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喧嘩の後のパフェ

休日の午後、小さな喧嘩をした。
険悪な空気になり、夫はリビングでアニメを見始め、わたしは寝室に転がってスマホを眺める。
2、3時間が経った頃、夫がキッチンに立った気配がした。
ゴソゴソ、バタン、ジャー、ゴゴゴゴゴ。
お菓子を物色したのち、お湯を沸かしているようだった。狭い家なので、姿は見えていなくとも大体は想像がつく。
ビニール袋を開ける音、そしてかたいものを咀嚼する音。
いただきものの柿の種(信州唐辛子味)とコーヒーあたりかな?もしくはレトルトスープかも。

しばらくすると、夫が寝室にやってきた。酒臭かった。
昼間から焼酎だったかー、そうきたかー、と思った。
何を食べたのか聞くと、柿の種だった。そこは合っていた。
「わたしも何かおやつを食べようかな」
人が食べたと知ると食べたくなるものだ。
「ふーん、じゃあ俺、作るよ」
「え? 作ってくれるの? なにを?」
「えーっとね、えーーっと……パフェ」
「パフェ!?」
夫の口からパフェという単語が出てくると思わなかったので笑った。
パフェなど殆ど食べたこともないはずだし、時々料理をすることはあるが、スイーツ作りなどはこれまで一度もなかった。
「でも、バナナは確かもうないよ。りんごとキウイならあるけど、生クリームとかないよ」
余り物のような材料しかないはずだった。
「大丈夫、まかせてっ」
面白そうなので、夫をキッチンに解き放った。

しばらく待った。
夫のところにはその間、友達から電話がかかってきており、酔っていることもあって饒舌で、楽しそうな会話が聞こえてきていた。
そして完成した。


じゃっじゃん。

ビールジョッキにりんごとキウイとヨーグルト、オレンジゼリー、ミレービスケット、食パン(を焼いてピーナツを塗ったもの)
コーンフレークもアイスクリームもチョコソースもないし、ただのフルーツ入りヨーグルトになるだろうと思っていたので、なかなかのパフェらしさにわたしは驚いた。
家にあまっていたもので、ボリュームあるパフェができてしまった。
なかなかやるなあ。
味も良いし、見た目もちょっとかわいいじゃないか。

さて。
夕方にこんなものを食べたので、夕飯を作ろうという気にならない。
夫は夫ですでに一杯やったあとである。
まあ、喧嘩のあとだし、てきとうでいいか。
たまにはこんな日もある。

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