見出し画像

ダディ・ロング・レッグズ 前楽を観に行って感想を書きたいのに語彙力が足りない話

画像1

超激レアチケットの『ダディ・ロング・レッグズ』のチケットが……なんと前日に、前売券取れたんです!

正確には前売り引き換え替え券です。友達がチャレンジして取ってくれました!!!ありがとうございます!!

あまりに人気あるのに公演数少なくて、諦めモードだったんですけど

神はいた。

そしてこのミュージカルなんですけど、脚本も歌もキャストもキャストの歌も演技も全てが最高の出来だったんです。

二幕ラストは号泣。

今年一番良かったミュージカル聞かれたら、間違いなくこれ。今後これ以上の作品出る?ってくらい良かった……もうね、これ見たおかげで数年生きていけるって思いました。

この状況下でこんな素晴らしいミュージカルを観れた私はなんて幸運なんだろう......

画像2

席は一番後ろのT列センターブロックのセンターでした。隣が音響機器置いてあってスタッフがいる席でした。

このミュージカルは日本人の皆様はご存じだと思われる、あしながおじさんが原作です。(アメリカ人やイギリス人は知らないらしいwマジかよ!?脚本・演出のジョン・ケアード氏も奥様に勧められるまで全く知らなかったそうな)

これ、原作は手紙形式でジャービス(ヒーロー。主人公の才能を見出し支援して大学に行かせてくれる評議員)の存在感が薄いって言うか、実際には出てこないただのモブなんですよね。手紙なのでw原作だと全くジャービスがどんな人かわからんのですよ。

でもこのミュージカルは違います。


表情豊かで山デートにはしゃぐジャービスや嫉妬するジャービスや、好きになったけれど正体を明かせなくて悩むヘタレなジャービスや、色んなジャービスを見ることができます!

ジャービスってこんなキャラだったのか!って発見できるというか。

面白いですよね。ジャービス坊ちゃん。


ジャービスが面白いのか井上さんが演じるから面白いのか。表情が豊かです(親戚の前以外)。コミカルな場面が多いです。

ダディ・ロング・レッグズの一番最初のバージョンではジルーシャしかいなかったらしいです(ソースはプログラム)。二度目はジャービスを加えて、ダンサーも9人いたとか。それもどんなのか見てみたいけど今の二人バージョンが一番良さそうです。ジャービスのキャラを考えセリフを書いたジョン・ケアード氏は凄い!

原作ではモブすぎて分からなかったジャービスの気持ちの移り変わりとか心情とか、デートの様子とか、そういう知りたかったことがわかるんですもん!ジャービスの事好きになっちゃいます。

原作を知らない人は知らないまま見る方が絶対面白いと思います。原作を読むならミュージカルを見た後の方が、「これが噂のジルーシャが書いた手紙の内容なのか!」って思いながら、自分がジャービスになった気分で読めば面白いんじゃないですかね?

原作だと手紙形式なのでジャービスの人となりが良くわからなくて、最後もハッピーエンドで良かったねとは思うものの、泣くほどは感動しないんですよね。皆さまも子どもの頃に一回読んで終わりじゃないですか?あしながおじさんって。

この舞台は同じ空間にジャービスとジルーシャ(支援されるヒロイン)が存在してます!それだけでもすでに面白い。

舞台上の二人の距離は近く見えても、ジルーシャが送った手紙をジャービスが読んで物語が進んでいくので、二人の距離は離れていて、視線が合わさることもない……それなのに歌はぴったりと合うのが凄すぎる二人ですよ!

ジルーシャが手紙を読み上げる感じで語りだしたり、歌う場面は、ジャービスにも注目すると小芝居やってたりするんで、どちらを見たらいいのかわからなくなります。井上芳雄さんと坂本真綾さんの息がぴったりでなのもありますが、声の質も合っていて素晴らしかったです!

ソロもデュエットもハモる部分も最高!

何ですか、この抜群の歌唱力と演技力。これってただ上手い二人をキャストにしてもダメなんでしょうね。この二人だからできる技って言うか。他のキャストで見たいと思わないですもん。ここまで完成度高いと。

しかもこの演目の歌、絶対歌うの難しいですよね!井上芳雄さんはミュージカル界でも有名なミュージカル俳優さんで、歌が上手いのは知っていました。井上さんのエリザベートのトート閣下とか最高ですもんね。何回か生で舞台やコンサートを拝見しております。

しかし、私は坂本真綾さんは生で拝見するの初めてだったんです。声優としての坂本さんは私は好きで知ってました。私の好きなゲームとかでも声をあてていらっしゃったので。でもミュージカルって見たことなくて、こんなにお芝居や歌が上手だったとは!想像していた以上に素晴らしかったです。

ストーリーの展開の仕方も良かったですね。ちょいちょい原作と違うところとか端折ってる部分はありましたが、余計な部分が一切なくて飽きるところが無かったんです。

大好きなミュージカルの演目でも、ちょっとここ眠くなっちゃうとかいう場面があったりもするものですが、ダディ・ロング・レッグズはそういう場面はなかったです。

私はエリザベート等の大人数でのミュージカルでは、アンサンブルでみんなが踊って歌ったりしているシーンがかなり好きなタイプです。具体的な場面で言うと、エリザベートならウィーンのカフェの退屈しのぎの場面とか、皇后の務めはこうだと侍女とシシィを責めるゾフィーのシーンとかです。だから2人芝居だと迫力ないし単調になって飽きるかもしれないって心配してたのに...

絶対どちらかが歌ったりお芝居してるので休むことなく見ちゃう!

ジルーシャが手紙を読む感じでお芝居してると思ったら、ジャービスが続きを読む感じでお芝居が続くところが多いのですが、スムーズに移行してるのが凄いです。

舞台転換もジルーシャが荷物動かしたりして、それが椅子になったりテーブルになったり、パカってその荷物開けて服を自分で取り出して着替えたり!こういう舞台見たことなくて新鮮でした!

原作だと『憂鬱な水曜日』という作文(エッセイ)の出来が素晴らしかったので、それに才能を見出したジャービスがジルーシャを援助することを決めるわけですが、その辺も細かいところはカットされてましたよね。文筆の才があるから支援決めたってざっくりとした感じになってました。水曜日は嫌いみたいなところはあったかも?ただ憂鬱な水曜日っていう言葉は出てこなかったですね。

全体的に余計な部分省いて、いい感じに場面場面が繋がっている印象です。


ジルーシャはジャービスがダディ(あしながおじさん)だとは気づかないまま、出会い、仲良くなっていくわけですが。

二人で山登りして、その帰りに雨に降られて、ジャービスはジルーシャにジャケットを貸してあげて雨に濡れないようにしたりとか、そんなシーンでも二人は幸せそうなんですよね。

恋するバカップル。最高。


結構この辺の楽しそうなシーンは萌えました。

あと面白かったシーンは、パリへ行ったほうが良いと言うジャービスに対して、家庭教師の仕事をすると断るジルーシャの攻防ですね。あそこも面白かったです。高圧的な態度で命令しちゃう所為で、逆にそれでパリにはいかないと決めちゃうジルーシャとか。あの時の、あーー失敗したーーーやられたって思ってる時のジャービスの表情やしぐさが可愛かったですw

パリ旅行を一緒に楽しみたかったジャービス坊ちゃん、ジルーシャに敗れる(笑)


その後ジャービスが嫉妬して二人が仲たがいしちゃったり、距離が開いてしまうわけですが。

途中で「ジャービスとして私がダディだ、と言うべきか、ダディとして私がジャービスと言うべきか」とか、自分とダディが同一人物だと言えないで悩んでるところもありましたけど、最後の方になるととっととばらせや!と思いつつ、それをやってしまうと物語が終わってしまうなとも思ったり。

なんかそういうヘタレなジャービスぼっちゃま、好きです。


井上さんが歌うシーンだとチャリティーの歌のところ良かったですね。与えてるつもりが色んなものをジャービスは与えてもらったんだなって。

「チャリティー それは飼い主の手を噛む 施す者の心を蝕むんだ どんなに動機が純粋であっても もしも、本当に助けている人間の事を思うなら 寄付が十分に足りるなんてことはあるのか? それは感謝と言う壁を作り上げてしまう どちらの側からも登ることができない壁を」

このセリフのジャービスのセリフの後、歌が始まります。私が特に好きなフレーズは

助けた君を 今 求めてる 
君が私にくれたもの あげることはできなかった
信じた愛は きっと 幻か夢

このあたりですね。

切ないジャービスの気持ちがよく出ていて、印象に残る歌でした。ジルーシャから身を引こうとしているというか。一番ジャービスの感情が乗って胸に来る歌と言うか、泣きますよね。

こんなの聞かせられたら泣きますよ!!!

2012年バージョンのチャリティーはyoutubeにある東宝の公式チャンネルにあったものを聞いたのですが、歌詞が2020年版と若干違いました。歌い方も。

ダディ・ロング・レッグズってリプライズが多いんですが、チャリティーはリプライズはなく、ここでしか歌わないですね。

あなたの目の色、幸せの秘密の二つは2回もリプライズがあります。マイ・マンハッタンもリプライズが1回あります。

商業デビューしたジルーシャが、自分の作品で稼いだお金を小切手で送りつけてきて、それを受け取った後の嬉しそうなジャービスのマイ・マンハッタン(リプライズ)も良かった!リプライズの方のマイ・マンハッタンの方がジャービスのテンションが上がってた気がするんですけどどうでしょうかね?

二人の間にあった感謝と言う壁がぶち壊された瞬間なのかなって。これで対等になれたのか。ジルーシャが諦めず理事になることでダディに会おうとしているというのを知って、それも気持ちが昂ることになったのかなと思います。だってもうさ、呼ばれてた卒業式も行かなかったダディをここまでの信念で諦めないジルーシャ、凄くないですか?

これはプロポーズするしかないわ。(でも振られる)

     

自分の正体を言わないままジルーシャにプロポーズしちゃうジャービスとかヘタレでとても良い。

自分が孤児だからと、それをジャービスに言えずに、好きなのにプロポーズ断って身を引こうとするジルーシャとか、二人のすれ違いも最高です。

プロポーズまでするのに正体は明かさないって言う...... 最後までヘタレなジャービスのせいで、

本人に言えない本当の気持ち(ラブレターとも言う)をまさか本人に送ってることになるとはな!!!

恥ずかしすぎるジルーシャ!(心中お察しいたします)


これはプライベートな内容よ!って怒られてもしかたないよジャービスさんよ!!

最後のシーンは原作とは違ってジャービスは病気ではないですけど、笑えるところもいっぱいあるのに感動しちゃって大泣きですよ。号泣。

プロポーズ二回目は成功してよかったね、ジャービス!

膝をついてプロポーズするジャービスに自分も膝をついて手を取り合うジルーシャ。本当に二人は対等になれて幸せになれるんだろうなって、幸せいっぱいで、手を握り合って(握り合うというより重ねあう?ここ可愛かったw)感動的な終わり方で涙がとまりませんでしたよ。本当にいい話だ。

ついジャービスの事ばかり書いてしまいましたが、ジルーシャの演技も最高なんですよ!

ジルーシャはぽんぽんと言い返すのも面白いですし、努力家で、大学入学当時は自分の無知っぷりに嘆き、一般常識としてみんなが知ってることを知らないって落ち込むんですよね。でもいっぱい本を読んで勉強して卒業時には首席。落ち込むことはあっても前向きに諦めずに生きていく姿勢が好きです。

ジルーシャの歌でいいなと思ったのは幸せの秘密ですよね!あなたの目の色も好きです。真綾さん本当に歌も上手いし活舌もいいし演技力も凄かった……割と毒舌なセリフも多いのに、嫌味な感じにならないというか、魅力的なキャラになってるんですよ。

ジルーシャはセリフも歌詞も、いいことをいっぱい言ってるんですよね。

未来を恐れたりしないで、今この時を生きる とかそんなことを幸せの秘密で歌ってます。

人間にとって重要な資質は想像力だ

そんなこともジルーシャは言ってましたっけ。

しかし、今の私、何とか生きれてますが未来を恐れてます


この作品以上に素晴らしいって思えるミュージカルを観れるときがくることを想像できません。


いや本当に無理でしょ…これ以上のミュージカルって出てくる可能性あります…???これが初めてみたミュージカル作品です、って人がいたらもう今後ミュージカル見るときこれが基準になってしまうってことでしょ?

無理。


もちろん私、エリザベートとか有名な作品、大好きなんですが、好きの系統がこの作品と違うんです。エリザベートはどちらかというと楽曲が私は好きなんです。キャラよりも楽曲。あとビジュアルも好きですけど!ストーリー自体に感動して泣くことはないです。

ダディ・ロング・レッグズは楽曲はもちろんいいんですけど、脚本とキャラとストーリーが最高なんですよ!!!

すなわち、全部最高ってことです。


特に脚本、ジルーシャのセリフは原作から取ってると思われるのでまだわかるんですが、ジャービスのセリフとキャラをあそこまで作り上げたのが凄いです。盛り上げ方も上手いし。

楽曲はピアノ、ギター、チェロの3人の奏者で素朴な味わいがあって聞いてて心地よいです。作業用BGMとしてずっと聞いていたいなって思います。

2009年アメリカ版のダディ・ロング・レッグズのクリエーターとキャストの会話にギターで作曲したとあります。5:40あたりですかね。ピアノじゃなくてギターで作曲したからこうなったってことですかね。確かにいつも聞くようなミュージカルの歌って感じではないですよね。なるほどな!


そして、ダディ・ロング・レッグズを見た翌日に、私は日比谷コテージに向かいました。

プログラムを買いに。


東宝モールでは売り切れていたので、日比谷コテージに電話で問い合わせたら若干数あるとのこと。

買えました!じゃーん!!!!

画像3

2冊は友達の分です。残り15冊くらいでした。買えて良かった!

中身も良いですよこれ!デザインが良いし色使いも好き!そして最初にある脚本・演出のジョン・ケアード氏のメッセージ読んだら号泣ですよ......(号泣してばっかりだな)

プログラムのメッセージ読んで泣いたの初めてですわ。イクラと昆布のおにぎり食べたくなりました。気になる人は買ってください。東宝モールでは残念ながら売り切れです。

プログラムの内容はキャスト紹介が見開きで2pずつ、インタビューも2pずつ、舞台写真も大きいのが4p、劇中に出てきたキーワードの説明など盛りだくさんです。写真が結構大きいし、ページ数も多いので満足度も高いですね。

いつの日かまた会える 幸せの秘密はいつでも次のショーにあるとかめっちゃいいことばっかり言ってるんですよこのジョン・ケアード氏。流石、こんな素敵なジャービス坊ちゃんを作り上げた人なだけあるわ!好き!!

プログラム以外にもグッズがあれば欲しかったですね。アンティーク風レターセットとかポストカードとか。

とうとう6000字を超えてしまったのでこの辺にしておきます。また書きたいことがでてきたら書くかもしれませんが、どれだけ面白いかが伝わったなら嬉しいです。円盤も2017年版が出てるみたいなので欲しくなってます。

最高のロマンスコメディミュージカルをありがとう!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?