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「公益法人」が動物愛護法違反?

6月5日付けの朝日新聞に、こんな記事が出ていたのをご存知の方も多いと思います。「公益社団法人日本犬保存会の複数の幹部が、動物愛護管理法で定められた取扱業者登録を行わずに犬を販売していた疑いが浮上した」という内容です☟

公益社団法人って何?
「何とか法人」と言っても、難しい話は苦手なので、ちょっとだけお勉強してみました。内閣府のウェブサイトが教えてくれました:

一般社団・財団法人のうち、民間有識者からなる第三者委員会による公益性の審査(公益目的事業を行うことを主たる目的とすること等)を経て、行政庁(内閣府又は都道府県)から公益認定を受けることで、公益社団・財団法人として税制上の優遇措置を受けることができます。(原文ママ)

らしいです… ^_^; 要するに、「みんなのためになる事をしてるから、税金も安くしてあげるね」と政府が認めた団体らしいです。(税金、安いんですね…。私たちのために良いことをしてくれている人たちの集まりだから、私たちの税金でサポートしなきゃなのか。)少なくとも、「偉い人たち」はそう判断したわけです。

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法律の規定:登録の義務
「動物の愛護及び管理に関する法律(いわゆる動物愛護法)」では、動物の取扱を「業として」行う場合、「第一種動物取扱業」として登録をおこなうことが義務とされています(第10条)。申請が却下される場合も(ほぼないんだろうけど、一応)あり得るようです。

まぁ、手続きと言っても、もう少し添付資料が必要な様ですが、基本的にはこれ位らしいです…☟

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で、承認を受けないで第一種動物取扱業( = 「取次ぎ又は代理を含む販売・保管・貸出し・訓練・動物との触れ合いの機会の提供を含む展示」)を営んだ場合、100万円以下の罰金が科せられます(第46条)。要するに、登録しないで犬を売ったら罰金100万円!細かい定義は省略しますが、「第二種動物取扱業」の場合でも30万円以下の罰金です(第47条の3)。

ちょろい?逃げ道
ちなみに、「業として行う場合」っていうのが曲者らしいです。法律上の厳密な定義は無く、裁判になった場合、一般には「反復・継続性」「社会通念上事業と見られる規模」という2つの要素を満たす事を証明しないとダメらしいです。怒られても、「頭数少ないし、うちは『業』としてやってるわけぢゃないっす~」って逃げそうですね。

環境省による調査?
この報道に関して、動物愛護法を担当する環境省で同じ日に行われた記者会見では、「セクシー小泉」…ぢゃなくて、小泉進次郎環境大臣が答えています:

(大臣)今朝の報道において、御指摘のような報道があったということは承知しています。環境省が所管をしている動物愛護管理法においては、動物の販売などを業として営もうとする者は第一種動物取扱業として都道府県などの登録を受けなければならないとしているところです。報道のあった日本犬保存会に関連する事項については、現時点では環境省としては事実関係をまだ把握をしていません。今後、速やかに日本犬保存会、そして関係自治体から事実確認を行って、動物愛護管理法の適正な運用上、問題がある行為が確認をされた場合には、速やかに改善の措置を取るように関係自治体とも対応を進めていきたいと考えています。(環境省議事録より;原文ママ)

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情報開示請求
政治屋さんの「速やか」の定義は私たち庶民とは違うのかもですが、あれから早2か月。ニュースを報じた朝日新聞からも、その後についての報道がありません。ということで、環境省に対して情報開示請求をしてみました☟「この件、どうなってるんですの?」ってのを、ちょっと硬めに ^_^

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日本犬保存会って?
ところで「日本犬保存会」。去年、一部の報道やSNSなどで話題になったみたいですね。改正愛護法成立の際、いわゆる「8週齢規制」に加えられた「指定犬に係る特例」に影響を与えたのではないだろうか?という話があるらしいです。

2 専ら文化財保護法(中略)の規定により天然記念物として指定された犬(中略)を販売する場合における当該指定犬繁殖業者に対する同条の規定の適用については、同条中「56日」とあるのは「49日」とする。(原文ママ)

要するに、子犬は生後8週を過ぎるまで売っちゃいけないけど、例外として柴犬・秋田犬・北海道犬・紀州犬・四国犬・甲斐犬は7週でOKって法律です。何か、日本犬は違うらしいです。少なくとも、「公益性」のある団体さんはそう言ってます。

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この特例、法律の成立直前に加えられたらしく、その理由の不透明さもあって批判も多かったらしいです。会長さんは有名な方らしいんですが、会った事もないし、良く知りませんが…この保存会、何か力を持ってるんでしょうかね?

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改正愛護法に伴う省令(いわゆる「数値規制」)作成も佳境を迎えているので、いつ回答があるか分かりません。でも、開示請求に対しては法律で1か月以内に回答することになっているので、9月の上旬までには何かあるでしょう。

回答期間の延長も、法律で認められています。よくあるのは、「資料が多すぎてすぐには出せませ~ん(泣)」って理由らしいですが、これは2か月前の割とシンプルな案件ですから、延長はないですよね?!