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怪力乱神事典

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妖怪・UMA・宇宙人等の情報を主観的にせつめいする事典です。
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2014年4月の記事一覧

タラスク

タラスク

 二千年前までフランスのローヌ河沿いの森に棲んでいた怪物で、上半身はヤマネコ、下半身は魚、カメの甲羅に六本の脚、ドラゴンの体を持ち、毒息を吐き、燃えるうんこを脱糞し、いつも静かに笑っている。そんな怪物です。とにかくわやくちゃな造形なんです。

 ジェノヴァ大司教の著した殉教者列伝『黄金伝説』やWikipediaには次のような伝説が伝わっておるよ。

 ネルリュク(黒い森)付近に現れる怪物タラスクは

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コサメ小女郎

 和歌山県日高郡龍神村のオエガウラ淵に棲んでいた妖怪。その正体は年経たビワマスだかヤマメだかだそうで、こいつがまた悪いやつなんだ。何をするかというと、淵の近くを非モテ男子が通りかかると美少女に化けて水の中へと誘惑する。非モテ男子は女子の誘惑に耐性がないもんだから「えっ? どこ? あそこの淵? あそこの淵に落としちゃったの? スク水を? え、拾ったらお礼に? 着替えてくれんの? この場で? えっ? 

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鰻男

 岩手に伝わる妖怪伝説。
 雫石村にやたら可愛い女子がおりまして。その女子のもとに、いつの頃からか若い男が忍んで会いに来るようになりました。娘が男の氏素性を尋ねても男は一切返事をしなかったのだけど、彼女にとってはそれがむしろミステリアスな男の魅力として好意的に解釈され、娘はますます男に惹かれてゆきます。そしてある晩、燃え上がるような二人の恋は、ついに彼らを肉欲という名の惑溺の淵へと深く沈めるに至っ

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長壁姫(おさかべひめ)

長壁姫(おさかべひめ)

 姫路城の天守閣に棲みつく妖怪。お城の一隅を占有する家賃代わりに、年に一度城主と面会して城の運命を教えていたそうです。
 その正体は妖狐の類と言われていて、猪苗代城の妖怪姫「亀姫」は長壁姫の妹であるという設定もあります。全国の各お城にきゃわいい妖怪姫が住んでいるなんて、最近の萌え系ソシャゲとかにありそうな設定ですよね。人類はまるで進歩していない。

 むかしお城のみんなで「妖怪のいる最上階までおし

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油ずまし

 むかし熊本の草積越という山道を婆と孫が歩いていた時、婆が孫に言うわけですよ。「そういえば、ここらには昔油瓶下げたのが出たそうじゃ」みたいなことをね。そしたら草むらからガサガサと妖怪が出てきて、「今でも出るぞー!」と怒鳴ったんだそうです。とまあ、そういう地味な話だけが伝わっている妖怪です。

 しかし「草積越には油瓶下げた奴が出たそうじゃ」って言われても、孫的には反応に困ると思うんですがどうでしょ

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岩魚坊主

 深山で無法ヤンチャなプレイスタイルの釣りに興じていると現れる妖怪。

 ヤンチャなプレイスタイルといっても禁漁区での釣りとかガチン漁とかいろいろあるけれど、例えば「毒もみ」という漁法がありますね。山椒の皮かなんかを川に流すと川じゅうの魚が死ぬのでラクして魚が獲れるそうなんですが、あるとき村の若い衆が毒を川に撒き散らしまくってゴキゲンな乱獲に興じていると、どこからともなく坊主が現れて「そんなことは

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目競

目競

 太政大臣・平清盛主導の強引な遷都によって日本の首都が福原へと移され、No Taira family, No Life的なキャンペーンをますます強めていた不穏な時代のこと。福原では様々な奇怪な事件が発生したのですが、このエピソードもその中の一つ。

 ある朝、清盛が妻戸を開いて中庭を眺めたところ、なぞのモンスターとエンカウント。それは死人のされこうべに目玉のついたちっこいモンスターで、いわゆるスラ

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七尋女房

 島根や鳥取などに伝わる巨大な女妖怪。七尋とはこの妖怪の身長をあらわし、メートル法に換算すると約13メートル。よってこの妖怪の全高は史上初のモビルスーツであるMS-01 (ZI-XA3) 通称「クラブマン」と同じくらいの大きさであったであろうことが推察されます。この非常に適切かつわかりやすい例示によって、妖怪の大きさのイメージをつかめることと思います。

(参考)ガンダペディア「MS-01 (ZI

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オッケルイペ

 樺太アイヌに伝わるおなら妖怪。「オッケ」=「放屁」、「ルイ」=「猛烈にすぎる」、ペ=「者」だそうで、訳すとスーパー放屁人といったくらいの意味になりますかね。オッケオヤシ(放屁おばけ)とも言います。

 アイヌのみなさんが囲炉裏を囲んで団欒していると、ポアという音と、やたら強烈なおならの臭いがする。しかも連発。あまりに臭いので子どもたちの間では犯人捜しが始まる。こういう時にえてして持ち前の残酷性を

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足洗邸(あしあらいやしき)

足洗邸(あしあらいやしき)

 本所七不思議のひとつ。本所三笠町にある屋敷の天井からギガンティックな足が降りてきて「足を洗え」と強要し、従わないと家屋を破壊し暴れまわるという七不思議業界きっての武闘派。七英雄でいうとダンターグといったところ。
 ちなみに海外の掲示板の足洗邸スレでは、この妖怪について「モンティ・パイソンみたいだな」「スーマリ3のワールド5に出てきた大きな足みたいだな」などといったクールジャパンな論評がなされてお

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置いてけ堀

置いてけ堀

 本所七不思議のひとつ。七不思議の代表格的存在で、七英雄でいうと頭目のワグナスといったところ。つよそう! 強キャラ! わが置いてけ堀へようこそ!

 ワンス・アポン・ア・タイム・イン錦糸町。とある江戸っ子がお堀に釣り糸を垂らしておりました。暗い顔の江戸っ子は「釣りをする夫の姿を見たことのない妻は、自分がどれほど辛抱強い男と結婚したか気がつかない……」などと妙に箴言めいたことをつぶやき、目にはうっ

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燈無蕎麦(あかりなしそば)​

燈無蕎麦(あかりなしそば)​

 本所南割下水付近(江戸東京博文館のあたりですかね)には夜になると二八蕎麦の屋台が出たそうですが、その中にはなにげにホーンテッドな蕎麦屋が紛れ込んでいた……という本所七不思議のひとつ。

 昔々、ちょろい江戸っ子が夜中にそばを食いたくなって、「おっす、おら江戸っ子。いっちょたぐってみっか!」的なスーパーたぐりモードとなって夜の闇を徘徊し、みつけた屋台に駆け寄っていくわけ。
「やってる?」なんつって

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