ひめこカンパニー山下智子

(株)ひめこカンパニー代表取締役。女子栄養大学客員教授。加工食品の開発、飲食店のプロデ…

ひめこカンパニー山下智子

(株)ひめこカンパニー代表取締役。女子栄養大学客員教授。加工食品の開発、飲食店のプロデュース、 弁当・惣菜の開発等、食業界で広く活動。外食、中食、内食、すべてを網羅するビジネス範囲は業界屈指。食市場の今が分かる「食のトレンド情報」を毎週配信。トレンドセッターとして講演をしている。

最近の記事

春満喫「銀座 慈生」

 女子栄養大学の恩師・高橋敦子先生にお誘いいただき、「銀座 慈生」に伺いました。会員制の日本料理店で、女将は大学の後輩。女将も含め、ご一緒した面々は、“栄大教・香川綾(栄大創立者)宗・高橋派”の教授や元教授。栄大今昔物語から栄大の在るべき姿、少子化時代の大学経営などなど、話題は多岐にわたり、栄大愛が溢れる刺激的な時間でした。  慈生の4月のテーマは、行草書五言句の「坐しては看る雲の起こる時」。ゆったりと座って雲が湧き上がるのを無心に眺めるという意味で、ハマグリとそら豆の真薯椀

    • たばこの次は“禁・お酒”?

       2/19、厚生労働省は、酒類の適正な摂取量などを示す【健康に配慮した飲酒に関するガイドライン】を発表しました。それを受け、飲食店に役立つサービスを提供する“飲食店ドットコム”を運営するシンクロ・フード(東京・渋谷)は、飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)404人を対象に、3/8~18、ノンアルコール・低アルコール飲料の提供についてアンケート調査を実施しました。  それによると、飲食店で注文されるアルコールの量や内容を発表前と比べると、87.3%が「特に変化はない」と

      • 春が来た!

         桜の開花宣言が列島を駆け上り、やっと春本番です。料理上手な女性にお呼ばれしたディナーは、新玉ねぎのポタージュ、グリンピースのソテー・エルブドプロバンス風味、キャロットラペ、グリーンアスパラガスのサラダ、メインのミラノ風カツレツにルッコラがたっぷり。私からのお返しは、バルサミコのシロップをからませたイチゴとオレンジを添えたアイスクリームです。早春の料理を堪能しました。  春野菜は、料理をしている最中から心弾みます。新玉ねぎは、レンチンしてカツオ節とぽん酢しょうゆでいただきます

        • 脱脂粉乳と学校給食

           大人になってたまに話題に上るのが学校給食。つい先日も高校時代の同級生と「脱脂粉乳」の話で盛り上がりました。“おいしくなかった”“あれで給食が嫌いになった”という発言は定番。次のテーマは必ず、いつ牛乳に切り替わったか。全員、違う小学校に通っていたから、この話題はかなり盛り上がる。“小学校の所在地が街中から郊外へと外れていくほど脱脂粉乳の飲用期間は長くなる”というのが私の持論で、小さな街の小学校に通っていた私の場合4年生で、仲間内では最長です。因みに、生まれも育ちも東京で脱脂粉

          自律走行ロボットによるデリバリー、やっと始動

           食品を運ぶ自走ロボット。「食のトレンド情報」で初めて取り上げたのは、2016年11月。米国・ワシントンDCで、スターシップ・テクノロジー社が開発した「無人自走ロボット」によるグロッサリーやレストランの料理のデリバリーテストが行われているという内容です。因みに英国では、このロボットをデリバリーサービスに使用しているレストランが既に登場していて、ヨーロッパでは複数の国で実用化されていました。  それからおよそ7年。ようやく日本においても自律走行ロボットによる料理配達サービスが東

          自律走行ロボットによるデリバリー、やっと始動

          家の近くに「まいばすけっと」がオープン!

           家から徒歩4分の場所に「まいばすけっと」がオープンしました。徒歩5分に「マルエツ プチ」が、徒歩6分に「ライフ」がある買い物環境。たれが付いていない納豆を売っているのは、「まいばすけっと」だけです。以前「himeko’s COLUMN」で書きましたが、私は“納豆に付いているたれは使わない派”。“たれなし納豆”を求めて徒歩19分の離れた「まいばすけっと」に通っていた身にとって、この上ない幸せです。オープン前日、前を通りかかったとき準備をしている店員に思わず「たれなしの納豆、売

          家の近くに「まいばすけっと」がオープン!

          「癒やしニーズ」と「甘じょっぱ」

           今年も「食市場のトレンド相関図」を作成しました。日常生活は取り戻したかのように思いますが、経済成長を伴わないインフレ、日本の経済力の低下など、先行き不安は解消されないままの日々が続き、「癒やしニーズ」はますます強くなっています。今年トレンドとして挙げたキーワードの傾向は、過去の先行き不安だった年と同じ内容のキーワードが多く、それがさらに深化していることです。  例えば、「NEXT甘じょっぱ」。「甘じょっぱ」は、「癒やしニーズ」が強くなると派生するキーワードで、過去には、20

          「癒やしニーズ」と「甘じょっぱ」

          米国の「TVディナー」

           主食とおかずを組み合わせたワンプレートタイプの冷凍食品の市場規模が急拡大しているという記事が、2/14の日経MJ(流通新聞)に掲載されていました。インテージによると、2023年の推計市場は86億円と17年比で7.7倍に達し、年代別にみると、1人あたりの購入金額が最も多いのは60~70代。ただ、金額の伸びが目立つのは30代以下で、30代の購入金額は6年間で2.4倍に。メーカー各社は、若年層を意識した商品を相次ぎ投入。中でもニチレイフーズの、「デミグラスハンバーグ&ナポリタン」

          食用コオロギのCricketFarmが倒産

           食用コオロギの養殖事業を展開するスタートアップCricketFarm(クリケットファーム)が倒産しました。CricketFarmは、2021年8月、長野県岡谷市で設立。長野県の諏訪地域では古くより昆虫を食す文化が根付いていて、養蚕で栄えた岡谷市も蚕のさなぎをタンパク源として食してきた歴史があります。  食用コオロギを食市場のトレンド講演で初めて取り上げたのは、19年。「オルタナフード」というキーワードの中で紹介しました。「オルタナフード」とは、食糧問題、環境問題など食に関わ

          食用コオロギのCricketFarmが倒産

          ただ料理が好きなだけなのに

           最近、私の周りの女子の間で話題になるのが、「つくたべ」。NHKの夜ドラ「作りたい女と食べたい女」のことで、2022年に放映されたシーズン1の再放送を見て、今年1/29から始まったシーズン2を欠かさないという女子が増えています。ストーリーは、料理が好きだけれど少食の野本さんと、食べることが大好きで作ることにも興味がある春日さん2人の、料理を中心とした日常。2人は同じマンションの同じ階の一部屋はさんだお隣さんです。  「つくたべ」には、料理好きな人には“あるある”なことがたくさ

          ただ料理が好きなだけなのに

          「KDDI×ローソン」と「ビッグデータ×AI」

           三菱商事とKDDIがローソンの株式を50%ずつ保有する「共同経営」体制へ移行すると発表。KDDIの思惑を取り上げる情報が多い中、KDDIの全面協力を得るローソンの今後の動きによっては、コンビニ業界の戦略に大きな変革が起きるのではないかという意見もあります。徹底した効率化と圧倒的な商品開発力で揺るぎないものになっていたセブンイレブンの地位が、携帯キャリアの約30%のシェアを占めるKDDIが持つ顧客のビッグデータをAIによる分析で有効活用すれば、ローソンに取って代わられる可能性

          「KDDI×ローソン」と「ビッグデータ×AI」

          おでんの季節到来

           寒さも本格的になり、おでんの季節が始まりました。私のおでんは、東京風。昆布とカツオのだしにしょうゆ仕立てです。具材は、きわめて普通。「ちくわぶ」は上京して初めて出合い大好きになりました。息子が成長期の頃、タンパク質補給の意味で鶏の手羽元を入れるようになり、今も続いています。里芋も入れます。皮をむいて天日干しにしてから煮込むと、型くずれしにくく、味が濃くなって、もっちり感も増すように思います。  静岡県西部出身の私のおでんの思い出は、駄菓子屋。コンロの上に大きな丸いおでん鍋。

          ブロッコリーが「指定野菜」に

           1/22、農林水産省が、2026年度からブロッコリーを国民生活にとって重要な「指定野菜」の1つに加えるという報道がありました。「指定野菜」には、キャベツや大根、トマト、なす、ねぎ、玉ねぎなど14品目があり、消費量が多いことが基準です。「指定野菜」に加えられると、品目ごとに一定規模の産地が「指定産地」とされ、価格が大きく下落した場合、国が農家に補給金を出して生産量を確保することになります。新たな指定は1974年のじゃが芋以来、約半世紀ぶりとのこと。当時、食生活の洋風化がじゃが

          ブロッコリーが「指定野菜」に

          飲食店の好き嫌い。まずは人

           新型コロナウイルス感染症の位置付けが「5類感染症」に移行した昨年5月の連休明けから、外食をする機会が増えました。よく通っていたイタリアンやフレンチを久しぶりに訪ねたり、オープンし立ての飲食店を試したり。2023年は、外食費が一気に増えた1年でした。  久しぶりに伺ったバスク料理の店は、サービス担当が坊主頭の男性陣から、マダムと飲食店未経験であろう中年男性に代わっていました。以前は、活気と楽しさが伝わるサービスでしたが、マダムのこなし仕事のように客をあしらう姿勢に共感が持てず

          飲食店の好き嫌い。まずは人

          唐揚げ専門店の相次ぐ閉店

           新型コロナウイルスによる家ナカ消費を追い風に一気に店舗数を増やした唐揚げ専門店。ここにきて、閉店が相次いでいるようです。緊急事態宣言によってさまざまな制約を受けた飲食店は、中食市場参入の一法として唐揚げ専門店の経営に乗り出しました。飲食店、取り分け居酒屋業態には、唐揚げはもちろん、焼鳥や水炊きなど鶏肉を使ったメニューが多く、唐揚げ専門店との親和性が高かったことが業態開発を後押ししました。が、withコロナの状況に入り、自然淘汰が始まったようです。ロシアのウクライナ侵攻によっ

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          スーパーのBGM

           令和6年1月。初売りでスーパーマーケットも賑わっています。正月三が日、スーパーやファミリーレストラン、和食店で流れているのは琴の音色。BGMにUSENを利用している店舗は、ほぼ同じ音楽が流れているのでしょう。店内放送と言えば、ライフコーポレーションが、「BIO-RAL(ビオラル)」や首都圏の高級感を持たせた店舗で、アコースティックギターを基調とした“ケルティック”と呼ばれる民族音楽風のBGMを採用したという情報がありました。  私は以前、スーパーのコンサルティングをしている