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すごいぞ!石川県立図書館

北陸新幹線が敦賀まで開通する、と聞いたときから「2024年は北陸旅行に行くぞ!」と決めていた。年末か正月の午前中に見たバラエティ番組でも北陸観光について特集していて、絶対行きたい絶対行きたい!と思っていた矢先の震災だった。

当初はリニューアルした恐竜博物館に行きたかったのだが、もう目的はなんであれ、今年中に北陸に行かざるをえなくなった。ぼくにできる支援は、観光に行くことくらいしかないので。

というわけで、金沢市内の観光地を一通りめぐり、おいしいお料理をしこたまいただき、すてきな工芸品をいくつか手に入れて充実の一泊二日旅行を堪能した。ちなみに行きの飛行機はまあまあ大きくて、たくさんの人が北陸地方に向かっているんだなということがわかって嬉しかったです。みんなで経済を回そう!

なかでも、旅程の中に入っていた石川県立図書館には、本当(マジ)で圧倒させられた。

実は金沢旅行自体は2回目だったのだが、図書館はこの度初めて訪れた。
円形の書架って蔵書数減らすからあんまりよくないんだよね、地域振興、映え図書館か…?と図書館学をかじってなめただけのぼくは穿った気持ちで向かったのだが

す、すげ〜〜〜〜〜〜〜!
インターネット上の「何万冊」という蔵書数の文字や写真じゃ何も伝わらない、開架蔵書数の多さに圧倒された。これは、すごい。
広い土地のあるところだからこそできる芸当だった。東京23区内やさいたま市、横浜市みたいなところではありえない。これは、ほんとうにすごい。

入り口付近は興味をそそるような主題で本が集められているが、外周のほとんどはタイトルがついているものの、十進分類法に基づいて配架されている。

これは7類でした

円の一番外周は普通の書架が完全な十進分類法で並んでおり、中心から外側に興味を広げていく作りになっている。

円は東西南北でおおきく四つのエリアに分かれており、館内のシステムで探した時も比較的わかりやすく案内される。

というかこいつのコンテンツ力もすごかった。

館内の検索端末

司書おすすめのミステリー50選!
とか、子どもがイラストから興味のあるものを探せるページとか、とにかく「探索」そのものという感じがした。
ツール自体も、印刷物をパウチしたものではなく作られたもので、英語のインストラクションも用意されていた。

この端末で、読みたい本の配架場所の書いてあるレシートを手に入れる。
いたるところにタブレット端末が配置されていて、そのカメラにレシートのQRコードをかざすと地図が出てきて、現在地と本の配架場所、最初の端末からの最短ルートなどが表示されるシステムもすごかった。

そういえばパスファインダーとか見つけられなかったけどさぞすごいんだろうな。

紙の本でものを調べるという体験が面白いと思える図書館は、現代においてとても大切だよなあと思う。タップひとつでなんでもわかる時代に、自分の足で本をさがして、ページを繰って、見つけたい情報に辿り着いて、たまに寄り道して、という体験そのものが人の心を豊かにしていくと僕は信じている。

そしてもう一つの見どころ、デザイナーズチェア。

かの有名なネルソンのマシュマロソファ
布バージョン

円周の一番外側には、「有名な椅子」がいくつか並んでいて普通に使用することができる。かの有名な椅子から、新しいデザイナーのデザイナーズチェアなど、家具の意匠は見ていて飽きなかったし、館内の家具を見ながら歩くのは宝探しをしている気分になって楽しかった。美術館に展示してあるようなイスに座って本を読んだり勉強したりしている市民をみて、これは豊かだなと思った。

そもそも石川県や北陸地方は工芸や文化への投資が古くから行われている土地だから、心が豊かになる仕組みが多いなとは思っていたんだけど、その地で生きる人の生活の中の文化を見ると、いよいよ豊かさを感じる。

そして何より同行者と驚いてしまったのがこちら

ブリタニカエンサイクロペディア9版。
9版?!調べたら、1875年から14年間にわたって出版されたバージョンのようだ。
こんな本が…開架……?!
信じられない。
本に「触ってしまった」という感覚がすごかった。すごい。こりゃ〜すごい。たぶんもっとよく探せば「こんなものが開架に?!」というものがたくさんあるのだと思う。この出会いだけで旅行の満足度が爆上がりした。すごすぎる!面白い。

その隣で平然と勉強している人がいるわけで、まじでおもしろい空間だった。そういえば、円形だからこそ配置できる勉強・閲覧スペースも多かった。
観光地としても成り立ち、地域の知識のハブともなる立派な施設だった。
金沢市の中心部からもさほど遠くなく、そのエリアに住んでいたら毎日入り浸ってしまうなあ。めちゃくちゃいい空間でした。

今どきの図書館らしく、(というか観光として成り立たせる意味でも、経済面でも必要なんだけどね)おしゃれなカフェが併設されている。お料理もおいしかった。しっかりとコーヒーゼリーをいただいた。おいしかったな。

図書館の姿はどんどん自由になってきた。
本離れと指定管理系の法律の変化がいい感じにブレンドされて、人を寄せる機能としての図書館が注目され始めている。と、思っている。

面白そうな本を手に取って、お気に入りのデザイナーズチェアに座ってゆったりとした時間を過ごす、なんて1日を過ごしたい!そう思える図書館だった。
お立ち寄りの際はぜひ寄ってみてください…ほんとうにすげえから…

石川県!早く元気になっておくれ!
ゆっくりだっていいけど、元気な姿をみんなが待ち望んでいる!
水害まで発生し、もう言葉も出ないけれど、文化と伝統にあふれた北陸地方がやっぱり好きです。

いただいたサポートでココアを飲みながら、また新しい文章を書きたいと思います。