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濡れたメモをアイロンがけしてみよう

耐洗紙という紙をご存知ですか?

読んで字のごとく「洗うことに耐えられる紙」です。クリーニング屋さんにシャツを預けると、ホッチキスで取りつけられる紙のタグがありますよね。あれに使われている専用の紙です。


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もともと紙のクリーニング・タグが開発される前は、布のタグにお客さんの名前を書いてシャツに縫いつけたりと、たいへん手間のかかる作業でした。

そこで「簡単にシャツに取りつけられるタグはないか」という現場のニーズに応えて「洗っても破れない特殊な紙」が開発され、紙のタグが誕生したのでした。

「えっ? なんでシャツを洗ったあとにつけるタグなのに、洗っても破れない必要あるの?」と思われたみなさん。大いに勘違いされています(実は私も知りませんでした)。

そう、クリーニング・タグはシャツを「洗う前」に取りつけるんです。だって「識別するためのタグ」ですから。いろんなお客さんのシャツをごちゃ混ぜにして、一緒に洗ってしまったら、どのシャツが誰のものか分からなくなるじゃないですか。


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さて、この「耐洗紙」という特殊な紙。もともとクリーニング・タグ専用に開発された紙でしたので、それ以外の用途では使われてきませんでした。

けれども「水濡れに強い(=バラバラにならない)」「引っぱっても破れにくい」という、ただの紙とは大きく異なるタフさが魅力的。そこでクリーニング・タグ以外にもいろいろ展開できるのではないかと企画されたのが「TAGGED(タグド)」というステーショナリー・ブランド。

代表作の「TAGGED MEMO PAD」は2016年度グッドデザイン賞も受賞しています。ちょっとくびれた形で握りやすい、タフなメモです。


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そんな「TAGGED MEMO PAD」の製品化にあたり、このメモパッドに使われている耐洗紙は「どれだけ水濡れに強いのか」を実証すべく、実際に洗濯機でまわしたり、雪の中に丸一日埋めてみたことがあるんです。

結論から言うと、本当にタフな紙でした。水責めにも雪責めにも負けない、どんなことがあっても生き残ってくれる丈夫なやつでした。


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雪の中に埋められてしまったタグドメモパッドさん


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24時間後に救出!


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書いた文字もそのまま(水性ペン以外ならOK)


いやあ、本当にすごい。と感心していたのですが、気になる点がふたつありました。

ひとつは、全体的にシワができたこと。水分をたっぷりふくんでいますから、どうしてもヨレができてしまいます。

もうひとつは、わずかに縮んだこと。耐洗紙に限らず、紙というのは繊維でできていますから、シャツと同じで縮むことがあるんですね。


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シワができ、ちょっと縮んだタグドメモパッドさん


日常生活を送る上で、ズボンのポケットにメモ帳を入れたまま洗濯機で洗ってしまうことなんて稀ですし、ましてや雪に埋もれるなんて登山中にダイイング・メッセージを書き残す場面くらいしかないかもしれません。

でも、そんな「究極のシチュエーション」でも破れずに残ること、大切なメモ書きを残し続けてくれる点に、このメモパッドの価値があります。ですから、多少シワができたり縮んでもそれは「頑張って耐えてくれた証」です。

一方で、元の姿に近いところまで戻す方法はあります。その方法とは、アイロンがけをすることです。


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「えっ? 紙なのにアイロンをかけられるの? 燃えちゃわない?」と思われたみなさん。大いに勘違いされています。実は私も知りませんでした(2度目)。

紙はシャツと同じ繊維でできていますから、つまりシャツと同じようにアイロンがけができるのです。一般的な紙は水に濡れるとバラバラになりますから、それ以前の問題ですが、耐洗紙なら大丈夫。

実際にやってみましょう。


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表面の水滴はティッシュで拭き取っておきましょう


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じゅーっ


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じゅーっ


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じゅーっ


はい、結果はご覧の通りです。


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完全に元通り! というわけにはいきませんが、それでもシワは軽減され、縮みも改善されました。シャツのシワを伸ばすようにアイロンをかけてあげれば、紙のメモも「回復」することが分かりました。

ただし、ひとつだけ注意していただきたいのは「アイロンを押し当てすぎると焦げるし、燃える」ということ。これもシャツと同じですね。熱を加えすぎず、様子を見ながら数回にわけてアイロンがけしていただくと良いと思います。



紙にアイロンをかけられる。知識として知っておいていただくだけでも良いのですが、ぜひ実験してみてください。実際に体験してみると、人に話したくなりますよ。




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