつかることになるから
③自分が好きなことや自分がかっこいいと思っていることを否定されると相手の事まで嫌いになる

ということが起きやすいのですね。他に「嫉妬」という要素もからみますが。これは社会心理学的な観点から別の記事にしているので機会があったら紹介します。

でもみんな一方で、
「アドバイスはしたい。」
なんかわかるでしょ?あー、大変~♡

音楽教室に来る人・セッションに来てる人の9割は別に”つらい思いをしてまで”うまくなりたくない

だって仕事なわけでもないんだもん(笑)←二回目

私が音楽教室で「先生」をはじめてもうすぐ15年である。
前述のセッションホストという仕事でいうとすでに仕事歴20年。
なかなかの年数になってきた。

ちなみにその音楽教室でいうと程嶋の生徒さんは特殊枠で、
人生初のコントラバス演奏から半年で区のオーケストラの入団試験受けに行っちゃう人とか(めっちゃ特訓した)
自分たちでアレンジまで書き始めるビックバンド(私が厳しくて結束が固かったせいか内部でめちゃくちゃな組数結婚してた)
という町の音楽教室に趣味で来ている人としては向上心が高い人が多いのだけど。。。

こういう例を除いて、ほとんどの人は余暇の時間を楽しむために音楽をやっているので「自分の楽しい思いを壊してまで」=つらい思いをしてまで=例えば楽しくない練習をしてまで=(下手したらあんまり好きじゃない)人のアドバイスを聞いてまで、、、うまくなりたくないのです。

そして、それは悪いことでもなんでもないのです。

よく「先生」達が、
「生徒が演奏を見に来ない。向上心がないのか。」
と言いますが、
単に彼らが我々の演奏を見に来ても楽しくないから。
これにつきるでしょう。
上原ひろみさんとかの演奏なら見たいんじゃないかな。。

因みに、セッションに来るお客様はライブに来ない。もあるあるです。
悪いことでもなんでもないのです。
セッションを楽しんでください!
(・・・こういうこと言ってるとホストとして嫌われるかしら。
別に本当に他意はないので楽しみにきてくださいね)

一方で特に大人の音楽教室の先生が「楽しくうまくしてあげるべき」
というのも私の持論でどっかに書いたのでこれもまた別の機会に紹介します。向上心がある人に対してちゃんとお教えしますし、
セッションでもいろいろ試してみるお手伝いはしますよ!

プロミュージシャンとアドバイス

と、上記結構重要トピックの中で
「仕事じゃないから」というメタワードが登場しているのですが。
じゃあ、仕事としてやってる我々はどうかというと。

つらい思いをしてでもうまくならないともっとつらいことになります。

因みに、「アートにうまいもへたも」という話が出てくると思いますが。
我々がやっているのはポピュラー音楽であり、すごく小さいながらも商業ベースにのっていて「前衛芸術」的なところとはやっぱりちょっと違うため、
「うまい」「へた」はあります。例えジャズでも。
音程とかリズムとか、音色とか。フレーズとか、努力できるポイントは山ほどある。ゆえに「うまい」「へた」はあります。

しかし、私たち中堅ミュージシャンが「アドバイスするな」を合言葉にしてから結構な月日が流れています。

これにはすーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーごく複雑な事情がからんでますが、まあ、、、
①さすがにこの業界にも傷つきやすい若手が増えた
②仕事じゃなくてやってる人と仕事でやってる音楽家が一緒に演奏する機会が増えた(ジャムセッションじゃなく)
ことが大きくかかわっていると思います。

因みに私は怒られたい人です。

______________________________________以下8/28メモだったものを文章まで加筆。

日本人はそもそもディスカッションが下手な国民性を持っている?


人を憎んで罪を憎めない

日本人は「湿度高め」の国民性。

人=どういう人か
罪=その人がやってること
を分けて考えられない。

裏返すと自分がやったことや作品を否定されると自分が否定されるように感じる。
これはずっと昔から言われていることだと思うのですが、西洋人に比べてディスカッションが苦手と言われるゆえんです。
意見=人間 つまり表層的な部分と人間性を切り離せない
意見を否定している=否定されている
議論を喧嘩だと思う人たちの誕生です。
そんな子供がそのまま大人にならないために小学校とかでやるのが
ディベート】ですね。

なんでそんな国民性になったかは島組の単一民族だからとかいろんなことが関係していると思っています。
人のことが気になりすぎるでしょ?
私たち。

さて、では「芸術」が対象になるとどうでしょう。
「芸術」とか「表現活動」というのは「自己表現」という側面が強くなる。
これがさらにセッション喧嘩論の原因を助長するわけです。

コンサルティングファーム出身者が「性格悪く見える」訳

ところで、私。20代前半までは「議論すること」が仕事の職種にいました。
そう、「元外コン」という程嶋のキャリアはミュージシャンの間では特殊。
コンサルタントにとっては「クライアントの成功」が正義であり、
そこに向けての意見のぶつけ合いに人格否定もへったくれもないのです。

つまり、「議論すること」が仕事なので人から相談事を受けたりすると
正論しか言えないこともしばしば。
特に「戦略コンサル」であんまり偉くならなかった人(あるいは若いうちにやめてる人)はお客様との深いやり取りとか組織マネジメントをあまりやってなくて遠慮がない。
この特性ゆえに時にプライベートでも人にザクザクと致命傷をつけてしまうので気を付けないといけないのです。

まあ、本当に優秀な人はそんなことないですけどね。
私の友人で東大出身の本当に賢いコンサルタントがいますが、とても穏やかな良い子です。余裕がある人というのは人を攻撃しないのよね。

欧米人がみんなサバサバしているわけではない

だからと言って欧米人がみんなサバサバしているわけではないと思います(笑)。
程嶋は国内でMBAを取っていますが、ハーバードビジネスレビューにも一時期特集が組まれたように、「マネジメントのジレンマ」というのは世界共通のテーマです。
組織が人間でできている以上、ロジックだけでは動かないということですね。

喧嘩せずに人を成長させるには


言い方のテクニックは確かにある

そんなこんなでよく出る議論に「言い方を気を付けよう」ということがあります。
【ちょっと「・・・」すればもっと良くなるよ。あなたは「・・・・・・」が上手なんだから、もったいない】構文。
=あなたがその人から嫌われていない限り有効です。

「否定しない生き方」の本によるとそれもだめらしいけど。

ちょっと前に話題になってましたよね。
私も結構人を否定してしまうのでちゃんと本棚にあります(笑)

別に「喧嘩しない」ことが大事なわけではない

でも仕事である以上喧嘩しないことよりも大事なことは山ほどある。
先ほどのコンサルタントの話でいえばより良い戦略をお客様に提案するのには議論が必要だし。お客様に「それだめですよ」と言えないといけない。

もちろん音楽家だってお客様により良い演奏を聴いてもらいたいわけです。
仕事でやってるならなおさら。
まして我々がやってるのはJazzというポピュラー音楽なわけです。
エンターテイメントなわけです。

はい。というわけでここまでを一旦その①としておこうと思います。
関連の投稿などのディスカッションも盛り上がっているので少しの間ちゃんと丁寧にアウトプットしていきます。こうご期待。

次回以降のお話。

◆音楽家がストレスを感じる(感じやすい)「アドバイス」の話
・ポジション
・バッキングをしているポジション。
サポートメンバーという立場での、
【アドバイス】と【リクエスト】

◆好み
・真逆のリクエストを受けることもある。

◆私見(主に聞き方の話)
・程嶋バンドは松島さんによると、
リーダー以外の意見が良く出ている良いバンドだそうです。
・本来程嶋は初歩的なアドバイスをしてもらえるような年齢でもないので
いろいろ教えていただけるのはありがたいこと。
同時に甘えられるような立場でも本来ないので
逃げ場がないわけです。

◆他のアイディア)
【誰に言われるか】も大事だわね。

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