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進む腸内研究と腸育ニーズ

 胃や腸の内視鏡検査をすると、この管の中を食べ物や水、ときに酒が流れていき、分解・消化され、排泄されると思うと、つくづく人体は凄いメカニズムを持っているものだと感心してしまいます。そしてこの臓器を大切にしてやらねばと、そのときは思うのですが。
 人間には生まれつきの質(たち)というものがあります。胃が弱い人、すぐに下痢をしてしまう人、反対に何をしても便秘が改善しない人、酒が飲めない人などなど。酒に関しては、顔が赤くなる、吐き気がする、眠くなる、頭痛がするなどのフラッシング反応や二日酔いの原因になるアセトアルデヒドを分解する酵素ALDH2の活性が弱いか欠けていることが原因で、遺伝子によって決まっていることが分かっています。一方、胃が弱い人の場合は、決定的な原因は解明できておらず、食生活や生活習慣を見直すことなどが、今でも処方箋の王道になっているような。
 腸の調子を整える方法も同様。ビフィズス菌や発酵食品、食物繊維を摂取して腸内の善玉菌を増やすことが推奨されてきました。が、近年は研究が進み、腸内細菌の集合体、腸内フローラが個人固有であることや、人が摂取した食品を腸内細菌が食べることで産生される代謝物質が身体に影響を与えていることが判明。そこに照準を合わせた食品も次々に発売されています。加えて、ヒトの腸内は2~6歳の間に定着する菌の種類や数が決まり、それが将来の健康リスクにも関与すると言われ、離乳後の子どもの腸に重要な多種類の菌を手軽に補給でき、菌のエサとなる食物繊維などの栄養素も摂取できる商品が開発されたり、ママの腸内環境を整えることが、生まれてくる赤ちゃんのアレルギー症状抑制や将来の肥満防止などに繋がることが最近の研究で示唆されるなど、胎児の腸育のためのサービスも始まったりしています。
 腸と脳の関係性がますます明確になり、腸内環境を整えることが脳の活性化に繋がり、精神状態を安定させることは広く知られています。自分に合った腸育のニーズは、今後ますます高まるものと思います。

【食のトレンド情報  vol.965 2024年5月13日配信分】


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