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マタ旅?

所用があり、夫の実家に行くことになった。
去年のお正月に帰省して間もなくコロナ禍となったため、わたしが義両親と会うのはそれ以来であった。
夫の実家は同じ県内ではあるものの、高速を使う距離。
そしてそこから更に一時間ほど行くと温泉地があるという。
せっかくなら、と、"勝手にゴートゥー"を企画して小旅行を兼ねることにした。
ゴートゥーの時期を病院のベッドでつわりと共に過ごしたわたしとしては、補助金は出なくとも憧れのゴートゥーである。
ちなみにわたしは安定期の終盤、体調は良く、旅行の内容は景色を眺め、近くのお寺にお参りしたらあとは温泉と食事を楽しむという、それだけのノンビリプラン。
情勢もあってか、かなりお手頃に宿を見つけることができたし、すいてもいた。

景色の良い宿で浴衣を着て、足元に細心の注意を払いながら温泉へ。
ひとりでゆっくりと温泉に浸かるのも、もう当分ないだろうと思う。
わたしは温泉の国の出身で、独身時代、「今日は疲れたなあ」と思うような仕事帰りには、帰り道に日帰り温泉に立ち寄ることもしょっちゅうだった。
今の住まいは、近くに温泉がない。
それが不満だという程でもないが、時々ふと「近くに温泉があったらなあ」と思うことはあるという程度には温泉好きである(スパ銭ではなくどどーんとかけ流されてるような天然温泉が好み)。
コロナ禍となりスパ銭にも足は向かわず、妊娠・退職してからはさらに引きこもり傾向となったので、景色の良い温泉は泣けるほど感動した。
自分がこんなに温泉を欲していたなんて。
ひとりでゆっくりどころか、赤ちゃん連れでは温泉は難しかろう。
おむつがはずれてからかな?そのためにトイトレ?どっちにしても乳幼児連れの温泉はハードルが高そうだ。
でも、ちょっと楽しそうだなあとも思う。

食事を楽しんで、旅の夜らしく(?)夫とトランプに興じて、朝風呂まで入り、小旅行は終わった。
ああ、1年間押し込めてきたわたしの「旅欲」は、こんな近場の単純な1泊でかんたんに満たされてしまった。
食べる量が減ると胃が小さくなるように、行動の半径が狭くなると旅行の半径も狭くて満足するようになるのだろうか。
これはこれで、悪くない。

そのあと訪れた義実家には義妹とその子どもも来ていて、夫がじゃれ付かれていた。
"飛行機"をしてあげたら何度も何度もせがまれ、しかも「飛行機はまわるものです!まわりなさい!」となぜか命令口調で言われていて、後で夫は「聖闘士星矢の沙織さんの"馬になりなさい!"かと思った」と笑っていた。
その子たちのお下がりの洋服やらメリーやらを譲ってもらったので、今は裸ん坊で羊水に浮いている胎児も数年後にはヤンチャに育つのだろう。大変そうだけど、まあ、そうなってくれたらと思う。


マタ旅は終わり、静かで地味な日常が戻ってきた。
早いもので、もう妊娠後期になった。

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