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~ひめのともみクリニック栄養療法プログラム~   栄養療法について最新の情報をお届けします♪     (produce by Office Himeno)

最近の記事

脳を守るにはどうしたらよいか

 今回はまず本のご紹介をいたします。 Bredesen Dale博士の書いた「アルツハイマー病 真実と終焉―“認知症1150万人”時代の革命的治療プログラム」(註1)です。 2018年の3月に日本語訳が出版されました。  脳をどのように守っていくかは私たちにとって重要な課題です。 血管系の病気や癌などがだんだんに克服されるようになって健康寿命が延びてきました。脳の健康寿命も一緒に延びて欲しいです。 この本は脳が縮小するシステムとその防ぎ方について述べています。 この本に書かれ

    • 体調不良はなぜ起こる?ピロリ菌と胃酸

      胃癌の予防のためにピロリ菌除菌が勧められていることは皆さんもすでにご存知の事と思いますが、ピロリ菌に感染していると胃酸が減ってしまいます。粘膜の萎縮性変化によって胃酸を分泌できる細胞が減ってしまうことやウレアーゼという酵素がアンモニアを産生し胃酸を中和してしまうことが原因です。ピロリ菌検査だけでなくペプシノーゲン検査も実施すると胃粘膜萎縮の程度をある程度推定できます。  胃酸はこれまで述べてきたようにSIBO対策にも重要ですし、胃酸と胃の消化酵素の分泌はたんぱく質の消化吸

      • SIBOを改善する食事 低FODMAP食

         FODMAPとはF=Fermentable(発酵性の)O= Oligosaccharides(オリゴ糖)D= Disaccharides(二糖類)、M= Monosaccharides(単糖類)P= Polyols(ポリオール)の頭文字をとった言葉です。 これらに共通することは小腸で消化吸収されにくい短鎖炭水化物で発酵性があることです。これらの短鎖炭水化物は腸液の浸透圧を上昇させ管腔内に水分を引き込み下痢を起こします。小腸の菌はこれらを食べて発酵し水素ガスやメタンガスを発生

        • 善玉菌でも増えすぎは逆効果

           ”腸活”がブームです。でも”腸活”を単に善玉菌を増やすことと考えると落とし穴があります。腸の運動を整え、適切な場所に適切な数とバランスの腸内細菌を育てる、これが本当の”腸活”です。食物繊維や発酵食品、腸内細菌サプリメントなどを摂ってもお腹が張るだけで便秘や下痢が治らないという方は、小腸での細菌の増え過ぎを疑ってみましょう。  小腸はもともとあまり腸内細菌が存在しない場所。空腸(小腸の口側の部分)では103~104/mL未満です。大腸の菌が1010~1012個ですからかなり

        脳を守るにはどうしたらよいか

          24時間グルコースモニタリング検査

          普段通りに生活しながら日常の血糖値の変動を推測できる検査が利用出来るようになりました。『FreeStyleリブレPro』です。24時間、最大2週間の測定が可能です。この検査の利点はまさに24時間刻々と変動を記録出来ること!特にこれまで知ることの出来なかった夜間の血糖値の変動を推定できるのが大きな収穫です。 夜間の低血糖は様々な症状につながっています。 例えば、深酒をした翌朝に頭痛や気持ちの悪さを感じたり、長く寝ているのに疲れが取れなかったり、朝、体が重くて起きることが出来な

          24時間グルコースモニタリング検査

          ビタミンDについて

          ビタミンDはちょっと不思議なビタミンです。 食べ物から摂取するだけでなく、体内で合成することが出来るのです。 合成には紫外線が必要です。摂取または合成したビタミンDは肝臓で25(OH)ビタミンD(一段階目の活性化)となり、貯蔵されるかビタミンD結合蛋白と結合して血液中を運ばれます。そして腎臓や作用する場所で1,25 (OH)2ビタミンDというさらに活性の強い形に変わります(二段階目の活性化)。活性化を抑制したり活性の弱い形に変換したりすることにより、活性型のビタミンDが増え過

          ビタミンDについて

          食物繊維

          消化酵素で分解されずヒトの栄養成分にはならない食物繊維。 でも腸の中では様々な有用な働きをしています。善玉菌の餌になるのはもちろんのこと、コレステロールや胆汁酸を吸着して再吸収を阻害し、排泄を促進します。血糖値の急上昇を防ぐことで糖尿病、高脂血症の改善にも役立ちます。 食物繊維は便の硬さを調節し容積を増やすことで快便を促します。 便を滞留させないことで毒性のある代謝物がより排泄されやすくなり、発がんを予防する効果もあります。食物繊維は大きく分けて次の種類があります。 特に高

          卵子栄養療法に込めた願い

          ひめのともみクリニックでは、卵子栄養療法外来を開設しています。 これまでも不妊治療の栄養学的なサポートをさせていただいていましたが、さらに多くの若い方に栄養の正しい知識を知っていただきたいと思っています。 卵子栄養療法では、すべての女性が輝くお手伝いをしています。 不妊治療をしているのになかなか妊娠できない方、自然妊娠を希望されている方、これから妊娠を考えている方はもちろんのこと、不調に悩むすべての方が対象です。また卵子栄養療法と命名していますが、不妊に悩む男性の方のサポート

          卵子栄養療法に込めた願い

          タンパク質を食べているのに...

          栄養解析のたびに「たんぱく質が不足しています」と口うるさくいっているためか、たんぱく質をしっかりと召し上がってくださっている方が増えてきました。 たんぱく質の摂取量が増え、たんぱく質の合成能力が向上する人がいる一方で、いくら食べてもたんぱく不足の判定が続く方がいます。 食事の内容を記録していただいたり、写真を撮っていただいたりすると、確かにかなりの量のたんぱく質を食べています。プロテインを摂っていますという人もいます。そういう方はぜひ自分のお腹を触ってみてください。 膨れてい

          タンパク質を食べているのに...

          糖質入りの飲料に気を付けて!

          これから徐々に気温が上がり暑くなりますが、熱中症予防に水分摂取の飲み物は、どのように選んでいますか? ただの水より塩分やイオンが入っているほうが良いと思ってイオン飲料や  スポーツドリンクを選んでいる方は結構多いのではないでしょうか。 「イオン飲料やスポーツ飲料を多量に飲み続け健康状態が悪化した乳幼児が、10年間で少なくとも24例報告されている」との記事もあります。 主な原因はビタミンB1不足です。イオン飲料やスポーツ飲料にはイオンだけでなく糖質が多く含まれています。糖質を

          糖質入りの飲料に気を付けて!

          季節の変わり目と副腎疲労

          気温や気圧の変化が大きい日が続きます。 いつもこの季節に体調が悪いという方、何もしていないのにぐったりと疲れているという方はいらっしゃいませんか? そのような方は副腎疲労を疑ってみましょう。 副腎はストレスに対抗してホルモンを出す装置です。 ストレスというと、人間関係に悩んでいるとか仕事上の悩みとかを思い浮かべる方が多いと思いますが、ストレスは精神的な苦痛だけではありません。変化はすべてストレスです。例えば気温や湿度の変化も立派なストレスですし、楽しくて興奮する出来事や旅行、

          季節の変わり目と副腎疲労

          オリゴスキャン 有用ミネラルの測定

          手のひらをスキャンするだけで、痛みなく体の中のミネラル(金属)を測定できるオリゴスキャンという方法があります。 オリゴスキャンでは有害ミネラルだけでなく有用なミネラルも測定してくれます。また、脂肪や血管など組織中のミネラルを測定するため、血液検査で異常がわからなかったマグネシウム欠乏を検出できることがあります。 図のように標準よりマグネシウムが低かったり、カルシウムがマグネシウムに比べて多かったりした場合にはマグネシウム欠乏をいましょう。 マグネシウムは吸収の悪いミネラルです

          オリゴスキャン 有用ミネラルの測定

          見逃されているマグネシウム欠乏

          栄養解析では、血液や尿の検査によって潜在的な欠乏を見つけます。 ところがマグネシウム濃度は厳密に血中濃度が調整されているために欠乏が 見逃されてしまいがちです。 マグネシウムは約60%が骨に、27%が筋肉に含まれ、細胞外液に存在する量は体内総量のわずか1%程度です。血液中のマグネシウム濃度は下がるとすぐに補充され2.3~2.4mg/dlぐらいとほぼ一定に保たれます。血液検査でマグネシウム濃度が下がっていたらかなり重症のマグネシウム欠乏です。 マグネシウムとビタミンB1は共通の

          見逃されているマグネシウム欠乏

          栄養療法実践講座1 最初の効果を出す

          栄養療法は時間がかかるというイメージをお持ちの方が多く、2か月3か月経って症状や数値に変化がない場合でも「そのうち効果が出るだろう」と そのままの方法を続けている方が少なくありません。 本当の栄養療法とは、最初の2週間ぐらいで何らかの変化を出すのが正しいやり方です。 栄養療法とは潜在的な欠乏を改善することによって、眠っている体の働きを呼び覚ますことです。眠りが深いほど、眠っている期間が長いほど、揺り 起こすのに強い刺激が必要です。そろそろっと起こしても全くびくともしない場合、

          栄養療法実践講座1 最初の効果を出す

          心不全の早期発見 BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)

          心臓は血液を送り出すポンプの役目をしています。 ポンプがうまく働かずに心臓に血液がたまったり、動脈が硬くなって血液を押し出すために力がたくさん必要になったりすると、心室の細胞は「大変だ! 何とかしなきゃ」と思って二つの対応をします。 1つは心筋の肥大、もう1つはBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の生成と分泌です。 BNPには、尿をたくさん出したり、血管を広げたり、心筋の細胞を保護したりする作用があります。心臓にかかる負荷に応じて分泌量が変わるため、心不全の早期発見や治療の効

          心不全の早期発見 BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)

          冠動脈は心臓の命綱

          心臓がエネルギーを生み出すためには、酸素と栄養分が常に供給されている必要があります。心臓は酸素の消費量が多く心臓に血液を供給している冠動脈が詰まると心筋が壊死してしまいます。心筋梗塞です。動脈硬化の予防が心臓を守ることにつながります。 太い血管にプラークが出来て血管が細くなるアテローム硬化は、活性酸素の発生や血管内膜の傷などによって進行しやすくなります。 細菌などの感染による炎症も動脈硬化を進めるとの説があります。 動脈硬化の対策の第一は活性酸素を増やさないことです。血管内で

          冠動脈は心臓の命綱