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ペットショップというビジネス:第1章 「それは別料金よ♡」

近ごろは「ペットショップでの生体販売は悪!」、子犬を迎えるなら「ブリーダー!」といった論調が強いと感じます。大枠では賛成です。でも、前回までしつこ~くご紹介したように、適切な「ブリーダー」さんとそうでない繁殖業者を見極めるのはなかなか難しいと思います。

誤解も多いので…😢

ショップという仕組み自体が、100%悪いことだけとも思いません。でもやっぱり、疑問を感じる点が少なくないですね。ペットショップの摩訶不思議な販売システムを見つけてしまったので、今回から少しまとめてみます。みなさんは、どう思いますか?

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ペットショップの摩訶不思議

当家の愛犬、「ひめりんご」とはペットショップで出会いました。そうです、

"ペットショップで買ったMIX犬"
ご意見もあるかと思いますが、
それはまた別の機会に…

7歳なので、お迎えしたのはそんなに昔じゃありません。でも今はビックリする売り方に変わっているんですね。あの頃こんな感じだったら、店長さんともめただろうな…^_^; 私は…

近くでオヤツなどを買うついでに、お店を覗いてみることがあります。思うことはありますが、そこにいる子犬たちには何の罪(?)もないですよね。パピーはみんな可愛いです。

で、しばらく見ていると、色んなことがたくさん小さな字で書いてあります:

「ドクターズチェックプログラム」
¥58,190(税込み)

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店員さんに聞いてみましたが、何か納得できません。週末の混雑している時に時間を取らせては申し訳ないので、家でウェブサイトを見てみました。

「かけがえのない命を扱う」?

こう書いてありました:

全国のブリーダーからお預かりしたすべての子犬・子猫は、ウェルネス管理センターにて65項目の入舎時検査を受け、その後ストレスによる病気や伝染病感染を防ぐため、獣医師による感染症予防プログラム「ドクターズチェックプログラム」を受けます。(原文ママ;強調は筆者)

なるほど。細かく健康診断をするのですね。その理由が、ちょっとポエムっぽい文章で ^_^:

…私たちはかけがえのない生命を扱う会社として、責任と自信を持って子犬・子猫をお客様の手にお渡しすることができると考えています。

「かけがえのない生命を扱う」のだから健康には気を遣う。

よいぢゃないですか!
異論ありません

手厚いケアには、ある程度の費用はかかるかもです。それは必要かも。

で、¥58,190(税込み)の「ドクターズチェックプログラム」の項目を見てみました:

・混合ワクチン接種
・病気の予防薬の投与(犬のみ)
・犬パルボウィルス検査(犬のみ)
・猫白血病ウイルス検査(猫のみ)
・寄生虫駆除
・ノミダニ視診および予防薬パック
・マイクロチップの装着

何だろう、この違和感…。

これって、「お店に商品を並べる」前にどんな商売でも普通にやるチェックじゃないの…?58,190円(税込み)がお客さん負担?頭を整理する意味も含め、1つずつ突っ込みを入れてみます。

なお、子犬たちを「商品」と表現したり「モノ」に例えたりするのはまったく本意ではありません。でも、ここではあえてそうした表現を使います。

混合ワクチン接種(1回)

「混合ワクチン」については以前に細かくご紹介しましたが、目的は感染力が高く重篤化しやすい病気の予防です。言ってみれば、大事な商品が壊れないための対策ですよね。クルマで言えば、新車のボンネットに貼り付ける保護シートのような物。クルマ屋さんはお客さんに別途請求しないけど…。

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それから、混合ワクチンの初回接種は、お母さんからもらった「移行抗体」がなくなる生後6~8週齢で必要とされています。子犬は生後8週まではお母さんと一緒に過ごすことが法律で決められているわけで、ペットショップ(事業者)にやって来た時点で打つのは当然なんですが…。

それ、お客さん負担なのか…?
「本体」価格に含まれてないのか…?

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あと、一番重要なのは、混合ワクチン接種はお店にとって不可欠なんですよね。ジステンパーやパルボとかの病気が出たら、強烈な感染力で周りの子犬がみんな死んじゃいます。

命を守ることはもちろん何よりも大切ですが、事業者にとっては死活問題。そっちを防ぐための予防措置の意味合いが大きいわけで、「業者側の」必要経費ぢゃないのかな?

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考え方が分かれるトコロかも知れません
あくまで個人的な印象ですが
みなさんはどう思いますか?

病気の予防薬の投与(犬のみ)

ウェブサイトにはこれ以上の情報が載っていません。お店には「インターフェロン投与」と書かれていましたが、店員さんも分かっていないようです。インターフェロンは、体内に侵入した病原体をやっつけるために細胞が発射します。免疫機能や炎症を調整するための物質です。

調べてみると、現在、犬用に認可されているインターフェロン製剤は2種類のようです。「効能又は効果」は:

・「アトピー性皮膚炎における症状の緩和」
・「歯肉炎の症状の軽減」

インターフェロン

子犬に漏れなく投与する意味がよく分からないのですが、この業者にいる子犬たちは生後2か月で全頭アトピー性皮膚炎歯肉炎を発症しているのかも知れません。ここは、ご存じの方がいらっしゃたら、教えて頂ければ幸いです。

パルボ検査・寄生虫駆除・ノミダニ予防・マイクロチップ

混合ワクチンのところでも書きましたが、特に感染力が強くて致死性が高いパルボは、仕入れから搬入の段階で絶対にチェックします。間違いなく「業者側の」必要経費でしょう。

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寄生虫、いわゆる「お腹の虫」やノミダニはウイルス感染症に比べれば重篤化するリスクは少ないです。でも、「移る」こともあるし、何よりもこれくらいは

当たり前の「製品整備」

の範疇だと思いませんか?

残るマイクロチップは今年の6月から法律で義務付けられるので当然です。それを業者負担とするか、飼い主が払うべきかは考え方次第でしょう。

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ひめりんごを迎える時、既にマイクロチップ費用は請求されていましたが、これは違和感なく払いました

信用がおける印象は受けない姿勢

ということで、今はこのペットショップで子犬を迎えようと思うと、問答無用で¥58,190(税込み)が追加でかかります。「かけがえのない生命を扱う会社として」の責任だそうですが、

普通に販売経費

なんだから「込み」で価格設定しましょうよ。例えばテレビを買いに行って、

「本体は500,000円です。それから、完成後の作動検査費用(=健康チェック)がいくらで、清掃代(=ノミダニ除去)がいくらで、画面の汚れ防止(=得体のしれない「予防薬の投与」)にいくらかかりますので、合計558,190円です」

って言われないですよね?

完成検査は価格に織り込むでしょう
清掃はしてあって当たり前でしょう
汚れ防止は必要なら自分で依頼するし

不動産賃貸業をはじめ、世の中には、似たような業界がありますよね。本来事業者が負担すべき費用(または、価格に含まれているべき費用)をお客さんに追加で負担させる商売。

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色んな意味で、信用がおける業界という印象は持ちません。個人的には…。みなさんはどう感じますか?

ひめりんごの時代

改めて明細を見ると、私も似たような費用は払っていました(-_-;)

過去を引きずるタイプなので、7年前の「販売契約書」を今でも「ひめりんご&平蔵コーナー」に保管しているのです…。

・ワクチン接種代:¥9,180(<= これも高いけど ^_^;)
・ケンネルコフワクチン接種代:¥6,480

ケンネルコフの定義は契約書に書いてありませんが、今、そのペットショップのウェブサイトを見るとケンネルコフは「パラインフルエンザ」によるものとあります。それなら、パラインフル入った混合ワクチンを打てばよいだろうと思いますが、当時は無かったのかも知れません。

別料金

いずれにしても、ひめりんごのお迎えではマイクロチップを合わせて¥28,620の別料金でした。今は2倍に値上がりしてますね。

高くない追加料金?

この「ドクターズチェックプログラム」、6万円近い追加料金ですが、気にならない方もいらっしゃるかもしれません。最近は子犬自体のお値段もかなりのモノです。相対的に「小さな金額」と感じる傾向もあると思います。

でも、子犬が高額ならばなおさら、「込み」の販売価格であるべきだと「私は」感じます。それに、動物病院でエコーやレントゲンや血液検査など、フルメニューで健康診断して頂いても6万円はかかりません。

さらなる錬金術を次回に

で、話はこれで終わりません。次回は、もっとびっくりなペットショップの錬金術について考えてみます。

ちなみに今回は、ひめりんごのお里を1つの例としてご紹介しましたが、「それは別料金よ♡」というやり方、今の業界では一般的なようです。どこも基本的には同じです。

各業者のシステムもご紹介していきますが、率直に言って、健全な業界とは感じませんでした。個人的には…

今回のキーメッセージ:ペットショップは、「私たちはかけがえのない生命を扱う会社として、責任と自信を持って」いると主張しています。その「自信」が正しい物かどうかは、こちらで判断させて頂きますね。