見出し画像

「ひみつ道具」をつくっています! 第3回:ひみつ道具は法律に引っかかる?

 新しいひみつ道具を現代の社会で使ったら、どんなことが起こるだろう・・・。そんな疑問から、ひみつ道具を社会実装する際に考えなければならないことのひとつとして、必要となる法律について検討することにしました。
 ここではひみつ道具全般に関する厳格な定義はせずに、マンガの中で最も登場回数が多く、あったらとても便利な「タケコプター」を題材に3チームに分かれて議論した内容をお伝えしたいと思います。

 まず、ひみつ道具が世の中に登場する場面を考えるには、我々がこれまで経験してきた発明品や新製品が、リリースされた時に何が起こったかが参考になると考えました。
 カメラや時計のデジタル化、携帯電話や電気自動車、電動アシスト自転車、キックスケーター、遠隔手術ロボット、ドローン、量子コンピュータ、仮想空間などなど、具体的な事象や対応についての情報を集めながら発想を膨らませ、ではタケコプターならどうなるだろう?と、利用シーンから原材料の調達や製造の場面も含め、考慮に入れなければならないことについて議論を重ねました。

 例えば、マンガでは、ドラえもんやのび太の仲間たちだけが使っているタケコプターを多くの人が使うことになった場合、利用者同士の衝突や転落、落下物などの事故は、どのように防いだら良いか、住宅の近くを飛ぶ場合はプライバシーをどう守るか、子供が使う前提とした場合に、どのような対応が必要になるか、といったさまざまな課題が想定されます。

タケコプターが広く普及したらこのような世界になる?

 何らかの機能を追加することを前提とせざるを得ないといった話から、究極的には、現実空間ではなく、VR上だけでの体験の仕組みでなければ実現しないのではないか、といった議論にまで発展しました。
 そして最終的には、法律で規制するより製造・販売側あるいは使用する側が、ユーザの保護と共に影響を受ける周辺環境への配慮も含め、自主基準として仕様に反映させるのが妥当ではないか、という結論に落ち着きました。

 今回は、タケコプターという特定の道具について議論しましたが、その論点や方向性は道具のもつ特性や目的により大きく変わるはずです。その点で、「空を飛ぶなら航空法のような既存の枠組みに収まるのか?」とか、「直接使うのは子供だけど、本当のユーザは親だよね」とか、過去、現在の経験から学ぶべきことがたくさんありそうだ、というふうに議論は大いに膨らみました。ただ共通して言えるのは、その道具を取り巻く文脈を理解することが、何より重要だということになるように思います。この議論の経緯は、1月の展覧会や東京都立産業技術大学院大学(AIIT)紀要で詳細を公開する予定です。

(担当:水野)

参考:テレビ朝日ドラえもん公式ページ「ひみつ道具カタログ」
https://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/tool/

東京都立産業技術大学院大学(AIIT) 
https://aiit.ac.jp

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?