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きょうの日記:大根の香り

大根を切ると、とてもいい香りがする。

恥ずかしいことなのだが、私は大根の香りの良さを知らなかった。そして大根のおいしさも知らなかった。

手足口病にかかり、この1週間、「煮込んで柔らかくなる野菜」しか食べることができなかった。寒くなってきたし、体調も悪いから根菜はきっと体にいい、と思い、あまり得意ではない大根を食べることにした。

大根を最初に買った日は手足口病の症状のせいで指先が痛く、大根の皮をかつらむきしたり、玉ねぎの芯を取ったりするのが大変だった。

それでも、大根の本体(?)に包丁を入れた瞬間、ものすごくいい香りがした。それにやたらと感動してしまった。

大根がこんなにいい香りだって知らなかった。

そして、くたくたに煮てみると、これまた香り高くおいしかった。

一人暮らしを始めて、食べられるようになったものがいくつかある。
自分で調理するからというのもあると思うが、食べられなかったものの美味しさとか、りかいできなかった作品の良さとか、そういうのを理解した時にとてつもなく「大人になったなあ」と思う。

というか「大人になってしまったなあ」と思う。

大人になるというのは失うことと同義だと考えているので、基本的に寂しいことだと思っているのだが、こうやって「できないことができるようになる」という経験があるのであれば、大人になるのも悪くないのだよね。

いただいたサポートでココアを飲みながら、また新しい文章を書きたいと思います。