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推薦図書 - 悪童日記・ふたりの証拠・第三の嘘


「悪童日記」の原題は「大きなノートブック」だそうです。

主人公にとって「大きなノートブック」は自分の体そのもの、という存在だったのだなぁと三冊読み終わると思えます。ペンをもって白い紙を埋め尽している時だけ生きた心地がするような。
何度も読み返して、ノートブックへの執念に当てられて、絶望的な距離を感じては立ち去るのです。何度も挑戦するように読み返しては、決してかなわないと思い知らされるのです。

息が詰まる戦時の影が世界を覆う中でも、子供は現実的で冷静。
なのに大人になるにつれじわじわと感傷に支配されていく。

私が今まで読んだ三部作の中で最高傑作です。
「悪童日記」を読んで衝撃を受け、「ふたりの証拠」「第三の嘘」を読んでやるせなくなりました。

最初に二作目「ふたりの証拠」三作目「第三の嘘」を読んではいけません。
「悪童日記」から読まないと後悔すること請け合いです。
ある意味ミステリ小説なので、先にネタバレしてしまうと面白さ半減します。(けど本当に何系にも振らないミステリですね)

「悪童日記」は「正確でないことは書かない」というルールの元に、感情表現、「美しい」「優しい」などの「自分たちはそう思う」という表現を一切抜きに書かれています。主人公二人を含む登場人物の誰もが何を考えているのか分からないので、その行動と台詞だけで想像するしかありません。この文章を書く上での絶対のルールそのものがお話を形作るためにとても有効に使われているので、マジホンですっげぇこれ考えた作者頭いいよ良すぎだよと思いました。

このルールのせいか、「悪童日記」そのものはそんなに文章量も多くないし薄い本です。読みやすいです。なので読んだことない人、本を読めと強制されて渋々本を選ぶハメになった学生さんにもおすすめです。一作目単品でも十分に面白いですし。もしハマってしまって続きが読みたくなったら「ふたりの証拠」「第三の嘘」と続けていけばいいと思います。


普段書評とかしない方なんですが、noteのお題企画に挑戦してみたくて書いてみました。
ちょっと楽しい。


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