病気はなぜ起こる?―ホルモンの病気 2
前回はホルモンのフィードバック機構について説明しました。
今回はホルモンの受け手=受容体の話です。
ホルモンの指令が伝わるためには受け手である受容体が必要です。そのホルモンに対する受容体の内細胞はホルモンが来ても何も起きません。また受容体には少しずつ違う種類があって細胞によって反応を微妙に調節しています。
ホルモンには細胞膜を通ることの出来るものと細胞膜を通れないものがあります。通れるホルモンの受容体は細胞の中や核(DNAのあるところ)の中にあり、信号を受けた後の反応が速いのが特徴です。細胞膜を通れないホルモンに対しては細胞膜で受容体が待ち構えています。ホルモンが受容体に結合すると受容体に変化が起こりそこから細胞内へと次々反応が伝わっていきます。反応の途中で信号の増幅や抑制、枝分かれが起こり、関連した複数の反応が 連携して起こるようになっています。
受容体が異常を起こす原因には、
① 遺伝的な異常
② 受容体に対する抗体などが出来る
③ 活性酸素による変形
などがあります。①や②の治療は難しいですが活性酸素は抗酸化ビタミンや抗酸化物質で防ぐことが出来ます。
受容体は正常でも栄養素の欠乏によって細胞内の信号伝達に支障が出ることがあります。たとえばカルシウムの濃度変化は信号のスイッチのオンとオフに密接にかかわっているので、カルシウムや マグネシウムが欠乏すると細胞内の濃度をきちんとコントロールすることが出来なくなりオンとオフに乱れや遅れが生じます。ポンと叩くとパッと反応するはずが、ポンと叩いてしばらくたって「え―っ な―に―」という感じです。
そこで受容体に強く結合する薬を使うと、受容体をポンと叩く 代わりにバシバシバシっと叩き続ける(?)のでさすがの受容体も反応するのですが、これがずっと続くとどうでしょう。細胞も疲れて反応しなくなります。すべてではありませんがいくつかの薬は 長く続けると効かなくなることもあります。薬は一時的なものと 考え体本来の働きを取り戻すように努力することは大切ですね。
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