北のグルメ争奪戦紀行
深秋の函館、金沢を旅しました。紅葉の五稜郭や兼六園も楽しみなのですが、それを上回る期待をしてしまうのが食です。
函館では朝市へ。市場の食堂は、外国人観光客と日本人観光客が入り乱れて大盛況。ここでの目的は、「ホッケの刺身」です。いろいろ尋ね歩いてやっと提供してくれる店へ。ホッケは鮮度保持が難しく、しかもアニサキスなどの寄生虫のリスクもあるため、ほとんどが干物にして流通されています。この日は朝穫れのホッケがなく、「ルイベ」をいただきました。味は間違いなくホッケ。締まりのある身で脂もしっかりと感じられます。
次は、毛ガニを求めてカニ専門店へ。正月のご馳走にしたいからと年末の発送をお願いすると、即座に「できない」との答え。聞けば、毛ガニの水揚げが少なくなっているうえに、“ふるさと納税”の返礼品として人気のため、市から大量に予約が入っていて暮れから正月にかけては特に、送れる毛ガニがあるのか、あったとしてもいくらになってしまうのかも分からないと言います。買いたい人も売りたい人もいるのに品がない。“ふるさと納税”はこんなところにも影響しているのですね。
金沢でのターゲットは、ノドグロ。別名アカムツは高級魚の一種で、上品な脂がのった身は“白身のトロ”とも呼ばれるほど。金沢では、炙った切り身を寿司ネタにしたり、ひつまぶし風に提供したりする店が多いようです。人気店は予約不可だったため敢えてランチタイムを外して伺ったのですが、ノドグロ終了で閉店。またも尋ね歩いてノドグロを提供してくれる店に到着。ひつまぶし風にいただく「ノドグロ丼」は、まずはそのままわさびじょうゆで、次にウニ、大葉やごまで味を変えて、最後はノドグロの骨からとっただしをかけ、岩海苔やわさびでさらさらと。店のHPには3600円とありましたが、実際は4800円。時価なのでしょう。
ご当地グルメ争奪戦は、海外勢に“ふるさと納税”も加わって価格は高騰。今まで以上にリサーチ力とスピード感が求められます。
【食のトレンド情報 vol.994 2024年12月2日配信分】
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